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第199回 中国/ASEAN/インド 販売チャネル構築に必要な3つのこと

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、皆さまからの質問についてお答えをしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは今日の質問お願いします。今日の質問、製造業の方からの質問で、「弊社では数十年前からアジア新興国進出をしており、そこそこ、ほぼほぼ、主要となる国にはディストリビューターを設置しております。しかしながら、いずれのディストリビューターも自分が入社する前からのお付き合いで、長いところですと30年40年のお付き合いです。そんな中、最近本当にこのディストリビューターで今後もシェアが上げられるのか悩んでおります。数十年前に比べると、アジア新興国市場の重要度は格段に増しており、本当に今までのディストリビューターでこれからもやっていっていいのか悩んでいます。こういったケースはどのようにしていけばよろしいのでしょうか。アドバイスをいただければ幸いです。」ということです。非常にいい質問だと思います。この手の質問は、B2Cの製造業もB2Bの製造業も、非常に多くの製造業からいただく内容になっているので、非常にいい質問だと思います。この会社、製造業というふうに書いていますが、アジア新興国、ASEAN、中国、インドとほぼほぼ出ている、主要なところはほぼほぼ出ているという、拠点があるということなので、比較的大手なんじゃないかなというふうに思います。結局、「今まで使っていたディストリビューターで今後もいいのか?」ということは、まあ、不安なわけですよね。今の、現状のパフォーマンスがおそらくあまりよくないと。パフォーマンスがすごく上がっていれば、別にこんな質問はしてこないと思いますし、不安はないと思うので、今まで何十年、30年お付き合いをしてきてやってきたんだけども、会社としてグローバル市場でマーケットシェアを上げるという、このスピード感というのが、当然、昨今の日本企業は速まっていて。その中で本当にこのディストリビューターでいいのかというところに課題を感じられているというのがこの方だと思うんですけども。結論から申し上げると、やっぱり今使っているディストリビューターの戦闘能力をしっかり把握する、可視化するということが非常に重要で。自分たちの競合のディストリビューターと比べて、自分たちのディストリビューターの戦闘能力が上なのか下なのか、どれぐらい上でどれぐらい下なのか、自分たちのディストリビューターは何ができて何ができないのか、ということを可視化するということが非常に重要で。これをやらないと、変えるべきなのか、変えないべきなのかも全くもって判断がつかないので、このことが非常に重要ですと。

少しちょっと遡って、数十年の日本企業とアジア新興国市場のディストリビューターのお話をすると、数十年前って、日本企業にとって、アジア新興国ってあくまで生産をする拠点であって、販売をする市場じゃなかったんですよね。市場としての重要度というのは今みたいに高くなくて、非常に低かった。アジア新興国はあくまでつくる場所ですと。安い労働力を使ってつくる、ものをつくる。そして、つくったものを日本に輸出し直したり、欧米に輸出をしていくというのが当時の市場で。世界のマーケットというのは日本と欧・米、この3つのエリアで分けられていた。市場としてみなされていたのは、この日本と欧・米という、この3つの市場だった。そこに新興国というのが、ここ20年ぐらいでボーンと出てきたというのが現状です。そうすると、30年とか、それ以上前のディストリビューターって、どちらかと言うと、日本企業側から製造業側から戦略的にパートナーを見つけていったというよりかは、むしろ向こうから声がかかって一緒にやることになったというケースが圧倒的に多い。もしくは、地元政府の紹介とか金融機関の紹介とかそういうケースで、どちらかと言うと受け身の状態。向こうからアプローチがあって大丈夫っぽいなと、「お金を先に払ってくれるんだったら、ものは出しますよ。売ってみてくださいね」と。「こういうことはしないでくださいね」「ブランド棄損しないでくださいね」「何とかしないでくださいね」と、しないでくださいね契約書をしっかり結んで、ある程度、大丈夫なところに任せてみて、どうなるか見てみようと、こんなスタンスでビジネスをしていたというのが当初なんですよね。そこから30年と言うと、担当者何十人替わっているでしょうということを考えると、もう本当にそのときの実態を分かっている、そのときに契約をした当人もすでに退職をしているかもしれないし、あまり実態が見えていないというケースが非常に多いと。

