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第207回 ASEAN市場 – ディストリビューターと良好な関係を構築する方法

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日からこのようなかたちで番組をお伝えしていきたいと思います。

実は、今までの番組というのはコロナの前に収録、だいぶ撮り貯めをしてものでございまして。撮影スタッフが当時は出社できましたので、だいぶ撮り貯めをしておりました。私の服装がセーターを着ていたりとか冬の服来てたりとかいうのがあったので気付いている方もいらっしゃるかもしれませんが、撮り貯めしたんですけども。この緊急事態宣言の少し前ぐらいからですかね、弊社もテレワークが中心になりましたので、収録スタッフを、会社に来てもらって収録をするっていうのはなかなか難しいので、もう誰も来ていないので、ここはガラーンとしているんですけど、最少人数でこうして新しいかたちで番組をお届けしていきたいと思いますので。今まで合成されたりとかいろいろしていたと思うんですが、今後はこのようなかたちでしばらくは撮っていきたいなというふうに思います。ちょうどこの番組も現地の視察動画みたいなのも結構出張が多いものですからやっていきたいなと、現場の、例えば、B2CのFMCGだったら小売の最前線、B2Bだったらユーザーの最前線みたいなところをちょっとこう現地で取材しながら放送していきたいなと思ったんですけど、ご存じのとおり、海外に渡航できませんので、そういった番組はちょっと年内は厳しいのかなと。また来年以降、そういったこともやっていきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

今回からしばらく、結構、弊社のホームページですとか、コロナになってから調査の案件が非常に増えていまして。たぶん、皆さんこう、動けないので調査をしたいなんていうニーズが、戦略をもう1回見直したいなんていうニーズが急激に増えているんだと思うんですが。弊社も海外に従業員がたくさんおりますので、ロックアップをされていない国ではその従業員たちが、調査員たちがいろんな調査を今しているんですけど。そういう中で弊社のホームぺージに寄せられるQ&A、それからPodcastはもうまもなく700回目の放送を迎えるんですが、8年ぐらいやっているPodcast番組がございます。インターネットの無料ラジオです。いろんなノウハウを配信しているので、よければ皆さん聞いてみてください。そのラジオの質問が結構多いんですけども、その質問。それから弊社が主催するというよりかは、うちの主催セミナーって年に1回ぐらいしかやらないので最近は、過去、いろんな別の主催者さんが主催するところに私が呼ばれてお話をしにいくというケースでよく出る質問。最近だとオンラインセミナーというのが非常に増えてきていまして、そのオンラインセミナーなどで頂戴する質問なんかをまとめて、海外事業をやっている企業さんが、B2CもB2Bも、よく聞きたい、分からないということを、これからいくつかに分けて1回で1問を答えていくようなかたちでお話をしていきたいなというふうに思います。すみません、前置きが長くて。早速、今回の質問なんですが。

