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第25回 財閥系や同業種との提携、JVの落とし穴

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アジア新興国などで事業展開する際には大きな落とし穴が存在します。そのポイントは日本企業が多く行う、地場の財閥系企業や大手同業種との提携、合弁会社の設立です。これらは目的を明確にしない限りせっかく強い相手と組んだつもりが、想像していた成果を上げられないという結果に陥ってしまいます
この落とし穴のポイントについて解説します。

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みなさんこんにちは。
スパイダーの森辺です。
今日はASEAN事業における財閥系や大手同業種との提携、JVの落とし穴についてお話しします。
日本企業は ASEAN市場などで事業展開する際に地場の財閥系企業や大手の同業種との提携や合弁会社を設立して進出するというケースは少なくありません。しかしここには大きな落とし穴が存在し、このことを知らないとせっかく強い相手と組んだつもりが、なかなか想像していた成果を上げられないという結果に陥ってしまいます。今日はASEAN事業における財閥系や同業種との合弁事業における落とし穴について一緒に学んでいきましょう。

まず、最初に申し上げたいのはみなさん の合弁事業の目的は何なのかということです。財閥系や同業種と組む目的。多くの日本企業は販路を求めて地場の大手財閥系同業種と合弁会社を設立します。しかし、みなさんの言う販路とは一体何なのか。財閥 系企業も同業種も販売チャネルというものは自分たちのグループ会社の外に持っているディストリビューターや、ディストリビューションネットワークのことを言っている。そうすると合弁事業を作るということは、当然出資比率にもよりますが、リスクを半減する代わりにプロフィットも半減するというのが合弁企業です。その代わりスピーディーに事業を進めて行こう、という目的で合弁をするのですが。みなさんが求めているものがたかだか販路 なのであれば、ディストリビューションチャネルというものはみなさん自身が作らないといけない。ディストリビューションチャネルが欲しいがためにみなさんのリスクを半減させて、プロフィットを半減させるというところにいったい経済合理性がどれだけあるのか。例えば先進グローバルメーカーのネスレ、P&G、ユニリーバがASEAN市場でそんなことをしているのか。当然やっていない。彼ら は自前でディストリビューターやディストリビューションチャネル、ディストリビューターネットワークを作って、自前の販路を構築している。したがって本当に財閥系企業が必要なのか。本当に同業種との提携が必要なのか。例えば同業種との提携でよくあるのは、同業種の企業のいわゆる生産能力というのは品質的に見ても自分たちよりも低い。したがって彼らが作る商品は地場の中間層向けの製品で、合弁会社で作る商品は地場の富裕層向けの製品である。一見非常に耳障りのいい合弁アイディアなんですが、実はそこには大きなコンフリクトが存在する。同業種のメーカーにしてみたら、自分たちが作っている中間層向けの製品の方が日本企業との合弁会社で作るごく1部の人しか買わない富裕層向けの消費よりも圧倒的に売れるし、圧倒的に利益率が高い。そうなった時に結局技術 だけを吸われて旨みを全部合弁先に持って行かれるというケースは少なくないのです。
重要なのはみなさん の合弁や提携やJVの目的が何なのか、ということです。それが、もしたかだか販路なのであれば、ディストリビューションネットワーク を自前で構築するということが、みなさんのやるべきことだと思います。
先進グローバル企業もそうしているし、現地で高いマーケットシェアをもっているグローバル消費財メーカーはみな自前でディストリビューターチャネルを構築しています。決して財閥系や同業種との合弁や提携、JVを完全否定するわけではありませんがみなさんの目的は何なのか、ということは大変重要になります。

それではみなさんまた次回お会いいたしましょう。