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第263回 「STP」で現実的な売上予測ができる

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「マーケティングの基本プロセスの「STP」で現実的な売り上げ予測ができる」ということについてお話をしていきたいと思います。

この番組で、ここ最近マーケティングの基本プロセス「R」「STP」「MM」のお話をしていますが、今日はその「STP」のお話なんですが。「R」の次の「STP」。「STP」というのはセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略ですけども、これをしっかりやっていくと、皆さんがこれから出ようとしている国でどれぐらいの収益を確保できるかということが非常に細かく想定することができます。どれだけ掘り下げるかによって、その粒度、細かさというのは変わってくるんですが、基本的にはこの「STP」をしっかりやると、自分たちがどれぐらい収益を得られそうかということをしっかりと把握することができます。今日は、「「STP」で現実的な売り上げ予測ができる」ということについてお話を、一緒に学んでいきましょう。

では、スライドをお願いします。まず、マーケティングの基本プロセス、「R」「STP」「MM」とあって、今日は「STP」ですよということで、このセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング。

簡単に言うと、セグメンテーションというのは、どんな層に売ったらいいの?ということでございます。結局、これは市場を狙うときに、ある程度セグメンテーション割りするわけですよね。要は、区分けをするわけですよね。ばくっと、顧客、ドーンという話ではなくて、例えば、B2Cであれば、富裕層をターゲットにするのか、中間層をターゲットにするのか、それとも低所得者層をターゲットにするのか、3つのレイヤー、例えば、ざっくり3つのレイヤーになるし。もしくは、年齢で切ってもいい、性別で切ってもいいし、ある程度、セグメンテーションできるわけですよね。セグメントに分ける。B2Bであれば、例えば、よくありがちなのが、産業分類で分けていく、インダストリーで分けるというのがあるわけですよね。部品をつくっているような製造業、B2Bの製造業であれば、例えば、自分たちのこの部品は自動車産業で使われている部品である、もしくは通信事業で使われている部品である、もしくは何とか事業で使われている、だいたい4つぐらいのインダストリーに分けることができる。そして、自分たちは最初にどこのセグメンテーション、どこのインダストリーを狙うんですかということを見ていく、これがセグメンテーション。

ターゲティングというのは、セグメンテーションの中でも具体的にどこを狙うの?例えば、中間層、B2Cだったら中間層ですと。中間層と言っても、どこなんですかと。フィリピンの中間層ですと言っても、大きく分けて3つの主要島があるわけですよね。そしたら、ミンダナオなんですか。それともどこなんですかと言うと、メトロマニラの何々地区の中間層をまずターゲティングしていくんですよと、より具体的にセグメンテーションを絞り込んでいくという、これがターゲティングですよね。これはB2Bでも一緒です。自動車産業を狙うんだったら、自動車産業の中の、自動車産業と言ったらプレイヤーは決まっていますから、バイネームでこの企業とこの企業とこの企業を狙うんですぐらいまでたぶん細かくしていかないと駄目ですよね。なので、これがターゲティング。

ポジショニングというのは、自分たちの立ち位置をどういうふうにするんですか。どういう立ち位置を目指しますか。自分たちはどういうふうに顧客の心に独自化するのか。顧客にどういうふうに見られたいんですかということですよね。これがポジショニングで。これがしっかりないと、商品というのはしっかりと定着していかないので、このポジショニングというのも非常に重要で、日本企業の場合は、もうプレミアム戦略一辺倒なので、どの企業も高品質・高機能みたいな、こういうポジショニングを、自分たちは自分たちなんですみたいなところで一辺倒になってしまっているんですけど、高品質・高機能のmade in Japanの優れた品質みたいなことは、もう世界の周知の事実なので、それは皆さんが意識しなくてもポジショニングとして絶対持つんですね。日本の企業と言われただけで、もうそういう印象は世界のB、世界のCはみんな持つわけなので、それ以外の自分たちの立ち位置をやっぱりしっかり表現をしていくということは非常に重要で。Appleなんかのポジショニングなんか非常に素晴らしいですよね。欧米のヨーロッパのメーカーなんかも非常に素晴らしい。自分たちはこうですと。自分たちの考えるクールはこうなんです。はっきりこんなことは言いませんけど、これが自分たちのクールなので、これに共感する人はぜひ買ってください。そうでない人は買わなくて結構ですとは言わないまでも、そういうスタンスでいる。言ったら、日本の企業みたいに八方美人戦略じゃないんですよね。大人にも子どもにも、家族持ちにも独り身にも、お年寄りにも若者にも、女性にも男性にも、みんなに愛してほしいですみたいなことではなくて、自分たちはこう、というものがもう明確にあって。それに対して、その動かない姿勢、スタンス、自分たちはこうなんだというブレない軸、これに対して消費者が酔いしれて、グーっと求心されていくというのは、これは昨今の先進的なグローバル企業のポジショニングの非常に特徴的なうまい部分ですけども、こういうものですよと。

