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第204回 中国/ASEAN/インド 販売チャネル構築 – 管理育成

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日でシリーズ最後になりますけども、販売チャネル構築に重要な3つのことということで。発掘選定、ディストリビューターの発掘選定、いかにいいディストリビューター、適したディストリビューターを発掘選定するかということと、その発掘選定したディストリビューターといかに契約交渉していくかということ、そして最後に、契約をしたディストリビューターをいかに管理育成するかという、この3つが非常に重要で。今日は、この3つ目の管理育成についてお話をして、このシリーズは終わりとしたく思います。

たいがいの場合は、ディストリビューターを発掘選定して決めて、ディストリビューターを決めて契約したらそれでおしまいと。「自分たちはつくる人で、売るのは彼らなので」というのが、おそらく日本のメーカーのほぼほぼのメーカーの常識なんじゃないかなというふうに思います。ただ、残念ながら、新興国に行けば行くほど、ディストリビューターというのは、管理育成しないと思い通りにはなりません。特に、新興国…、先進国、新興国、後進国とあった場合に、後進になればなるほど、もう想定外のことをディストリビューターがしてくるので、そういったリスクを防ぐという意味でも管理育成をしないといけないし、今まさに成長著しい新興国であっても、やっぱりディストリビューターを管理育成していくことが、本当に予定、目標、想定と違うことが何か起きたときに瞬時に対策を打つという、本当に一番の早道なんですよね。なので、この管理育成というのは非常に重要で。

この概念自体が、たぶん、まず日本のメーカーというのは持っていないと思います、B2CもB2Bも。なので、この管理育成という概念を、まず持つということは重要で。管理育成って、そんなに大それたことを考える必要はなくて。契約交渉のときに決めたことが実際にちゃんと行われているかということを、マンスリー、できればウィークリー、本当にできればデイリーでしっかり見ていく。これも、管理をすることでディストリビューターもセールスマンもExcel地獄に陥れるとか、そういうことではなくて、彼らが管理していないような状態で、日々のデイリー、KPIの報告がバンバン上がってきてしまうような仕組みをつくってしまうということはすごく重要で。もちろん、製品研修とか何とか研修って、一般的な教育研修みたいなものは、それはそれでやったらいいんですけども。ここで言っている管理育成というのは、決めたKPIがしっかり運用されているかということを見ていく。これ、マンスリーで見ていったら、1年間12カ月なので、1カ月しくじったら、これ修正するのにもう、1カ月かかって2カ月はロスすること。そして、3カ月目から正常に回っていくとすると、12カ月のうちの2カ月ロスすることになるので、やっぱり最低でもウィークリーで見ていかないと、これって全然駄目でございまして。KPIはシンプルに、B2Cであれば、ストアカバレッジとインストアマーケットシェアにしなさいという話を前回しましたけども、これがしっかり回っているかということはすごく重要で。これが回っていなかったときに、乖離が出たときに、どういう対策を打つんですか?ということと、キーマンを同時に育成していくということが、この管理育成ではすごく重要で。まずは、KPIがちゃんと進んでいるのかということをウィークリーで見ていく、ということは非常に重要で。

スライドをちょっと替えてもらって、2番のスライドにしてもらって。KPIの管理ですよね。それから、管理育成が、何を言っているのか。それから、乖離が起きたときに対策をどう打つかということが2つ目。3つ目がキーマンの育成をしていくという、これをうちは管理育成というふうに呼んでいるんですが、あんまり相手、管理をされる側というのは当然嫌がります。ディストリビューターも嫌がります。突然、管理もしたことない人がいきなり管理をするというのは、もう本当に嫌がられるし、おまえら分かっていないんだから、何をごちゃごちゃ言っているんだという話にもなりかねないので。今までの発掘選定から全部つながっているんですよね。いきなり、突如、管理育成をしたってあまり意味がなくて、発掘選定があって、契約交渉をしっかりしているから、その後の管理育成がしっかりできるという、この一連の流れの管理育成になって。契約交渉で決めたKPIがウィークリーで本当にできているのかというのが、これが自動で報告が上がるような仕組み、これも今、アプリでもすぐできてしまうので、われわれなんか、もうアプリで営業マンが写真をピッて撮って、それが自動で送られてきて、今日できているねと。数字を埋めていくと、それが自動で吸い上がってきて、CSVで全部集計されるみたいなものをつくってしまって、管理育成をしたりするプロジェクトベースでやっていくんですけども。そんなことをやっていって、とにかく消費財の場合、営業マンがお店を回って、会社に戻って、家に戻って、Excel打ち込んで、それをメールで送ってみたいな、こういうアナログチックな管理だったら、もうやらないほうがいいので。いかにオートマチックにできるか。今、アフリカのへき地へ行ったってGPS飛んでいるわけなので、いかにGPSで回りながらそれができるかということと、あと、管理する側の責任として、自分たちがよく分析もしないものをデータだけ集めさせて安心を得るなんていうことは全く意味がないので、自分たちがそれをしっかり分析して、その後のアクションに生かせないんだったら、データなんて集めさせないほうがよっぽどいいので、それは集める側の責任としてはしっかり理解をしないといけない。そして、難しいこと、複雑なことは絶対にさせちゃいけないので、新興国になればなるほど、管理育成されていることが想像しないぐらいのレベル感でやっていくということと、日々のルーティンのセールスの活動の中で、いわゆるKPIをやれたか、やれていないかということが上がってくるような仕組みをアプリなんかを使ってしっかりやっていくということはすごく重要で。

