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第352回 ディストリビューターの管理育成はシンプルに その2

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、新年あけましておめでとうございます。2022年もいよいよ始まりました。この『SPYDER CHANNEL』も、2022年、より良い番組づくりをしていきたいというふうに思っております。新たな企画もいろいろと考えていますので、ぜひ引き続き『SPYDER CHANNEL』をどうぞよろしくお願いいたします。

森辺一樹(以下、森辺):今日も引き続き、前回の続きですね。前回、私の話が長くて、ディストリビューターの管理育成の話をすべきが、その前段の発掘選定、契約交渉で終わってしまったと思いますので、今日はしっかり管理育成のところの話をしていきたいと思います。

まず、前回も使ったスライドをもう1回お願いします。これですね、この発掘選定、契約交渉、管理育成のこの3つが強固な販売チャネルをつくる上で大変重要ですよと。そもそも、管理育成、ディストリビューターの管理育成って何?というところからの話だと思うんですけども、新興国市場の場合、ディストリビューターというのは管理育成しないとしっかりと商品が流れていかないということを大前提として理解をする必要があって。日本だと、基本的にはディストリビューターを決めたら、販売店を決めたら、そこに任せておけば、ある程度その販売店がしっかりミッションを果たしてくれるというのが大概だと思いますが、一方で、新興国の場合はそれでうまくいくケースというのは2割ぐらいでございまして、基本的には管理育成をしっかりしていかないといけない。つまり、もう発掘選定から契約交渉、管理育成が、もう全部つながっているんですね。発掘選定をもう絶対間違えちゃいけないし、しっかりとした相手が発掘選定できたら、この発掘選定の段階で、前回も話したように、契約交渉までの間にどれだけ彼らの熱量を高められるか、どれだけ彼らの投資意欲を高められるかということはすごく重要で、そのために独占契約とか複数年契約をうまく使ってくださいねという話をしましたけども、その状態で初めてスタートして管理育成をしてうまくいくんですね。

これは、淡々と選定して、淡々と契約交渉、守りだけの契約、いわゆる日本企業がよくやりがちな、「自分たちつくる人、あなたたち売る人ね」ということで、もう単年度の独占契約ですと。でも、事実上、毎年更新されるし、事実上非独占なのに、独占ですと。ごめんなさい。(※黄色マーカー部分00:02:26~00:02:35が動画カットに該当する部分かと思われます。)単年度の非独占契約を結んで、事実上、複数年契約をするし、事実上、独占契約状態になっているのに、わざわざ彼らのモチベーションを下げる非独占の単年度契約をすると。そこでいきなり管理育成をしてもこれはまったく意味がなくて、これはもうしっかりつながっている。なので、前回のちょっと番組をしっかり見ていただいて、その前提の中で管理育成をしていく必要があるんですよということがまず1つです。

この管理育成というのは、契約交渉してから何を管理育成するかということを考えるのではなくて、そもそも契約交渉のときにどういう項目を管理育成していくのか、もちろん「ディストリビューターには管理育成しますよ」なんていう表現は使わないので、基本的にはKPIをしっかり決めるということがすごく重要で。どういうKPIをプリンシパル側、メーカー側とディストリビューターで共有軸にしますかということはすごく重要なんですね。例えば、B2Cの場合だと、どれだけたくさんの店舗に置くかということと、その店舗での売上がどう回転していくか、週販どう回転していくかという話ですよね。このどれだけたくさんの店舗に置くかというところをディストリビューターさんの主たる業務として、置いたところをいかにセルアウトさせるかというのはプロモーションの要素もかかってくるので、メーカーがそこにしっかりと投資をしないといけない。ここは、じゃあ、どういう順番でやっていきますか、そもそも近代小売、伝統小売、どういうエリアのどこから陣取って置いていきますかと。置いたと同時に、どうやってセルアウトをプロモーションで上げていきますかということをしっかりと決めないといけないですよね。これをまったく決めずに「あとはやって」って、売れるわけないですよね。プロモーションをかけずに売れるわけないので。かといって、プロモーションをかけて売れても、これ、プロモーションをかけない状態である程度売れなきゃいけないという、こういう問題もあるので、ここをしっかり話さないといけないし。