今回の質問は。ちょっと読みますね。「どのようにディストリビューターと良好な関係を維持していけばいいでしょうか?」というような質問で。これ、質問者はB2Bの製造業です。「仮にいいディストリビューターと基本契約ができたとしても、出張ベースだと継続していい関係を維持していくことが難しいです。距離的な問題もあるんですが、接し方のコツ的な問題も感じます。この出張ベースでどのようにいい関係をディストリビューターと維持していけばいいのか。そのコツのようなものがあれば教えてください」ということなんですが。そうですね、現地に必ずしも各国現地に生産工場があったり、現地に営業法人があったりということはほぼないわけで。特にB2Bなんかですと、すべての現地に工場があるなんていうことは考えにくくて。ASEANの工場、中国の工場とこう、タイに工場があって、中国に工場があってとかっていう話になると思うんですけど。で、各国に法人があったり、あまり大きくないような、マーケットシェア的にグローバルマーケットにおけるシェアの低い国は出張ベースで対応というのが大概だと思います。その中で、どうやってディストリビューターといい関係を保持していくのかって。そうですよね、これ、いくつかポイントがあって。やっぱりディストリビューターといい関係を維持していく一番のポイントは、やっぱり売上がしっかり上がっていくことですよね。これってどういうことかと言うと、商売が拡大していかないのに、ディストリビューターはそれに対して本気にはならないわけなので、大前提として、その商売がディストリビューターにとって儲かる商売である必要が絶対あるわけですよね。どんなに人間関係を強めたって、どんなにお涙頂戴やったって、商売が発展をしていく商売でなければ、これ、ディストリビューターは力絶対入らないので、まずそこは1つ大前提として存在すると。
そうなってくると、製造業側、メーカー側がいかにその地でディストリビューターが儲けられる戦略、マーケティング戦略をしっかり持つかということはすごい重要で。日本のB2Bの製造業の場合、国内だと直販を当然しているユーザーさんもあって、直販をしない、ディストリビューターにお願いをするユーザー、お客さん、顧客っていうのもあるわけですよね。もちろん設備とか大型の装置とかっていうと、すべて直販なんていうこともありますけど。このメーカーはディストリビューターを使っているっていうことなので、直販もあれば、ディストリビューター経由もあると。その中で、ディストリビューターとやっぱりいい維持、関係を維持するっていうことは、ディストリビューターに売ることのすべてを任せない、いかに自分たちが顧客を理解して、流通を理解して、どうやったらディストリビューターが売上を拡大できるのかっていう、戦略の根本はこっちで持たないと、それを実行するのはディストリビューターであっても。日本企業の場合、戦略もディストリビューター任せ、実施・実行もディストリビューター、オペレーションもディストリビューターで、売ることのすべてをディストリビューターに任せちゃうというケースが非常に多くて。戦略はメーカーが考えなければいけない、自分たちの商品をどう売るか、誰に売るか、これ自体はもうメーカーの戦略であって、それを誰にどうやってもらうかというのは、こちらである程度仮説があったうえで先方と議論をしていく。先方というのはディストリビューターと議論をしていくということは非常に重要なので、それがやっぱり大前提としてある必要があるんじゃないかなと。
僕が見てきたB2Bの製造業、これはB2Cもそうなんですけど、多くの場合は、「基本、私たちはつくる人。売る人はあなた、ディストリビューターです。だから、あとはお任せです。頑張ってね」というのが大概ですよね。結局、出張ベースなので、年に、四半期に1回行けるところってなかなか難しいと思うんですけど、年に1回なのか2回なのか出張をして、結局、結果指標の確認出張をしに行くわけなんですよね。結果指標の確認ミーティングとかね。これって本当に意味がなくて。結果指標の確認をするんだったら行かないほうがよくて。日本って、いわゆるとにかくご挨拶にっていう訪問が非常に多いわけなんですけど、それに近いようなことをディストリビューターにやるわけなんですけど。海外だと、このとにかくご挨拶に来ましたっていうのはいまいち意味不明だったりもするわけなので、ミーティングアジェンダみたいなものはしっかりあるべきで。結局、訪問して「どうでした?」「今期どうですか?」「来期どうですか?」って結果指標を追っかけているだけだと、これ、上がりも下がりもないわけですよね。情報もディストリビューターから入ってくる情報の一方通行なわけですよ。マーケットがこうだから調子が悪いとか、何々が理由で調子が悪いとか、御社の商品でこういうものがないと売れないとか、基本的にはディストリビューター都合の情報だけが入ってくる。これだとやっぱり全く発展性がないので、結果指標のミーティングは意味がない。なんで、これ結果指標の追っかけっこになるか、結果指標の報告になるかと言うと、そもそもメーカー自身が戦略を持ってディストリビューターを活用していないから、基本的にはお願いスタンスなので、結果指標の確認方法になるというのが1つですよね。これをやっていると結局伸びないから、ディストリビューターとの関係は良好にはならないということにつながるので、そこがもう絶対的に重要ですよというのが1つと。
あと、四半期に1回のミーティングとか、年に1回のミーティング、半年に1回のミーティング訪問、結果指標の訪問ミーティングだともう全然不十分で。今回のコロナの件って非常によかったんじゃないかと思って。物理的に会えないので、テレビ会議というものが今まで以上に活用されるようになった。テレビ会議なので、別に半年に1回やっていたものを3カ月に1回、1カ月に1回やっていくということは全然ありだし、このテレビ会議に仮に切り替えたとしても、結果指標の確認テレビ会議が今までは年に1回とか2回だったのに毎月やられたらディストリビューター側も意味のないテレビ会議はやりたくないと。だって、結果指標の確認ですもんね。調子がいいときはやってもいいけども、調子が悪いときは特にやりたくないっていう話になるので、やっぱりさっき言ったように、繰り返しになりますけど、メーカー自身が戦略を持って、その結果指標のおかげではなくて、その決めたKPIがしっかりと維持されているかどうかということと、維持されていないんだとすると、じゃあ、どうすればそれが維持されていくのか、その問題が何なのかということを明らかにして、その問題の対応策を一緒に話すというのが、そもそものミーティングの主旨なので、そういうことをきっちり決めていくということをやっぱりやっていかないといけないですよね。