ちょっとスライドを替えてもらって、3個目のスライドを。KPIは、ストアカバレッジとインストアマーケットシェアなので、どれだけの店舗に置けたかということと、その店舗の売上がどうだったかということを見ていくと。これをやるときに、ちょっと採用基準の話をしたいと思うんですけど、この図に「採用」とありますけど、新しくセールスを採用したりっていうケースも当然あるので。採用基準なんですけど、やっぱり、これはケイパビリティとパーソナリティという2つの軸の中で、この消費財のビジネスで、セールスをやるということはそんなに高いケイパビリティって求められないので、やっぱり僕はパーソナリティ重視、どれだけ毎日同じことを愚直に真面目にやっていけるか。そして、飽きないかということはすごく重要で。ケイパビリティが高すぎる子を雇用すると、飽きて辞めてしまうんですよね。そのうち休みが多くなってきて、親戚のおじさんが何人も死んでいって。死んでいってというのは言い訳でね、「親戚のおじさんが死んだので、今日休みます」と言うんですけど、この人何人親戚がいるんだろう?というぐらい親戚のおじさんが死んだり。自分のauntieとかuncleが死んだりとかということになるんですけども、だんだん、だんだん、出勤が少なくなって辞めていくということになるので。やっぱりパーソナリティ重視ということはすごく重要で。誰を採用するかで、全然、管理の負荷が変わってくるので、そこはすごく重要です。優秀な人間を採用しなきゃいけないというのはそうなんだけども、どういうレイヤーのどのポジションの人はやっぱり優秀じゃなきゃいけないけども、どのレイヤーの人は優秀…じゃないと言うとちょっと失礼だけども、ケイパビリティよりパーソナリティなんですよね。いかに同じことを毎日愚直にやれるかということはすごく重要で、そういう人材を採用するということはすごく重要です。あと、マネージメントの基準なんですけども、これに関してはシンプルに、Excel地獄は絶対やらないということと、複雑なことはさせない。管理されていることを気付かないぐらいの手間、もう本当に、管理をする側が分析もしないのにやたらと細かいデータを集めさせたりとか、そんなの本当に意味がないので、「どれだけのストアを今日あなたはカバレッジできましたか?」ということと、「そのストアでのインストアマーケットシェアどうでしたか?」ということの2点だけを、行ったときにアプリで入れて、もうそれで管理が終わるみたいな、そういう管理にしてあげるということがすごく重要だと思います。

あと、育成基準を明確にして、どういうふうな成功モデル、いろんな商材によって成功モデルって微妙に違ってくるので、いかに自分たちの商品で成功モデルを確立して、それを基準、自分たちの基準にして展開をしていくかっていうことはすごく重要なので、そういったこともしっかりやっていかないといけない。だいたいこの3つぐらいをしっかりやっていけば、管理育成はほぼほぼできるので。ちょっと管理育成と聞くと、ものすごい難しいことをやるのかとお思いですけども、そんなことはなくて、契約交渉のときに決めたKPIを本当にしっかりできているのかということを、最低ウィークリーで、できればデイリーで、しっかり見ていく。そのときのポイントは、あまりExcel地獄みたいな細かいことをされるのではなくて、それがオートマティカリーに吸い上がってくるような状態でそれを実施するということはすごく重要で。これをやるからこそ、何か問題が起きたときに対策が打てるわけですよね。いい上司の、いいマネージメントのポイントって、いかに仕事に適した能力、今回の場合は、ケイパビリティよりパーソナリティの高い子を採用するか、ということがまず1つですよね。その採用した子がいかに与えられたタスクをクリアしているか、ということをモニタリングするということが1つですよね。それができなかったときに、なぜできなかったのかという問題を一緒に考えてあげて、そして、その解決策を提示して、もう1回チャレンジさせるということが重要。で、それを何度もチャレンジさせてもできない子と、できる子がいて、このできない子を、じゃあ、どうしていくのか。これもまたマネージメントの非常に重要な仕事で、できない子にどうやって、じゃあ、できる子と入れ替わってもらうのかという、大変あれな話ですけども、そういうこともマネージャーの1つの大きな仕事なので、そういうこともしっかりとやっていかないといけないと思います。

これで、シリーズ全部、大変長くなりましたけども、強固な販売チャネルをつくっていくためには、ディストリビューターの選定が必要ですと。発掘選定、そして契約交渉、最後に管理育成が重要で、この3つが整って初めて強固な販売チャネルが実現すると。日本企業は、ものがいいんだけどチャネルがなかなか弱いということでマーケットシェアが伸びてこない。これはB2CでもB2Bでも同じなので、このチャネル構築にもう少し労力をかけてもらえれば、きっといい製品をつくっている日本企業ですから、まだまだ世界に、アジア新興国に、中国やASEANやインドにマーケットを広げていけると思いますので、ぜひ皆さんも頑張ってみてもらえればと思います。
それでは、また次回お会いいたしましょう。