あと、乖離が発生したときに…。次の図にいきましょうかね。いわゆる当初目標としていた状況から乖離が当然出るんですよね、やっていくと。そこに対する対策パッチをしっかり打てるような状態にしないといけない。これはどういうことかと言うと、メーカーがディストリビューターよりも市場のことをしっかり理解しないといけない。すべてがディストリビューターから聞く話だとすると、全部ディストリビューターの言いなりになるんですよね。基本的にはディストリビューターから聞く話ではなくて、自分たち自らがしっかりとマーケットを調査して理解をするということをしないといけない。マーケットのことを知らないのに管理育成もクソもないので、しっかりとディストリビューター以上に把握をする。日本でも、考えてもらったら分かると思うんですけども、マーケットのことを誰が一番知っているかと言ったら、メーカーが一番知っているはずなんですよね。これを販売店任せにするかと言ったら絶対にしない。顧客の情報をすべて販売店任せで、すべて販売店の言いなりですと。販売店様が言っている通りにやっているんですというメーカーがもしあるのであれば、海外でもその通りやられたらいいと思いますけども。基本的には国内でも、販売店には顧客に販売をするという業務を担ってもらっている一方で、メーカー側としての顧客に対する、これはB2CであってもB2Bであっても、マーケティングというのは常に行われているわけなので、誰が顧客を一番理解しているかと言ったら、やっぱりメーカーなんですよね。理解しなきゃいけないのは、メーカーとディストリビューターには、やっぱり異なった利害関係というのが必ず存在して、ディストリビューターにとっては、これぐらいのところで売上を押さえておけば、今の経営資源だけで到達ができる、そして、もっとも利益率が高い、利益額がいいという状態、スイートスポットと私は呼んでいますけど、そういう状態があるわけですよね。ここに到達したディストリビューターは、やっぱりその先に行こうと思うと、そこからさらに経営資源を投資していかないといけない。より大きな売上、より大きな利益を得ようと思うと、ある一定期間投資が必要になってくるんですよね。それをやっぱり嫌がるので、そこのスイートスポットにハマってしまって、なかなか成長が鈍化するという、そういうケースもやっぱりあるわけなんですよね。なので、常に利害関係が一緒かと言うと、そうではない一面もあるということをしっかりと理解をする必要があって。そうなのであれば、やっぱりメーカー自身が自分たちで市場をディストリビューター以上に理解をする。ディストリビューターとうまくいかなくなっているケースの大半がメーカー側が市場をまったく理解していない。そして、最終的にはディストリビューターの悪口になって、「あそこをもう変える」みたいな、そういう状態になって、最後はお金を払って、「もう、のれん代を払ったから次に行きましょう」みたいな、そういうことになっているケースを私はたくさん見てきているので。やっぱり市場を理解するということはすごく重要。

日本企業の場合、どうしてもこれが駐在員が数年でころころ、ころころ、変わってしまって、当時そのディストリビューターと契約交渉したのが、もう退職していますとか、もういませんとか、その時代のことを分かっている人はいませんという状態から毎年新しいのが送られてきて、複数年で帰っていくと。それを繰り返していくと、ディストリビューター側も、「また、この企業はまた担当替えでしょう」と、新しいのが来て、向こうはオーナー企業ですから、社員は変わっても基本的にはオーナーは変わらないわけなので、それで、言ったら、せっかくここまで一緒に築いてきたのがまた0リセット、またここまで築いてきたのがまた0リセットで、ディストリビューター側の気持ちになってみると、「もういいわ…」みたいな、そういう状況に陥っているケースも非常に多いので、やっぱりそういう相手の置かれている状況をもう少し考えていくと、何を、どこのボタンを押せば彼らのやる気が入るのか、どこのスイッチを押せば彼らがもっと投資をするのかということを考えた管理育成をしっかりしていかないといけない。

あと、キーマンの育成ですよね。このキーマンというのがもちろんオーナー社長であるというケースもそうなんですけども、一方で、やっぱりキーアカウントマネージャーと言われるクライアントを持っている人たちですよね、この人たちとオーナーの関係がどうなのかというのはしっかり見ていかないと、この人たちがポーンと別の競合に行ってしまったら、客ごと持っていくというケースも往々にしてあるので、それは非常に考えないといけない。キーマンとのコミュニケーションを取らないといけない。だから、レイヤーとしてはオーナーともちろんコミュニケーションを取るということは必要ですけども、キーアカウントマネージャー、キーマンとコミュニケーションを取るということも大変重要です。

ちょっと今日はまた時間が来ちゃったので、また次回続きをお話したいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。