なので、いい関係を築くのは、売上をずっと上げ続けるということがすごく重要で、これはメーカー側がディストリビューターにやらせるうえでもやっぱりそうだし、ディストリビューターがそれを受け負う身でも、売上が上がっていくものは力が入りますから、そこは絶対ですと。それにはメーカー側がしっかり戦略を持ちましょうねというのが1つ。

あと、もう1つが、今言ったテレビ会議で頻度を上げていくという、接触頻度を上げていくということはすごい重要なんですけども、その結果指標の確認接触頻度だと、これはディストリビューター側からしたら全く意味がないので、その売上を上げていける接触頻度を上げるということなので、やっぱり結果指標を追っかけないということですね。追っかけられるミーティングほど嫌なものはありませんから。アジェンダをしっかり決める。そこがポイントなんですけど、今までそういうやり方をしていなかったメーカーがいきなりそういうやり方に切り替えて、じゃあ、ディストリビューターがそんなに急に、はい、気持ち切り替えてビシッとやれるかと言ったらそうじゃないので。これ、今までそういううだうだのやり方をしてきたメーカーさんであれば、徐々に徐々に変えていくということが重要で。もしくは相手の担当者が代わったときにかなりダイナミックに変えていくというチャンスなので、そういうふうにしていくということが1つ。

あと、これ、アジア新興国、どこの国でも共通しているんですけど、ディストリビューターといい関係を維持するのは、もう1つ、もちろんさっき言った売上が上がっていくということが大前提ですけど、トップ同士の関係をしっかり構築するということはすごい重要で。結局、ディストリビューターって、華僑が、ほとんどもう華僑ですよ、アジア新興国。華僑で一族経営でスーパーワンマン。その一族の社長を絶対押さえないと、これ、ブランドマネージャーとかキーアカウントマネージャーといくら話していたって、これは現場の話で。現場のセールスと、キーアカウントマネージャーとかブランドマネージャーとのコミュニケーションがスムーズにいくかいかないかというのは、もっと上層のトップ同士の関係がいかにしっかり構築できているかということがすごい重要で。日本のメーカーの海外担当役員なのか、執行役員でもいいですよ、海外担当部長でもいいと思いますが、それはディストリビューターの規模とメーカーの規模、1兆円のメーカーが数十億のディストリビューターの社長と会うわけにはいきませんから、どのレンジを出すかというのは別にして。ある程度、その場で即決即断できるような人、そういう立場の人がディストリビューターの社長としっかりと関係を築いて、年に最低1回は食事をしていくということをしないと、これ、現場はうまく回らないですよね。現場をうまく回すか回さないかは、正直トップ2会談にかかっているので、ディストリビューターの社長と、メーカー側の担当役員との関係をどう維持するかという話で。年に1回の会食はそうだし、何なら3年に1回ぐらい一緒に家族ぐるみの旅行でもしたら?というぐらい、たぶんすごく重要で。コロナ禍の前は日本によく来ていたので、私なんかもよくやりましたけど、「ニセコに行く」と言ったら、そのニセコに自分の家族を連れて一緒に合流して、そこでしっかりねっちょり付き合うみたいなことをすれば、これは少々うちの取り扱い比率が他社よりも低くても重要視してくれることにもなりますし、それぐらいちょっと昭和的な泥臭い関係をしっかり担当役員がやるということをやっていかないといけないので。これ、華僑、一族経営との付き合い方の本当にある意味、昔の古き良き日本の時代にもそういう付き合い方はあったと思いますけども、やっていかないといけないなと。そうしないと、現場が回らないですからね。トップダウンでバーンと言ったら、すぐに現場のブランドマネージャー、アカウントマネージャー動きますけど、これ、上が何も見ていないと思ったら、にっちらこっちら綱引きしているだけになってしまうので、やっぱりそういうことはしっかりやっていったほうがいいんじゃないかなというふうに思います。

ちょっと長くなっちゃいましたけど、すみません。今回はこれぐらいにしたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。