私どもの会社もそうですけども、今、ディストリビューターのディストリビューション・チャネルの再構築みたいなことは、いろんな業界、B2CもB2Bも含めて行われていて。これ、30年前のディストリビューターが必ずしも今いいって限らないわけですよね。30年前の上位トップ5のディストリビューターが今のトップ5かと言うと、必ずしもそうじゃないし。あと、当時、主として売っていたものと、今、主として売っているもの、これも違う。そうすると、本当にこれから戦っていくうえで、「自分たちのディストリビューターっていいんだろうか?」って、今まで可視化したことなんてないわけなんですよね。ディトリビューターの戦闘能力なんて可視化したことないし、メーカーによってはディストリビューターにきつく言えないというメーカーもあるぐらいなんですよね。また、ディストリビューターが納めているユーザーさん、B2Bだったらユーザーさん、もしくはB2Cだったら小売さん、そういった情報もあまりメーカーのほうにはもらえないなんていう、パワーバランスが非常によろしくないようなメーカーも日本には多々存在して。これって「今の自分たちのディストリビューターが本当にどういう戦闘能力を持っているの?」ということをしっかり可視化しないといけないし、これって競合との競争なんですよね。競合のディストリビューターと自分たちのディストリビューターの力の差が5、もし、あるとすると、日々、5の差がずーっと開いていくわけですよね、シェアにしたって、売上にしたって。向こうの戦闘能力が80、こっちの戦闘能力が50だったら、30の差がずっと開いていく。この差を埋めていくということがシェアを埋めることだし、売上を上げることなので、自分たちのディストリビューターのことを具体的に数値で把握するということはすごく重要。

そして、それを競合とどう比較するかということがものすごく重要で。これをやらないと、今のディストリビューターが本当にいいのか、悪いのか、分からない。だって、もうB2BでもB2Cでも、その国のそのインダストリーにディストリビューターなんて数十社ですよ。日本の製造業が付き合ってもいいかなと思えるような主要のディストリビューターってね。その数十社のディストリビューターを全部網羅的に理解をして、それぞれの戦闘能力を数字で全部把握して、自分たちのディストリビューターが何番手にいるのかということをしっかり理解しないと、それは、今後本当にずっと付き合っていくのかどうかって、今まで長いことお世話になったとか、社長の王さんがいい人だとか、陳さんがいい人とか、そんなことだけでずっとディストリビューターと付き合っていけませんから。本当に戦闘能力を数字で把握する、可視化する、競合と比較してどうなのかをしっかり見るということが、やっぱりもう、この質問者がまずやることはそこで。今、多くの企業がそれをやっています。やった中で自分たちが本当にリーチしたいユーザーがそのディストリビューターの顧客じゃなかったとか、リーチしたいユーザーが100いて、B2Bだったらね、そのうち、今の既存のディストリビューターだったら50しかリーチしていないと。そしたら、この残りの50をこのリーチしていないディストリビューターがリーチするために何年費やさなきゃいけないのかということを考えると、残りの50はやっぱり別のディストリビューターに任せたほうがいいとか。B2Cでも、自分たちが配荷した小売に50%しか配荷できていない、残りの50%はやっぱり別のディストリビューターに任せたほうがいい。特にB2Cなんかは、MT、TT、近代小売、伝統小売って大きく違って、近代小売に強いディストリビューターが必ずしも伝統小売に強いとは限らない。そうなってくると、やっぱり伝統小売の配荷が進まないということは、伝統小売は伝統小売で別途ディストリビューション・ネットワークが必要だった、なんていうことも全然あるので、まずは既存のディストリビューターの戦闘能力を数字で把握する、可視化するということが非常に重要です。それがあって、どうするかということが決めていけるんじゃないかなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。