第194回 フィリピン PUREGOLDから仕入れるサリサリストア(伝統小売)
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、フィリピンのお話をしたいと思います。フィリピンは、FMCGの業界で、小売の市場が非常に特殊な市場で、伝統小売にとっての仕入先が、近代小売になっているという、非常に特殊な市場なので、そのことについて今日は詳しくお話をしていきたいと思います。その前に、いつもこの番組を、SPYDER CHANNELをご覧いただきまして、誠にありがとうございます。まだチャンネル登録がお済みでない方は、ぜひチャンネル登録をお願いします。また、私の話が少しでも役に立つようであれば、ぜひいいね!ボタンを押していただけると励みになりますので、よろしくお願いします。
さて、フィリピンの小売市場ですけども、近代小売と伝統小売がそれぞれ何なのかということはよく分かっていると思うんですが、フィリピンの近代小売って、3大近代小売と言われるのがあって、SM、それからPUREGOLD、そして、ロビンソンズと。あと、もう1個ルスタンズというのがあるんですけど、このルスタンズはもうロビンソンズの傘下になっているので、今は、SM、PUREGOLD、ロビンソンズという、3大MT、主要な大手MTがあると。その中で、今回はPUREGOLDというものに特化をしてお話をしたいんですが。
近代小売があって、一方で80万店の伝統小売があると。サリサリストアというふうにフィリピンでは言われますけども。このサリサリストアのオーナーが、実はPUREGOLDを中心とした近代小売で、自分たちの店で売る商品を仕入れているという、そういう実態があるんですよね。これは、日本で言うところの感覚的にどういう感じかと言うと、駄菓子屋のおじいちゃんおばあちゃんが、自分たちの店で売る商品をイオンで仕入れるみたいな、そういう感覚ですよね。それってまずあり得ないじゃないですか。基本的には、メーカーがいて、問屋がいて、小売がいると。その小売が駄菓子屋なのか、イオンなのかという話で。イオンみたいにデカいと、一次問屋から直接だけども駄菓子屋のようにちっちゃいと、一次問屋は行かなくて、二次問屋、三次問屋から駄菓子屋だという、こういう流通構造になっているので、小売が小売から買うということはないわけですよね。
でも、フィリピンの場合は、小さい小売がでっかい小売から買うということが普通の商習慣として起こり得ていて、この写真がまさにそうなんですけど、「Wholesale」というふうに書いてあって、「lane9~18」というふうに書いてあるんですけど、このPUREGOLDの店には、レジが18台、バーンとあります。そのうちの1~8が一般消費者、個人の消費者のレジで、9~18がいわゆるWhole sellerですよね、問屋さんのレジなんですよね。この問屋さんというのは、サリサリのオーナーのことを言っていて、サリサリのオーナーは、全員が買いに来るわけではなくて、やっぱり地域の、頼母子じゃないですけども、主がいて、いわゆる地域の自分たちの地域の30店40店のサリサリストアの注文を一手に引き受けて仕入れに行くという、そういう、いわゆる基幹店、一番店みたいな人たちがいるんですよね。その人たちは、自分たちでも小売もやるけどもホールセールもしていると。多少の割引があって。重要なのは割引よりも、いっぱい買っていますけども、何て言うんですか、このPUREGOLDのこの押す荷台の中にいっぱい入っていますけど、これ、商品が10個20個入りになっているんですよね。このいわゆる伝統小売のオーナーたちは、これを自分たちのお店に持っていってばらで売るんですよね。例えば、10個100円だったものをばら売りしますと。1個を、じゃあ、10円で売るのかと言ったらそうじゃなくて、近代小売では10個100円で売っているものを、100円で仕入れて、3%ぐらい安く仕入れられるのかな、97円で仕入れて、そして、1個、じゃあ、いくらで売るかと言うと、12円とか13円で売るわけですよね。そうすると、10個買ったときの割引分の3円と、1個あたりの3円が彼らの利益になっていって。それぐらいの利益でいいわけですよね。それをリピートさせて数を稼ぐというような商売で。買う側の消費者からしてみたら、いやいや、伝統小売で買ったほうが高いじゃないかと。高いじゃないかとなるんですけども、それでOKなんですよね。なぜならば、重要なのは、今使いたいものを今使いたい分だけ買うということが消費者にとって重要で、その分高いというのは、もう消費者もそれを受け入れられる状態になっているので。だから、実は、中間層とか貧困層って、お金がないじゃん、安いもの買えないじゃんという誤解を日本の消費財メーカーは持っているんですけど、いやいや、そうじゃなくて、伝統小売のほうが高く売れるんですよ、グラムあたり、1個あたり。そういう話になるんですよね。彼らに重要なのは、いかに個人のキャッシュフローをよくしてあげるかということのほうが重要で。われわれ日本人だと、シャンプーを買うにしても、予備を1個置いておいたりとか、頭痛薬でも24錠をまとめて買いますと。でも、2錠飲んだら頭痛収まって、残りの22錠いつ使うか分からないと。いつ使うか分からないのに、その頭痛薬に2,000円、3,000円出して買えるわけですよね。でも、それができないのが新興国の中間層で、彼らは今頭痛があると。なので、2錠だけを飲みたいと。これを頭痛を抑えればいいんだと。次の、起きるかもしれない頭痛のためにキャッシュフローをはき出すということは、彼らにとってはNGで。いかに個人のキャッシュフローをよくしてあげるかということがTTのビジネスでは重要で。
ちょっと話が逸れましたけども、伝統小売にとって、仕入先が近代小売になっていると。イオンから仕入れるって、こんなわけの分からない話がフィリピンでは一般、商習慣化していて、PUREGOLDという3大小売のうちの1つも、このホールセールレーンを全レーンの半分、これに割いて、仕入れをさせているというような状態なので、これはぜひ、1回フィリピンに行ったら、この現場を見ていただいて、こんなにホールセールで仕入れているんだということがよく分かると思いますので、ぜひ皆さんも、機会があれば見てみてもらえたらなというふうに思います。
それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。