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第417回 重要なのは市場を見るときの「視点」

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が去年出した本ですが、この本について解説をしていきたいと思います。

今日は67ページ、「1-16重要なのは市場を見るときの「視点」である」ということについてお話をしていきたいと思います。市場を見るときの「視点」。市場を見るときでなくても、この「視点」というのは非常に重要で、なぜならば、視点が違うと見える景色が違って、見える景色が違うと取る行動や判断が変わってくるので、この「視点」というのは非常に重要であると。ことアジア新興国ビジネスにおいてもこの「視点」というのは非常に重要で、多くの企業が実はこの「視点」を古い視点のまま事業をやっていると言ったほうがいいのかな。なかなかシェアが上がらない、うまくいかない企業の多くは、古い視点のまま新興国ビジネスをやっているというケースが少なくない。

どういうことかと言うと、今日それを説明していきたいんですけど。皆さん国際マーケティングという言葉を聞いたことあると思うんですが、だいぶ懐かしいにおいのする言葉ですけども、国際マーケティングという言葉が出てきたのが1960年代というふうに言われていて、国際マーケティングというものと現代行われているグローバル・マーケティングというのはまったく違うマーケティングなんですけど、実はまだまだ多くの企業がこの国際マーケティングの視点でグローバル・マーケティングの時代を戦っているという、こういうケースというのは非常に多々見られていて、それが問題でうまくいっていない。そもそも国際マーケティングの視点で戦っても、グローバル・マーケティングの時代を戦っても、これは戦い方が全然違いますから、当然キャッチアップどころか、勝つどころかキャッチアップすらもできないという状況に陥るわけなんですけども、こういう問題が生じているんですね。

じゃあ、まず、スライドをお願いします。言葉の定期からしていきたいんですけども。「グローバル・マーケティングって一体何?」ということで、明治大学の経済学部の大石教授、今年3月に退任されましたけども、退職されましたけども、今は明治大学の名誉教授の大石先生の定義によると、「グローバル・マーケティングとは、多数(複数)の国・地域で国境を越えて同時にかつ連関して意思決定されなければならないマーケティングである」というふうに言っていると。一方で、「国際マーケティングってどういうもの?」と言うと、これは言葉自体が生まれたのは1960年代だと言われていて、当時は「自国と外国との間で行われるマーケティング」として国際マーケティングという言葉が用いられてきたんですよということなわけですね。

次のスライドをお願いします。昔ね、皆さん、インターナショナルという言葉をよく聞いたと思うんですけども、インターナショナルと付けばなんとなくかっこいいと。それがいつしか、今、このインターナショナルという言葉はグローバルに置き換わっていったと思うんですけども、これがまさに国際マーケティング、インターナショナル・マーケティングとグローバル・マーケティングの大きな違いになってくるんですけども、このスライドを見ていただいて、インターナショナルとは日本語にすると国際的とか国際間と訳されるわけですけども、英語のインターとかナショナルの意味から考えても、これはやっぱりインターナショナルはあくまで自国を中心として考えたときの他国との関わり方なんですよね。自分たちを中心に他国とどうするああすると。だから、ビジネスで言うと、自分たちの国から、自分たちの国でつくったものをどうやって輸出しますか、発想は輸出とか貿易なんですよね。一方でグローバルというのは、地球全体のとか世界的なと訳されていて、つまり、地球全体を1つとして捉えて物事を考えるので、もう輸出がどうとか貿易がどうとかそんなこんまいことではなくて、「グローバルで世界を見たときにどういうふうにマーケティングしていきますか」という話なわけですよね。

なので、イメージ的に言うと、次のスライドをお願いします。この図の通りなんですよ。グローバル・マーケティングの視点というのは、少し俯瞰した大気圏、上空から地球全体を見たときに、「アジアをどう取り込んでいきますか」という話であって。一方で、国際マーケティング、インターナショナルというのは、あくまで日本から中国を見ますと、日本からASEANを見ますと。ですから、まさに日本のための世界地図みたいなね、日本から見た世界地図みたいなイメージなんだけど。日本から中国を見て何か見えますかって、何も見えないんですよね。日本からASEANを見て何か見えますかって、何も見えないと。だから、結局、発想が輸出になっていくし、貿易になっていくわけですよね。どれだけ出荷するか、どれだけ船を出すか。FOB Japanで何コンテナ出すかという、そういう発想になるので、基本的には海外売上比率という評価軸を非常に大切にする傾向があると。けど、今って自分たちの商品が相手の国に着いて、その国でどういう小売にどういうふうに並べられて、どういう人たちがそれを食べて使って、そして何を感じてリピートしてるのしてないの、みたいなところが重要になってくる。この視点になってくると、マーケティングになるので、現地シェアという価値観、評価軸を非常に重要視するわけですよね。

まさに次のスライドがそうなんですけども、国際マーケティングをまとめるとこの5つ。グローバル・マーケティングをまとめるとこの5つ。国際マーケティングをやっている、この視点の企業というのはいまだに海外売上比率という評価軸を非常に大切にする。「わが社は海外売上比率45%を超え、50%を超え、非常にグローバルです」と、全然グローバルじゃないんですよね。なぜならば、重要なのは、日本を中心としたときの海外売上比率がどうとかああとかではなくて、仮に海外売上比率が5割を越えていても、それが何十カ国に展開されていて、それぞれの国のシェアが何%なのかというところのほうが圧倒的に重要で、仮に5割を超えていたとしても、それぞれの国で数%のシェアしか持ってなかったら、こんなのはまったくもってグローバルで成功しているとはならないわけですよね。なぜならば、日本国内の市場で海外売上比率みたいなね、関西売上比率とかね、関東売上比率なんて言わないわけで、日本国内では日本国内のシェアで競うわけですよね。関西のシェア、関東のシェア、九州のシェア、四国のシェアという話なので、海を越えた途端にこの海外売上比率という評価軸を持ち出して、あたかもすごいという感じにするわけですけども、それはまったくもって視点が違うと。国際マーケティングの視点にいると、いつまでも貿易とか輸出とか出荷みたいな発想に留まってしまうので、マーケティングの発想には至らない。結果、各国のシェアが伸びないよと。

次のスライド。最後のスライドですけど。日本から相手の国を見る視点というのと、常に地球全体を見ている視点、現地シェアで戦っているか、海外売上比率で戦っているか、この「視点」って同じ目的、海外売上という同じ目的を持っていても、海外売上比率の視点の人というのは、指標がとにかく輸出になるわけですよね。とにかく輸出を増やせと。ですから、その先のマーケットのことなんか見てないですから、結局どこかで糞詰まっちゃうんですよね。一方で、現地シェアを見ている人というのは、指標は間口と店頭シェアなので、どれだけたくさんの店に置いて、どれだけそれが店頭で売り上がっていくかということを指標として追うわけですから、そこに対してマーケティング戦略、選択としてはマーケティング戦略。でも、とにかく輸出なんてやっている人は、とにかく大手のインポーター、大手のパートナーみたいな、そういう発想になっちゃうわけですよね。だからもう戦う次元が全然違うので、これでやっぱり出ていくというのはなかなかちょっと難しいよねと。国際マーケティングの視点を早くグローバル・マーケティングの視点に変えないといけないし、「グローバル・マーケティングをやっているんだ」と言いながら、視点が国際マーケティングの会社というのはまだまだたくさんあるので、ここはしっかりと改善をしていくということが必要になってくると思います。

それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。