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第241回 海外事業になぜマーケティングが必要かという話

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、海外事業にはなぜマーケティングが必要なのかというお話をしていきたいと思います。

この海外事業、海外で収益を上げるという行為に際して、なぜマーケティング力が重要なのかということなんですが、実はこれ、国内の事業においても当然ながら必要で、マーケティングというのは国を問わず、どこで事業をやるうえでも実は絶対的に必要であると。ただ、一方で、国内の事業を語るときには、やっぱりマーケティングよりも先に営業力が来てしまうし、特に売上を上げるということに関しては、マーケティングをどうこうというよりも、やっぱり営業力をどうこうするという議論のほうが積極的になされてしまうと、これは当然のことなわけなんですけど。一方で、海外、特にアジア新興国の場合だと、この営業力だけで海外で収益を上げようとしても、どうしても空回りしてしまって、マーケティング力が必要だということに陥るわけなんですが。じゃあ、なぜ国内では営業力で、海外ではマーケティング力なのかということを今日はお話をしていきたいと思います。このことが理解できると、自分たちがどういうスキルセットを持って海外事業に挑むべきなのか、もしくは、どういうスキルセットを持った人間が海外事業に適しているのかということが分かると思いますので、皆さんの海外事業も今まで以上に進化をさせることができるんじゃないかなというふうに思います。

それでは、早速お話を進めていきたいと思うんですが、スライドをお願いします。1枚目のスライド。マーケティングの定義のお話からまずやっていきたいんですけど、「マーケティングって一体何だ?」ということなんですが、マーケティングの父であるフィリップ・コトラーは、マーケティングを、ものを企画して、商品を企画して…。市場調査をして、商品を企画して、商品を開発して、生産して、管理して、流通網をつくって、流通に流して、販売促進して、営業活動をして、そして代金回収をして、アフターサービスをする、この一連の業務すべてをマーケティングだというふうに言っているわけなんですよね。一方で、多くの日本のビジネスパーソンは、マーケティングをどちらかと言うと川下の、対消費者に対してどうこうする行為をマーケティングというふうに捉えがちであると。なので、特にB2Bの企業、業界では、B2B企業、製造業に関しては、マーケティングというのは著しく遅れているし、B2Cの企業がやるものだと。さらには、対消費者とのプロモーション的な、何かそういうようなものがマーケティングだというふうに捉えられがちなわけですね。ただ、全くそれは違って、この図の通り、マーケティングというのはこの一連の行為を、領域をすべてマーケティングというふうにフィリップ・コトラーは定義をしているわけですけども。営業の領域というのは、この顧客アプローチ、顧客提案、顧客クロージングという、非常に狭い営業活動の中だけを営業というふうに言っているわけなので、言うと、営業力よりも圧倒的にマーケティング力のほうが効果を生み出す力というのは大きいわけですよね。もちろん営業力のほうが即効性はある。即効性はあるんですけども、これは継続はしていかないわけですね、営業力だけだと。マーケティング力がないと、永遠に継続をさせていくということはできないわけですよね。なので、特効薬みたいなものが、私は営業力だというふうに思っているので、この営業力をいかに継続させるかということを実現できるのがマーケティングだし、むしろ新規の国、0から始めるような国では、いきなり営業力だけあっても、まず、ものがないし、どういうものが市場に求められているのか分からないわけだから、市場調査から始めないといけない。そうすると、やっぱりマーケティングが必要だということになっていくわけなんですが。このスライドに書いてある通り、マーケティングとは市場に求められる商品が何なのかを考えて調査して、そして企画し、開発し、生産し、物流網や販売網、それから販売促進の方法を考え、実際に販売してみて、代金を回収して、アフターサービスをするという、この一連の活動を指しているわけなんですけども、対して、営業とは、単純に商品を販売することを指しているわけなので、これら2つは実際にこの領域の深さと広さというのは全く違うわけなんですよね。

では、なぜアジア新興国のビジネスではマーケティング力が重要かというお話なんですが。次のスライドをお願いしたいんですけども。日本国内でのビジネスというのは、言ったら、「あるあるビジネス」なんですよね。皆さんの会社の知名度もあるし、消費者の支持だってある。これはB2Bの企業であればユーザーの支持があるわけですよね。B2Cだったら小売の信頼もある。B2Bは小売は関係ないので。それから販売チャネルももうすでに存在しています。これは直販だろうが、中間流通を使おうが、販売チャネルもあります。ノウハウもあるし、オペレーションも回っているわけですよね。なので、すべてがあるあるづくしのビジネスを実は国内ではやっていて。現状の1を2にするとか、2を3にする能力が求められているわけですよね。つまりは、先人がつくった土台の上で、先人がつくった1をどうやって2にするんだ、どうやって3にするんだということをやっているのが日本国内のビジネスなんですよね。これはベンチャー企業でない限り、何十年とか、100年の歴史ある大企業というのは基本的にそうなので、新規事業とかって言ったって、基本的には土台はあるわけですよね。大半のインフラはあって、そこに新しいコンテンツを流し込んでいくという話になるので、言ったら、すべてが揃っていますよと。その揃っている中で、どうやって掛け算で増やしていくんですかという能力が日本国内では求められる。なので、マーケティングの中でも、非常に狭い領域の能力が求められる。究極は営業力が求められると言ってもいいのかもしれないですよね。国内のビジネス。だって、全部揃っているんだから、これをどうやって消費者なりユーザーなりに押し込んでいくという、この営業の力が重要だと、こういうのが国内ビジネス。

一方で、「海外のビジネスってどうなの?」といったときに、これは「ないないビジネス」で。知名度もない、消費者の支持もない、小売りの信頼もない、販売チャネルもない、ノウハウもない、オペレーションもないと、すべてがない状態からなんですよ、新規で参入するということは。もちろん、これだけグローバルが進んでいくと、皆さん、大企業なので、皆さんのような大企業の会社名は、もちろん聞いたこともある、聞いたこともあるし、知っているのかもしれない。流通事業者も小売も知っているのかもしれない。ただ、他の欧米の先進的なグローバル企業とか、現地のローカル企業と比べてどうかというのは、知名度は圧倒的に少ないし、B2Cなら消費者の支持もないし、B2Bならユーザーの支持もないし、小売の信頼だってやっぱりそんなに大きいものではない。販売チャネルだってまだ脆弱だし、ノウハウだって、オペレーションだって、まだまだ回している年数が全然国内と比べたら違うわけですよね。そうすると、これって0からのスタートに等しくて、0をどうやって1にするんだという能力が求められると。だから、求められるスキルとかケイパビリティというものが、全く国内のビジネスと海外のビジネスは違っていて、これがマーケティングが海外では非常に重要になりますよということなんですよね。なので、日本での実績がもちろんあって、それを引き下げて海外に行って、なかなか成功しないというのはまさにそこで。0ベースでマーケティングは考えなきゃいけないし。私は海外のビジネス、新規に参入する国のビジネスって、0→1ビジネスなので、むしろ起業していくというようなことと同じで、もしかすると、第2創業に近いようなことをいろんな国でやっていかないといけないのかもしれないわけなので、やっぱりここが非常に重要になってきますよ。つまりは、マーケティングを駆使してやっていく必要があるんですよということになるので、人も個も組織もいかにマーケティングをベースとして物事を組み立てていけるかということがたぶん非常に重要で。そういう力を持った人が海外の事業をやるべきだし、海外の戦略をつくる部門で働いていくとうまくワークするんじゃないかなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。