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第303回 問題の要因はフレームワークであぶり出す その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、前回に引き続きフレームワークについてお話をしていきたいと思います。

対象は製造業中心になりますかね。B2B、B2C問わずでございます。ターゲット市場は新興国でなくてもグローバル市場全体ということで構いません。前回、マーケティングの基本プロセス、4P、4C、非常に重要ですよというお話をしたと思うんですが、その引き続きのお話で。前回のちょっとおさらいをすると、海外事業展開をしている中で必ず問題にぶち当たる。問題にぶち当たったときに何が問題かということは大枠では理解しているんだけども、問題の根本的な要因とそれを解決するための対策方法がなかなか分からずに現状を打破できないという企業が非常に多い。これはもう数十年前から進出していても、最近進出している企業でも、もうほとんど大差ないぐらいにそこの力が非常に弱いです。そのときに有効になるのがこのフレームワークであって、国内のビジネスでフレームワークをわざわざ引っ張り出してきてやるなんていうことはないというふうに申し上げた通りです、前回。もう出来上がった土台の上でビジネスをやっているから、こんな3Cとか4Pとか4Cのフレームワークを引っ張り出してきて、どこにどんな問題があるのかなんて、国内ではわざわざ見ないんですよね。でも、一方で、今まだ取り組み過程であるアジアを中心とした新興国においては、やっぱりフレームワークというのは有効な手段なので、しっかりとその使い方を学んでいきましょう、というのがこの番組の今回の趣旨でございます。

早速、スライドをお願いしたいんですが、3C分析、4P分析というふうにありますが、過去にこの番組でもこれはやりましたよね。3C分析では事実を把握するんです。市場はどうなんだ?という市場の事実、競合の事実、そして自社の事実を客観的に把握するというこのファクトの把握、これはもう本当に事実を客観的にしっかり把握するということが非常に重要で。一方で4Pというのは、これはもう自己都合の4Pを皆さん組むんですよね。うまくいっていない会社というのは、だいたい自分たちの売りたい商品を、自分たちの売りたい値段で、自分たちの売りたいチャネルで、できればプロモーションコストはかけたくないみたいな、もう自分よがりの4Pが出来上がっていて、それを無理くりアジア新興国の市場のターゲットにバーンとあてていく。結果、売れない。どうしよう、なぜだろう、Japanプレミアムなのに…というのが大半の日系企業の、うまくいかない日系企業の要因なんですが。そうじゃなくて、4P分析をしっかり4C視点で考えるということは重要で、彼らが望んでいる、ターゲットが望んでいるプロダクトは一体何なんだ?ターゲットが望んでいる、もしくは賄えるプライスって一体何なんだ?ターゲットが買いやすい売り場、プレイスってどこなの?ターゲットにどうやって選んでもらうの?知ってもらうの?ということを本当に真剣に考えていかないと、そんなの市場に浸透するわけないんですよね。

それをまた考えたときに、競合と比較するということをやっぱりやるべきなんですよね。競合と比較すると、いかに自分たちの4Pが、いや、いわゆる4Cが自分よがりかということが非常によく分かるので、ターゲットと徹底的に4Pは比較するということをやらないといけない。4Cでファクトを把握して競合を可視化することで、貴社の課題と課題に対する改善策を明確に、それをベースに参入戦略を描いていくんですよ。このインプットがなかったら、参入戦略なんていうアウトプットは描けないし、その参入戦略とか再参入戦略ですよね、すでに出ているので。その再参入戦略が描けなかったら、売上とか、シェアとか、利益というアウトカムって絶対に出せないので、重要なのはアウトプットすることじゃなくて、アウトカムを出すということですよね。利益を生むということがすごく重要で。でも、その利益を生むためには戦略が必要で。でも、その戦略をつくるためにはインプットが必要。多くのうまくいかない日本企業は、このインプットが少ないんですよね。そもそも問題が、要因が何なのかというインプットを分かっていないので、その対策、つまりは戦略がつくれない。結果、アウトカムが出せないという、こういう負のスパイラルに陥ってしまっているケースが多いので、しっかりそういうフレームワークを使って要因を分析していきましょうということが大変重要ですよ。

これは何だ…?これは、うちの会社が推奨しているスパイダーの参入戦略策定までの6つのステップと、チャネル構築の8つのステップということですけども、基本的には赤いところですね。この赤いところ、参入戦略というアウトプットを出すには市場環境の可視化をしないと駄目ですよ。どういう市場なの?儲かるの?何なの?これはいろんな観点で出していく必要がありますよね。マクロ経済、マクロ的な指数の観点もそうだし、外資規制とかという法律の観点、商習慣、文化、歴史、いろんな観点で市場環境の可視化をして。競争環境もそうですよね。競合の脅威を具体的に知る。彼らの戦闘能力を数値で把握するということは非常に重要だし、その市場で独特の流通環境というのが必ずあるので、どういう流通環境なの?と。あと、消費者も日本とは…、B2Cだったらですね、ここ、B2Bだったら4番はユーザーになりますけども、消費者の可視化ですよね。消費者・ユーザーの可視化。どういう特性を持っているんだ?彼らのインサイトは何なんだ?ユーザーも同じように可視化をして、そして、ディストリビューター、どういうディストリビューターと組むべきなのかという、ディストリビューターは椅子取り合戦なので、本当に良いところはどんどん取られていくので、早く決めないといけない。調査によって可視化された情報をもとに、6番の参入戦略とか再参入戦略ですね。われわれは参入戦略をつくるということよりも、9割がた再参入戦略をつくるというほうが多くて、これから新規で出ますというような企業のお手伝いって、例えばアフリカとかインドとか、もう本当にまさに新興国というところはありますけども、中国とかASEANの場合はもう9割9分再参入戦略なので、もうずっと前からやっているけどうまくいかないので何とかしたいという話なので、その場合でもこういうことをしっかりもう一回可視化をしていく、そして、要因を分析するということをやりますから。特にね、出ている企業というのは分かっているつもりとか、分かっていないことに気付いていないということが結構多いので、もう一回こういうインプットを入れて再参入戦略をアウトプットする。

