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第524回 グローバルサウス 戦略における「視点」の重要性 その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「視点」についてお話をしていきたいなというふうに思っております。

「視点」、視る点ですね、視点。どういうお話かと言うと、アジア、グローバルサウスを中心とした新興国市場、日本企業の戦略を見ていると、なぜこういう方向に戦略づけてしまったのかとか、なぜこういう選択を戦略上行ってしまったのかということを多々見るわけです。新興国市場のエキスパートから言わせても、日本企業の戦略は間違っているというケースが少なくない。そんな中で、日本企業は、じゃあ、戦略づくりが下手なのかということで、戦術は長けているんだけど、戦略づくりが下手なのかと言うと、私は、結果として、今現状、戦略づくりが下手になってしまっているんだけども、戦略をつくるという行為そのものは決して日本企業は下手ではなくて、どちらかと言うと、戦略をつくるという手前の「視点」、何を見ているかによって、結果として戦略が大きく実態からずれるということにつながっているんだろうなというふうに考えています。「視点」というのは、「視点」が変わると見える景色が変わってくるわけですよね。見える景色が違うということは、思考が変わってくる、どう考えるかも変わってくると。どう考えるか、思考が変わると行動が変わってくる。行動が変われば、当然、アウトプットであったり、アウトカムというのは大きく変わってくる。このアウトカムがまさに戦略であるわけですから、「視点」というのは非常に重要で、本当に正しい「視点」でマーケットを見れているのかということが非常に重要であるということで、今日は「視点」のお話をちょっとしていきたいなというふうに思っています。

スライドをお願いしたいんですが、ちょっと話が逸れるんですけども、グローバル・マーケティングという言葉があって、私も『グローバル・マーケティングの基本』という本を日本実業出版社から出しておりますが、グローバル・マーケティングというのは、グローバル・マーケティング研究の第一人者である明治大学 経営学部を退官された大石教授の定義では、「多数(複数)の国・地域で、国境を越えて、同時にかつ連関して決定しなければならないマーケティングである」というふうに言われているわけですよね。

次のスライドをお願いします。国際マーケティングという言葉、これもあるわけですよね。専門書店なんかに行くと、国際マーケティング論とかって、いっぱい本があるんですけど、これはちょうど1980年代とか90年代に非常に教科書として多くあったんじゃないかな、2000年手前ぐらいまであったと思うんですよね。2000年代前半ぐらいまでありましたかね。この国際マーケティングというのは、いわゆる1960年代にできた言葉というふうに言われていて、当時は自国と外国との間で行われるマーケティングとして国際マーケティングというワードが用いられていたわけですよね。

次のスライドをお願いします。この国際マーケティングとグローバル・マーケティングというのは似て非なるもので、昔、皆さん、インターナショナルという言葉を非常に多く聞いたと思うんですよね。インターナショナルという言葉がついていると、何でもかっこいいみたいなね、そういう時代があったと思うんですけど、特に80年代90年代なんかは非常に多かった。70年代80年代かな、インターナショナルって多かったと思うんですけど。これ、インターナショナルを日本語にすると国際的とか国際間のというふうに訳されるんだけども、英語のインターとかナショナルの意味から考えても、このインターナショナルというのは、あくまで自国を中心として考えたときの他国との関わり合いを示しているので、「視点」はあくまで日本なんですよね。自国、日本から世界を見る、アジアを見る、インドを見る、グローバルサウスを見るということで、「視点」が基本的に軸は日本なんですよね。一方でグローバルというのは、地球全体のとか、世界的なと訳されているので、つまり、地球全体を1つとして捉えて物事を考えること。このグローバルなのか、インターナショナルなのかによって「視点」って全然違うんですよね。インターナショナルは日本から世界を見てと。一方でグローバルというのは大気圏に1回飛び出して、そこから地球全体をぐるっと見ているので、全然「視点」が違う。日本から世界を見て見えますかと、見えないですよね。ただ、1回上空に、大気圏にグーッと上がって世界を見たら、非常によく見える。この「視点」の違いってめちゃめちゃ大きいなと思うんですよね。もちろんね、日本からね、どんなに目が良くても世界は見えないんだけど、日本から、なんとなくイメージしてほしいんですけど、ASEANとか中国の方向を見てもね、まあまあ、うわーっと、これはイメージね、見えるんだけども、よく見えないと。でも、これ、大気圏に1回グーッと上がって上から見たらどうですかと。ASEANだって、中国だって、非常によく見える。こんなふうになっているんだ、こんなことが行われているんだと、非常によく見えるわけですね。これだけ「視点」が違うと、当然考え方も変わってくると。考え方が変われば、当然行動も変わってくるということになるので、戦略が大きく変わるというのは、まさにそういうことなんですよね。

ちょっと今日は時間がないので、この続きはまた次回やりたいなと思いますけども、まさにそういうことで、このインターナショナルとグローバルというのは、マーケティングにおいても、もう国際マーケティングなんて言わないんですよね。国際マーケティングの時代じゃないのでね。基本的にはグローバル・マーケティングの時代なので、自分たちの「視点」も変えていかないといけない。日本企業の多くは、まだまだグローバル・マーケティングと口では言いながらも、国際マーケティングの「視点」でビジネスをしてしまっている企業って非常に多い。メーカー、製造業、特に消費財メーカーなんかは。だから、戦略が置き去りになってしまって、国際マーケティング時代の戦略をそのまま新興国に持ってきて、うまくいかないと言っているわけなんですよね。なので、ここの「視点」を変えるということを本当に意識しないといけない。個人でもそうなんですけど、やっぱり「視点」って僕はものすごく本当に重要視していて。だって、「視点」を、どう見るかですよ、物事をどう見るかによって、考え方が支配されますから。物事をこういうふうにしか見れないという人は、やっぱり思考もこういうふうにしか考えられなくなる。こういうふうにしか考えられないということは、やっぱりこういうふうにしか行動できなくなるので、こういうふうにしか行動できなくなれば、当然ながらアウトプットやアウトカムも限られてくるという話ですよね。なので、この一番最初の「視点」というのは本当に重要なので、ぜひ皆さんも意識してもらったらなというふうに思います。

次回、この「視点」が変わると、もっと具体的に指標が変わるんですよね。成果を出すためには指標が絶対に必要で、でも、この「視点」が間違っていると指標を間違えてしまう。だから、アウトプット、アウトカムも間違えるという、こういう構造になっているので、この「視点」と指標、このことについて次回お話していきたいなというふうに思います。それでは皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。