もう少しちょっとマーケティングっぽいお話をすると、セグメンテーションというのは市場の…。すみません、次のスライドをお願いします。セグメンテーションとは、市場の中で同じような欲求や行動を持った集団をグループ化することですよと。まずはやっぱりグループ化をして、セグメントで分けていくということをしないと、どこから攻めていくかということはできないので、まずはそれをしましょうねと。ターゲティングというのは、セグメンテーションした市場から自分にふさわしい市場を決める。さっき言ったように4つ、B2Bだったら4つのインダストリーの中のどこから攻めるんですか。B2Cだったら、富裕層、中間層、低所得者層、どこを攻めるんですか。市場の魅力と自社の能力でセグメントを選ぶんですよということですね。ポジショニングというのは、製品やサービスをターゲットの心の中に独自化するということ。独自化とは、その製品やサービスがターゲットの心の中で、他とは異なる特別な存在として認識されること。だから、買うんですよね。なんでこれを買うかと言うと、御社のその製品や御社というそのものが、買う消費者やユーザーの中で他社とは違う特別な存在なわけですよね。それが、かっこいいなのか、安心だなのか、何なのか。それをどういうふうにしますかと、自分たちはどういうポジショニングでいますかということを決めるのが、このポジショニングであるよということでございます。こういうことをしていく必要がある。

もう少し、この「STP」の話をさせてもらうと、ターゲティングのところの話をさせてもらうと、ターゲティングは、もう少しお話をしていくと…。次のスライドをお願いします。5つぐらいのフレームワークがあるわけなんですけども、単一集中型、それから選択専門型、製品特化型、市場特化型、フルカバレッジ型。これは何かと言うと、P軸とM軸というのがあって、P軸というのはプロダクトですね。プロダクト1、2、3というのは、例えば、3つの種類のプロダクトがある。市場というのは3つの市場がある。さっき言った、B2Bだったらインダストリー、自動車、携帯、何とかと。プロダクトも3つあるわけですよね。モーター、センサー、何とか。そうすると、単一集中型というのは、自分たちはこのP2の製品でM2の市場をまず単一で集中的に狙いますよ、というのがこれです。その他も、選択専門型も、これは選択して専門的に。これ、製品特化型も、P2の製品をすべてのマーケット、マーケットM1、M2、M3、全部狙いますよ。市場特化型というのは、M2の市場に関してはもうP1、P2、P3、全部の製品を投入しますというのが市場特化型だし、フルカバレッジというのはもう全部の製品を全部の市場にドーンと突っ込みますよというのがこのフルカバレッジ型。基本的に、欧米の外資はフルカバレッジ型でガーッと行くケースが、先進的なグローバル企業なんていうのは多いんですよね。例えば、B2CのP&Gとかユニリーバとかなんていうのは、一気にフルカバレッジで行きますよ。フィリップスとかもそうですよね。GEとかもそうですけども、非常にフルカバレッジ型で行く。これは非常に経営資源がたくさん必要です。お金が必要です。一気にドーンとやって、市場を席捲していくという傾向が見られる。一方で、フルカバレッジでやるというのは、なかなか日本企業は向いていないんですよね。なので、やっぱり単一集中型で突破口を1つ風穴を開けてから、選択専門型に行くのか、製品特化型に行くのか、市場特化型に行くのかということで、徐々に広げていくということが日本企業には向いているのかなというふうに思います。

最初のスライドに戻っていただいて。これをしっかりやっていくと、どういうことが起きるかということなんですけども、自分たちの立ち位置、自分たちがどうあるべきかということが、まずポジショニングで明確になって。そして、セグメンテーションとターゲティングで自分たちが誰に売っていくのか、何を売っていくのかということが明確になるわけですよね。これは、誰に何をいくらで売っていくのかということが明確になるわけですから、そうすると、最初にお話した売り上げ予測が立つわけですよね。自分たちの牌がどれぐらいあって、自分たちの獲得率がどれぐらいと想定すれば、自分たちがマックス得られる売上は、収益はこうだと、ミニマムはこうだということが計算できるので、この市場が大きいのか、小さいのか、その市場のターゲットはそもそもどれぐらいいるのかということも分かってくるので。「R」で勝てると分かって初めて「STP」のステップに進むわけですけども、「STP」で、どれぐらい勝てるのか。つまりは、どれぐらい儲かるのか、収益を上げられるのか、シェアを上げられるのかということが、この「STP」で分かっていくということになるわけなので、この「STP」というのは大変重要なフレームワークになります。

今日はちょっと長くなってしまいましたが、この辺にしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。