第560回 FMCG タイの小売市場 その1
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、タイの小売市場についてお話をしていきたいと思います。今日で最後ですね、このシリーズも。VIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンをやって、そのあとSMT、シンガポール、マレーシア、タイということで、今日はSMTの「T」ですね、タイのお話、小売市場のお話です。小売市場なのでね、もちろん対象はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーが対象になります。
それでは、早速お話をしていきたいんですが、タイの小売市場は非常に特徴的で、非常に魅力的な市場、VIPに次いで僕はすごく魅力的な市場だと思いますし、中長期で大きな収益を得るにはやっぱりVIPをやりつつ、特にVとIですね、ベトナムとインドネシアをやりつつ、タイは言ってもVIPほどの労力をかけずして、簡単にと言ったら語弊がありますけど、ある程度収益の上げられる市場だと思うので、非常に魅力的な市場ですよと。
ちょっとまず市場規模から見ていきたいんですが、スライドをお願いします。この図の通り、タイの市場規模は約16兆円、これは136円の為替でやっているので、現在の為替だと17.5兆円ぐらいあるのかなというふうに思います。17.5兆円がどれぐらいなのかということですが、日本の小売市場規模が150兆円なので、ASEAN全体で捉えたら同じ150兆円で同じぐらいなんですけども、今の為替で145円ぐらいですかね。なんですけど、タイ単体で見ると、今の為替で17.5兆円ぐらいなので、まあまあそんな規模ですよと。ただ一方でね、バンコクだけを見ると、かなり日系の小売業も進出しているし、あと、セブンイレブンなんかの棚に置いてある商品も意外に高いんですよね。トレンドに対して非常に敏感に反応するし、日本の商品に対する重要度も高いし、まあまあ面白い市場だと思います。
タイは、次のスライドをお願いします、左が近代小売の主要な店舗数と、右が伝統小売と近代小売の比率ですけども、ご覧の通りね、1万7,300店舗の近代小売があって、タイの近代小売で絶対に押さえておかなければいけないのは、財閥が非常に強いということですよね。セブン、ロータスを率いる、いわゆるCPグループが一強体制と言ってもいいぐらい。あと、セントラルもあるんですけど、CPとセントラルの二強体制なんですよね。基本的にはCPがやっぱり非常に強い影響力を持っているので、タイに関して言うと、やっぱりそこを押さえていかないとなかなか大変ですよというのが特徴ですかね。セブンイレブンの数で1万3,000店舗以上あるんですよ。タイのこの1万7,300店のうちの1万3,100店舗以上はセブンイレブンで、このセブンイレブンをやっているのがCPなんですよね。その他、ロータスというところがスーパーでは非常に大きくて、ここの2つをCPが持っているということは、もうそことやるしかない。日本のセブンイレブンですら2万1,300店舗で、タイで1万3,100店舗ということは、タイが世界で2番目にセブンイレブンの多い国だし、シンガポールの430店舗とか、マレーシア、フィリピンでもそれぞれ2,400店舗と3,250店舗だったかな、そんなものなので、いかにタイのセブンイレブンが成功しているかと、小売交渉力が強いかということを考えると、非常にこのセブン、ロータスに入れなければなかなか難しいですよと。だから、CPを押さえないと難しいですよと。
セントラルグループ、もう1つのタイの財閥の1つもね、これも大きくて、小売とか不動産、ホテル、観光、金融とか、いろいろな事業をやっているんですけど、小売に関しては百貨店、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、コンビニなどの業態を展開しているけども、やっぱり僕はCPのほうがプレゼンスが大きいのかなというふうに思います。CPもね、銀行をやったり、保険をやったり、いろいろなことをやっているんだけども、とにかくセブンとロータスが非常に大きな影響力を及ぼしているので、そこは1つ重要なポイントかなと。CPってチャロン・ポカパンですね、ちょっとかわいい名前ですけどね、みんな、CP、CPと言いますけど。
タイの特徴としては、小売のこの二強体制の小売の力が相当に強いので、ディストリビューターの力が非常に弱いんですよね。だから、ディストリビューターから小売に行くというよりかは、小売と商談して、いかに彼らと商談をして、彼らにディストリビューターを紹介させる。彼らがこちら側の提案を気に入れば、基本的には自分たちの息のかかった、資本の入ったディストリビューターを紹介してきますから、そういうことができると中間流通マージンを非常に抑えたかたちで市場参入ができると。うちのクライアントなんかはみんなそのやり方で、CPと話して、CPの息のかかった中間流通事業者を使ってセブンに入れる、ロータスに入れる、そういうふうにやっていくというのが、僕はタイに関しては重要かなと。どの道ね、中間流通のマージンを高く取られ過ぎると、間口で価格が合わなくなるので、基本そういう感じですよと。
右の図のこのタイの近代小売と伝統小売の比率なんですけど、半分ぐらいが近代小売で、そうは言ってもまだまだやっぱり伝統小売ってあって、だいたい45万店というふうに言われています、タイは。なので、実は大きいと言えば大きいんですけど、でも、5割ぐらい、5割以上あると、近代小売が、基本的には非常に大きな市場、6,000万人ぐらいの人口の国なので、そこそこ現法を出しても赤字にはならない、それなりに近代小売で存在感を示せればですね、そんな市場ですよと。特にバンコクはやっぱり著しく発展しているので、バンコクをどう攻略するかということが非常に重要になってくるかなというふうに思います。
だいぶ時間が来てしまったので、ちょっと3枚目のスライドをお願いします。次回ね、この3枚目のスライドのタイの主要な近代小売の解説をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。