この再参入戦略ができれば、その戦略の通り、今度はチャネルを構築するということになるので、まさにエクスキューションですよね、チャネルを構築をして、そして、そのチャネルというのは構築して終わりではなくて、そのあと管理育成をしないと、継続的に売上というのは上がっていかないので、初回注文をボーンともらって、はい、終わり、みたいな商売では、これは全く意味がないですよね。いかに継続をさせていくかということが重要なので、管理・育成というのが大変重要ですよというスライドですね。こんなフレームワークをしっかり使っていただいていけば、自分たちに何が足りていて、何が足りていないのかってフレームワークに落とし込んだら必ず分かるんですよね。その足りていないところを補っていくということがまさに戦略づくりだし、まさにうまくいっていないことをうまくいかそうとするという行為なので。まず、自分たちには何が足りていて、何が足りていないの、ということをしっかり把握するということをやらないと駄目ですよね。なんかがむしゃらにやっていっても、なかなか成果は出ないと思います。

次のスライドをお願いします。3C観点の課題、4P観点の課題、これは4C観点の課題というふうに言ってもいいかもしれませんけども、あと、弊社スパイダーで推奨している8つのステップの観点の課題ということで、前回、今回といくつかのフレームワークを紹介しましたけども、このすべてのフレームワークはもうマーケティングの基本プロセスがベースなんですよね。これは4Pだって、3Cだって、4Cだって、弊社が推奨しているステップだって、全部基本的にはマーケティングの基本プロセスなんですよ。なので、もうマーケティングの基本プロセス、R-STP-MM、これがやっぱりしっかりできてないですよね。R-STP-MMのマーケティングの基本プロセスが完璧に最適化されているのになぜかうまくいかないなんていう企業は、1社の例外もなくあり得ない。これはマーケティングの父フィリップ・コトラーも言っているし、このフレームワーク自体はもうだいぶ前にあみだされているものなわけですよね。もう完全なる定説になっているわけなので。
私も現場で、市場でね、マーケティングの基本プロセス、特に4Pが完璧に最適化されているのにうまくいかないなんていう企業は1社も見たことないので、だいたい4Pに大きな問題があるというのが実態でございます。課題を可視化してあぶり出す。インプットを入れて、フレームワークでインプットを入れて、課題を可視化をして、戦略というアウトプットをつくって、そして、その戦略というアウトプットを実行して、利益というアウトカムを出すということなので、重要なのはアウトカムを出すことですよね。アウトカムを出すためには、戦略というアウトプットが必要で。戦略というアウトプットを出すためには情報、フレームワークをベースとしたインプットとなる情報が必要ですよということですね。

最後。最後のスライドですけども、ごちゃごちゃ書いていますけどね、どのエリアから、どう攻めるのか、ということをもっともっとミクロに明確にする。これ、すみません、B2Cのクライアントさん、FMCG(First Moving Consumer Goods)を対象にしてつくっているので、ちょっと違和感があるかもしれないですけど、それ以外の業種の人は、自分たちの業種にあてはめて考えてもらったらいいと思いますけど、どのエリアから、どう攻めるのか、ということを明確にする。それが明確になったら、じゃあ、そのエリアで、どのディストリビューターと、どう攻めるの?ということを考えるという。最適なディストリビューターを選ばないといけないので。駄目なディストリビューターと何年やったって、駄目なものは駄目ですから、いかに良いディストリビューターを選ぶかということが重要で。じゃあ、その良いディストリビューターをどうやって選ぶの?というのはこの番組でも過去にもさんざんお話をしているので、また過去の動画を見てもらったらと思いますけど。B2C、FMCGなので、どの小売を、どう攻めるんですか、MTどうするんですか、TTどうするんですか、ということを可能な限り、具体的に数字に落とし込む。それを仮説検証を繰り返すと、精度がグングン、グングン、上がっていって、参入戦略の精度が高まっていくということになる。そして、それって模倣困難性の高い1つの戦略として出来上がる、そうなったら一気にスピードが上がっていくわけですよね、マーケットシェアを。

ドミナントでやっていくということがすごく重要で、グローバル展開、新興国問わずだと思いますけども、私はもうドミナントでしっかりやっていく、ある一定のエリアでドミナントでしっかりと成果が出たらそれを一気に面展開していくということをやっていかないと、日本企業のいわゆる体質というか、性質上、一気に面でドーンと投資をするなんていうのはない、できないんですよね。そんな武器も予算もない中で面展開なんかしたら失敗に終わるので、本社から出てくる限られた予算と、本社には戦略がほとんどないですから、限られた戦略でやろうと思うと、やっぱりドミナントで考えていくということをやるのが実績を出す最も近道なんじゃないかなというふうには思います。

今日はこれぐらいにしていきたいと思います。また次回お会いいたしましょう。