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第295回 3Cと4Pをベースに参入戦略を描く その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も、「3Cと4Pをベースに参入戦略を描く」ということについてお話をしていきたいと思います。

対象は製造業、B2C、B2B問わずの製造業で、対象地域は新興国全般というふうにしていきたいと思います。

では、早速ですが、図をお願いします。前回、3C分析、4P分析のほうの3Cのほうのちょっとまとめということでお話をしたと思うんですけど、今日は4Pのほうについてお話をしていきたいと思います。

この4P、非常に重要。3Cを、ファクトを把握して3Cで市場の実態をしっかりと把握できましたねと。そこに対して、じゃあ、どんな4Pを繰り広げて、その市場を獲っていこうかと。ターゲットに対して4Pを展開していこうかということで、4Pをつくっていくわけなんですが。

次のスライドをお願いします。この4Pで多くの企業があやまちを犯すというのが、今の新興国の日本企業の展開の実態だと思います。この4Pがしっかりと組まれているのに、文句のつけようがないという4Pなのにマーケットシェアが獲れていないとか、事業がうまくいっていないなんていう企業を僕は1社も見たことがないので、必ず問題のある企業は4Pに問題がありますと。そして、3Cをしっかり把握できていない。言ったら、3Cの把握レベルが低い。「市場」に関しても、「競合」に関しても、「自社」に関しても、把握、ファクトを把握する、事実を把握しているレベル感が非常に低い。だから、4Pのレベルも低い。4Pが最適化されていないという、こういう結果になってしまっているので、この4Pは非常に重要ですよと。

もう1回スライドを戻ってもらって。4Pというのは、ターゲットに対していかにこの4つのPをあてるかということが非常に重要で、まず、ターゲットありきなんですよね。ターゲットを決めないと、4Pはつくれないんですよ。明確にターゲットを設定しないと、そのターゲットに対して、どういうプロダクトを、どういう価格で、どういう流通チャネルを通じて、どういうふうにプロモーションするのかということが4Pですから、ターゲットがないまま4Pなんていうのはつくれないというのが、これはもう、ものすごくベースに、基本中の基本としてあるべきことなんですよね。

でも、日本の企業の場合、どうなっちゃっているかと言うと…。次のスライドをお願いします。ターゲットが何となくボヤッとしているのに、4Pだけしっかりあるんですよね。この図の通りなんですけど、どういう4Pがあるかと言うと、日本で実績のある商品を、言ったら、日本の実績、日本での4Pがそのまま新興国での4Pになってしまっているんですよね。新興国の重要なターゲットというのは中間層だから、中間層を狙っていくんだとやるんですけれども、そもそも4Pが日本をベースにした4Pなので、中間層を狙おうとしても中間層にハマらず、結局、ターゲットは上振れしていくという、こういうことになるわけなんですね。日本で実績のある商品を、できればさほど変えずに、少しは安くするけど日本と同じぐらいの価格で、日本で慣れ親しんだ近代小売を中心に、できれば実績が出るまでプロモーション投資はしたくないよと、こういう4Pが出来上がってしまっている。出来上がってしまっちゃっているんですよね。つくるんじゃなくて、もう最初からあると。必然的に中間層には売れず、ターゲットが牌の少ない富裕層になっちゃう。だから、シェアが上がらない、なかなか儲からないと、こういう結果になってしまっていて、このジレンマからなかなか抜け出せないというのが多くの日本企業の実態ですよと。これはB2Bも一緒だと思います。これは中間層と言っているので、B2Cの話をしているわけですけども。

重要なのは、もうターゲットを明確に決める。これは消費財であれば、もうターゲットって中間層以外にあり得ないんですよね。FMCG(Fast Moving Consumer Goods)の場合は、なぜならば、100円、200円、10円、20円のものを売っているわけですよ。そうすると、もう数の原理で、いかにたくさんの人に、いかに速い頻度で、いかに繰り返し、永遠に買い続けてもらうかということが、このFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の業界ではものすごく重要。そうすると、一番数の多い中間層をターゲットにしないで、何をターゲットにするんだ?という話になるわけですよね。1本1万円の化粧水を売っているんだったら富裕層をターゲットにしたらいいし、いや、ソーシャルビジネスなんですと。利益度外視でソーシャルビジネスを展開しているんですというのであれば、BoPを対象に利益度外視で支援サーブの一環なんですということであればBoPをターゲットにすればいい。

ただ、そうじゃなくて、ビジネスとしてその国に貢献をしていくんだということであれば、MoP、ミドルのターゲットになるので、中間層を狙うということになるわけですね。

 B2Bも同じような考え方で、結局、日系企業だけ狙っていたら牌少ないし、外資系企業だけだったら牌少ないから、いかにローカルの企業にターゲットをあてるかということがすごく重要で、ローカルの企業が中間層になるわけなんですよね、B2Cで言うところの。日系とか外資みたいなところは、もう富裕層になっちゃうので本当に牌が限られている。牌が限られているんだけど、たくさん予算をくれるんだったら、そこを狙えばいいですけども、基本的にはやっぱりいかにローカル企業にまで展開をしていくかということが大変重要になってくるので、B2Bも同じような考え方が適用できると思います。

この図の通り、次の図に行ってもらって。すべての中心はターゲティングなんですよ。誰に売るかということがもうものすごく重要で、これがない中で4Pをつくるなんていうことはできないので、まず、「誰に売るの?」と。この「誰に売るの?」をできる限り細分化する。「日本企業に売る」とかじゃなくて、日本企業だったら、どこのエリアに進出しているどの業界の、言ったら、バイネームで「どの会社」ぐらいまで特定をしていくということが一番重要で。今、B2Cもデジタル化でもうユーザーを特定していくみたいなところまで来ているわけですよね。そうすると、一番いいのは、もう、ダイレクトマーケティングで、個人の情報をしっかり持っていて、そこにダイレクトに到達できるというのが一番いいわけですよ。そうすると、中間流通頼り、小売頼りにもならなくて、ダイレクトに消費者に届くわけですから。でも、それがなかなか難しいので、その手前、そのちょっと手前でターゲットを絞っていくわけですけども。でも、「誰に売るのか」ということが、とにかくすごく重要で、「中間層に売るんだ」ということが非常に重要で。何を売るのか、いくらで売るのか、どこで売るのか、どう訴求するのかという4Pがその後ろにくっついてくるということなので、まず、「誰に売るのか」ということがないといけないですよと。

その順番を間違えちゃう。日本企業は、日本での実績をベースに4Pが何となく固まっていて、それを展開しようとするから、結局、ターゲットが固定しちゃう。富裕層に固定しちゃうという問題があるので、そうではなくて、中間層にターゲットを設定したんだったら、その中間層に合う4Pを再設定する必要があるということが新興国ビジネスでは大変重要ですよというお話でした。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。