第192回 【Q&A】中国/ASEAN/インド 良いディストリビューターを選ぶポイントとは?その2
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も番組に寄せられる質問に対して答えていきたいと思います。今日は、前回の続きで、前回製造業の方から、「良いディストリビューターを選ぶポイントとはどういうものなのか?」ということでご質問いただいて、そのお話に対して簡潔にお答えすると言ってなかなか簡潔ではなかったので、今日はそのまとめを、その2としてやっていきたいと思います。本題に入る前に、ぜひチャンネル登録をお願いいたします。この辺にたぶんチャンネル登録ボタンが出ていますので、よろしくお願いします。では、早速質問に答えていきたいと思います。前回の番組も見ていただいて、今回ちょっとその続きということで、製造業の方から、「良いディストリビューターを選ぶポイントとは?」と、「どういうポイントになりますか?」ということでご質問をいただいています。前回お話したことも含めてお話をすると、ディストリビューターの選定って非常に重要ですよと。新興国で高い売上を上げていくには、このディストリビューターというのは、B2Cの企業であっても、B2Bの企業であっても非常に重要ですと。もちろんB2Bなんかは完全に直販ですという企業もあるので、そういう企業はちょっと除外をしますが、基本的にB2BもB2Cもディストリビューターを使うような業態であれば、業態というか、製造業であれば、ディストリビューターの選定というのは非常に重要で。今までなぜ重要視されてこなかったかと言うと、新興国、中国とかASEANというのは、あんまりマーケットとして重要視されてこなかったというのが過去30年の見方で。マーケットとして注目されてきたのって、ここ10年ぐらいなんですよね、早くても2000年代前半ぐらいからなので。それでも20年前ですけど。2000年代前半で、徐々になので、本当に日本の製造業が本気になったかと言うと、私はそんなふうには思わないので。本当にここ10年ぐらいが本気になって、エース級が中国やASEANに投入されるような、そんな状況になってきているんだと思います。それだけ注目をされてきたからこそ、ディストリビューターを本当にいいところと付き合っていかないといけない。今まで付き合っていたところじゃなくて、新たなところと付き合っていかなきゃいけないということで、ディストリビューション・ネットワークの再構築みたいなことを各製造業、ずっとやっているんですよね。今までは、どっちかと言うと受け身で付き合ってきたと。向こうから売りたいというふうに問合せがあったので、じゃあ、ここ、しっかりしてそうだから付き合おうかと。日本の企業は、契約書は、守りの契約書は非常にしっかりできているので、基本的には、単年度契約で非独占の契約をして、キャッシュオンデリバリーで、キャッシュが先でものが後という形態であればいいですよということでやらせてきた。ただ、これだけ急激に中国やASEANの市場が伸びてくると、いわゆる20年30年前に契約をしたディストリビューターで今後もやっていっていいのかと言うと、必ずしもそうじゃないので、ディストリビューターのスイッチング、もしくは、これから出ていくような企業は新たにディストリビューターを選んでいくということになっていますと。その中で、ディストリビューターというのは、一度決めてしまうと、なかなかお別れするの大変ですよという話をして。
今日はポイントの話なので、こういうごちゃごちゃしたことは言わずにポイントだけをもう1回整理をすると、またちょっとすみません、まとまりのない話になってきちゃいましたけど。ポイントは、いいディストリビューターをどうやって選ぶかのポイントはもう、2つの軸で僕は見る。自分たちが納めたい、B2Cだったら小売、B2Bだったらユーザーに対して口座を持っているのか否かということをしっかり見ていく。要は、いいディストリビューターと付き合って、蓋を開けたら自分たちの狙っているところに、ターゲットに行けなかったというのがすごく残念なことで。重要なのはターゲットなんですよね。自分たちはどこに売りたいんだということをまずメーカー自身、製造業自身が明確にするということは非常に重要。その自分たちが売りたいターゲットにリーチをしているディストリビューターなのかどうなのかということが、もう、ディストリビューターを選ぶ最大で唯一のポイントと言ってもいいかもしれません。ただ大きいからとか、ただ強いからとか、ただ順位がいいからと言って付き合って、いざ蓋を開けてみたら、自分たちの狙っているところは半分しか打率がないとか、半分届かないとかって言うんじゃ全く意味がないので、自分たちが戦略上狙っているターゲットがどこで、そこにリーチしているディストリビューターなのかどうかということを見ないといけない。多くの日本企業は、ターゲットが不明確なんですよね。何となくこんなターゲット、とにかくたくさん売りたい。