HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » 第451回 【本の解説】参入のための正しい4P分析 その1

動画番組 スパイダー・チャンネル

第451回 【本の解説】参入のための正しい4P分析 その1

新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/449565019X
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』、日本実業出版社から私が去年出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は138ページ、「3-7 参入のための正しい4P分析」ということでお話をしていきたいなというふうに思います。この4P分析というフレームワークって非常に有効なフレームワークだと僕自身は思っていて。新興国市場、ASEANに限らず新興国でうまくいっていない企業の要因を特定するには、この4Pを見ればだいたいのことは特定ができると。逆に、うまくいっている企業というのはこの4Pが素晴らしく最適化されているし、うまくいっていない企業というのはこの4Pのどこかに要因があると。なので、何が問題なのか、どこをどう直していけばいいのかというのは、この4Pを見ていけばいいと。多くの日本企業はこの4Pが独りよがりというか、なかなかうまく最適化できていないところに参入の大きな障害があるので、今日はこの4P、正しい4P分析についてお話をしていきたいなというふうに思います。

では、スライドをお願いします。まず、「4P分析って何なの?」というところで、これは私の解説を聞くよりも、ネットでググってもらったらいろいろ出てくると思うので、別名マーケティングミックスと言いますけども。基本的にはターゲットというものがあって、そのターゲットに対して4Pを組み立てていく、これがマーケティングなわけですよね。例えば、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション、どういうプロダクトを、どういうプライスで、どういう、プレイスというのは流通を指すわけですけど、どういう場所で売るの、どういう流通経路を通じてどういう場所で売るのと。最後のプロモーション、どういうふうにそれを知ってもらいますかということを組み立てていくと。これが最適化されればモノは売れるわけなんですよね。

ただ、じゃあ、日系企業の4Pってどうなっているかと言うと、基本的に日本での実績がもうベースにあるので、プロダクトに関しては日本で実績のある商品をできればさほど変えずに、日本という先進国で得た実績を、新興国に行こうがどこに行こうが、多少は安くするけども基本的には同じものをと。日本で良いと言われているんだから、あなたたちも良いと思うはずでしょうと。お金がないのは分かっているから少しは安くするよと。でも、本音を言うと、日本と同じぐらいの価格で売りたいなと。プレイスに関しては、これは消費財の話をしていますけども、基本的にはきれいな近代小売で売りたいんだよと。伝統小売じゃなくて、慣れ親しんだ近代小売で売りたいよと。プロモーションに関しては、どうなるか分からないから、できれば実績が出るまでプロモーション投資はしたくないなと、ディストリビューターさん主導で頑張ってくださいよ。というような4Pがもう確定しているんですよね。市場に合わせてつくる、ターゲットに合わせてつくるというよりかは、もうこの4Pありきで参入をしていて。じゃあ、中間層が重要だと、新興国は中間層が一番重要ですよということは頭では分かっているんだけども、結局この4Pが確定しているので、ターゲットは牌の少ない富裕層に寄ってしまうと。本来重要な中間層には売れないという状態になるわけなんですよね。これがもう根本的にどの消費財メーカーも。これはB2Bでもそうですよね。B2Bでもそうで、いわゆる部品メーカーで、自動車メーカーに付随して、くっ付いて出ていくような進出であれば、タイに出ても基本的には日系顧客が商売の相手なので、これは海外進出というよりかは、海外に出ても日系相手にしているという商売であれば別に関係ないんでしょうけども。B2BでもB2Cでもこういう状態があると。だから、問題というのはこの中にあって。じゃあ、「どういう4Pでなければいけないの?」と、「どういうふうに4Pを組み立てればいいの?」ということについては、次回お話をしていきたいなというふうに思います。

多くの日本企業の課題、うまくいかない問題というのは必ずこの4Pにあると。本来は、これ…。すみません、もうちょっとお話しますけど、前のスライドに戻ってもらって。1枚目のスライドですね。ターゲットが先にあって、ターゲットに対して4Pをぶつけると。一番重要なのってターゲットなので、ターゲットに対して4Pをぶつけないといけないのに、うまくいっていない企業というのは4Pありきで参入するので、ターゲットが後付けなんですよね。この4Pに合うターゲットが結果として集まってターゲットになってしまっているという話で。いや、そうではなくて、ターゲット、設定したターゲットに対して4Pを当てていかないといけない。2枚目のスライドですよね。当てていかないといけないので。結果としてのターゲットではなくて、設定としてのターゲットでなければならないと、ここが非常にトリッキーなところなんですが。非常に重要です。ターゲットファーストであるということと、日本での価値観をそのまま持っていった4Pではなかなか新興国市場は難しいですよ、というお話でございました。

じゃあ、次回、「どういうふうに4Pを最適化すればいいですか」というお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。