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第505回 【本の解説】Q&A 良いディストリビューターを選ぶポイントとは? その1

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『グローバル・マーケティングの基本』 日本実業出版社から私が出している本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は262ページ、「ケース7 良いディストリビューターを選ぶポイントとは?」ということで、消費財メーカーさんですね。「ディストリビューターはどのように選定すべきでしょうか。良いディストリビューターを選ぶポイントを教えてください」ということで。この番組でもね、結構再三やっているので、過去のエピソードを見てもらったらいいと思うんですけど。ディストリビューター、簡単に今回ちょっとかいつまんでお話すると、良いディストリビューターを選ぶポイントのまず一番重要なことは、ターゲットを明確にするということなんですね。「良いディストリビューターが必要だ、必要だ」と日本の製造業、消費財に限らずB2Bも含めてね、言うんですけど、じゃあ、「良いディストリビューターの定義って何なんですか」と言うと、規模がでかいとか、実績があるとか、そういう話が出てくるんですけど、いや、そうじゃなくて、「自分たちのターゲットに売れる、確実に売れるディストリビューターこそが良いディストリビューター」なんですよね。そうすると、「あなたたちのターゲットはどこですか」ということが大前提としてなきゃ駄目で。「誰と」売るかよりも、「誰に」売るかのほうが圧倒的に重要なので、良いディストリビューターを見つけたいのであれば、誰に売るかをまず明確にしないといけなくて。ここが、「誰に」売るかが明確になっていない企業が、良いディストリビューター、「誰と」売るかを明確にする、最善のディストリビューターを選ぶということはほぼ不可能なんですよ。なので、まず「誰に」売りたいのかということを明確にする。例えばB2Cだったらね、これは消費財のメーカーさんからの質問なので、実際には消費者になるわけですよね。新興国市場の場合、じゃ、例えば首都の中間層で、年齢が何歳で、女性で、こういうライフスタイルを送っているような層であると。これを特定すると細かすぎてしまうので、基本的には「この人たちが接点を持っている小売はどこなのか」ということをベースに考えていく。それが例えばフィリピンだったらピュアゴールドなんだと、シューマートなんだと、分からない、ロビンソンズなんだと、いろいろあるわけですよね。そうすると、「そこに配荷ができるディストリビューターはどこなんだ」というふうに見ていく、これこそが良いディストリビューターなんですよね。例えばTTなんだったら、TTに、伝統小売に配荷できるディストリビューターこそが良いディストリビューターなので、基本的には近代小売しか配荷できませんみたいなディストリビューターはまったくもって良いディストリビューターではないわけですよね。他人にとっては良いディストリビューターかもしれないけど、自社にとっては良いディストリビューターではないということになるので、自分たちがどこに売りたいんだと。ベトナムだったら、いや、ウィンマートに売りたいんですなのか、タイだったら、セブンイレブンに売りたいんですなのかね、どこなんですかということをやっぱり明確にしていく。そこに売れるディストリビューターを選んでいくと。

このディストリビューターも「私たちは大きな実績がある」と言うんですよ、小売とね。なんですけど、それをさらに具体的にしていくということはすごく重要で。「誰に」売りたいかが明確になったら、そこに売れるディストリビューターを選ぶわけなんですけど、そこに売れるディストリビューターは、じゃあ、どうやって選ぶかと言うと、過去のエピソードでも散々話していますけど、ディストリビューターの選定というのは、発掘選定、それから契約交渉、管理育成と、この3つが強固な販売チャネルをつくる3原則なんですけど、その中のこの発掘選定、それから契約交渉、ここの部分をどれだけやるかによって、この自分の売りたいところに売れるかということを確かめることができるんですよね。これを確かめないと、契約してから、「さあ、どうだろう」と宝箱を開けるようなかたちで待っていてね、開けたら「えっ、売れなかった」みたいなね、「売れると言っていたのに」と、「売れたけど、こんなものか」みたいな話になったら困るわけですよね。だから、いかに契約締結をしてから確実に売れていくかということを契約締結までにしっかり決めていくということはすごく重要で。そのときにスキルセット、自分たちの売りたい小売に対して、もしくは売りたい、B2Bだったらユーザーに対する提案力とか配荷力、それから資金力、ディストリビューターというのは資金が非常に重要なので、資金力がしっかりあるのかということを見ていかないといけないし。

実際にそれがあるという企業、ディストリビューターだけが選ばれて残って、あとは全部消去法で消していくわけですよね、絶対評価で消していって。これを相対評価で、どれが一番いいのかなと、ある程度ロングリストからショートリストに絞ったときの母集団を選んでいくわけなんですけど。そのショートリストの中でも、マインドセットを測る、今度はスキルセットではなくてマインドセットね。自分たちの商品にどういう思いを持ってくれていて、どういうことを一緒に実現しようとしてくれているのかということで、ディストリビューターのオーナー社長がどう思っているのか。いくらスキルセットが高くても、これ、マインドセットが低かったら、絶対に皆さんが求めているようなアウトカムって出てこないんですよね。僕の今までの経験上本当にそうだったので。だから、必ずしも実績が高いとか、売上がでかいとか、規模が多いとか、財閥系だとかということよりも、これはこれで大切なんだけども、ある一定以上のスキルセットがクリアできているのであれば、あとはやっぱりマインドセットで見ていくということが本当に重要で。日本企業の場合すごく極端で、実績があって、マインドセットというか、最初のインプレッションが良かったら、印象がよかったらそこしかないみたいな感じで決めていくんですけど、本当のマインドセットね、本当に深くどういうふうに考えているのか、印象なんてみんな良いですから、その中にあるものをしっかり見ていくという。

ちょっと時間ですかね。この続きはまた次回やりましょう。次回、すみません、引き続きやっていきたいと思いますので、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。