なので、強くて大きいディストリビューターを選びたい。じゃあ、ここですね、やってください、自分たちはつくる人、売るのはあなたたち、蓋を開けてみたらなかなかうまくいかないと。文句を言うんだけども、「おまえたち分かっていないんだから、任せとけ」と言われて、「うん、確かにな…」で終わってしまうという、そんな状況が続いているので、やっぱりターゲットファーストでそのターゲットにリーチしているかどうかを事前にしっかりとチェックをする。これってディストリビューターの絞り込み、発掘選定のフェーズで必ずやることなんですよね。もう1つは対競合に比較して、対競合のディストリビューターと比較して、自分たちがこれから契約をしようとしている、もしくは自分たちが今契約しているディストリビューターの戦闘能力がどうなのかということですね。自分たちのディストリビューターには何が足りていて何が足りていないのか、自分たちのディストリビューターは競合のディストリビューターと比べて、そのケイパビリティが数値で見てどうなんだと。例えば、ストアカバレッジはどっちが高いんだとか、ユーザーに対するリーチはどう高いんだ、自分たちが、例えば、産業セクター4つの分類ぐらいに分けたときに、例えば、通信系のインダストリーを攻めたいとなったときに、その通信系のインダストリーではどれだけリーチしているディストリビューターなんだということを敵のディストリビューターと比べて比較をしていく、この2軸で見ていくということを僕はやります。
結局、新興国に日本企業が、製造業が入ったときに、必ずそこには先駆者がいる、欧米を中心とした先進グローバル企業が先駆者として存在していて、彼らとの競争なんですよね。彼らとの競争で、彼らのディストリビューターとのケイパビリティに差があれば、これはマーケットシェアの差としてどんどん、どんどん、開いていく。この差をどうやって埋めるかということが重要で。例えば、彼らのディストリビューターの戦闘能力値を100とした場合、自分たちが選べたディストリビューターは、自分たちはこの競合よりも知名度もブランド力もないので、第2位、第3位のディストリビューターしか選べなった。そうすると8割の力しかない。そうすると、この2割を別の何かで埋めていかないといけないわけですよね。けど、その差が全く分からない中、敵のディストリビューターがどういうディストリビューターかまでは知っている、どのディストリビューターを使っているかまでは知っていて、何となく強いということも知っているけど、具体的に数値で彼らの戦闘能力は分かりませんみたいな日本の製造業が非常に多くて。ここと競争しているのに、なぜ敵のディストリビューターの調査をしないんだ?というのを僕は非常に不思議に思うので、ここはやっぱり見ていかないと、この差がシェアの差なので、この差を埋めることがシェアを追いつかせることだし、シェアを抜き返すことにつながるので、この対競合のディストリビューターと比べて自分たちのディストリビューターはどうなんだという軸と。あと、自分たちが納めたいユーザーさん、B2Bだったら、B2Cだったら小売に対してのリーチがどれぐらいあるのかということを具体的に知る、この2つのポイントをしっかり見ていきましょうということと。あと、スキルセットなんですよね、これらというのは、スキルセット。もう1つ重要なのはマインドセットで、マインドセットというのは、その会社のオーナー社長と絶対に会わないと駄目。ディストリビューターというのは95%以上華僑です。華僑の人たちで、もう非常にワンマン、社長が右と言ったら完全に右だし、いくら担当部長や担当取締役と話しても、社長の一声で全然ひっくり返って、話がひっくり返ってしまうので、いかにオーナー社長と話すか。そして、そのオーナー社長がどれだけ自分たちの会社や自分たちの商品、そして、自分たちがやりたいことに興味を持ってくれて、これから一緒に投資をしようと考えてくれるか、ここの温度を測れるのは製造業側も、やっぱり経営者じゃないと駄目ですよね。部長クラスが出ていって、華僑のオーナー企業、数百億だと言ったって、社長さんと話をしても、視点が全然違うわけですよね。サラリーマンの部長と、中堅、数百億の中堅企業の社長、しかも華僑でね。これだとなかなか、やっぱりお互い違うあれになってしまうので、少なからず執行役員クラスか取締役の担当役員クラスを出していって、しっかりとトップ同士で話をさせるということをしないと、なかなかその辺のマインドセットというのはきっちりならないので。そんなに役員クラスが出ずばっていって何回も何回も会わなきゃいけないという話じゃないので、最初に決めるときに最後の1回、下が全部お膳立てしたところを最後に1回決めていくというところでは、やっぱり役員同士でしっかり話をするというのが目線としては非常に重要なことだと思います。特に華僑の会社と付き合うときはそうだと思います。
以上、これでいいディストリビューターを選ぶポイントです。時間が来てしまいましたので以上にしたいと思います。それでは、また皆さん次回お会いいたしましょう。