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【本の解説】主要競合の販売チャネルの可視化

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』 私が去年、同文舘出版から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日も41ページですね。前回、この41ページの「基準値が重要ですよ」と。基準値、シェアが低い、目標にいかない企業、新興国市場、ASEANで負けている企業というのは基準値を持っていない、ぼやっとしてしまっていますよという話をしていて。なぜ基準値がぼやっとするのかというのは、インプットが少ないですよというような話をしました。

その中で、どういうインプットを入れるかということなんですが、僕は競争環境に関するインプットを入れるということが最も日本企業は必要だと考えていて、それを3つに分類しています。その3つというのが、今日ちょっとどこまでお話できるか分かりませんけども、1つが「主要競合の販売チャネルの可視化」で、もう1つが「主要競合のディストリビューション・ネットワークの可視化」、そしてもう1つが「主要競合のマネジメント体制の可視化」ということで、競合の販売チャネルに関する可視化をしていくと格段に売上やシェアに直結するインプットが入りますよ、ということを記載しているのがこの41ページから49ページまでの部分。結論から先に平たく言うと、競合がどういう組織で何をどうやっているのかということが、まさにそこのぶつけ合いなんですよね。組織と組織がぶつかるわけですよね。そうすると、組織のそもそもの人数とかが足りていなかったら、これ、ぶつけ合ったら、当然、人数の多いほうが勝つわけですよね。もう1つは、人数が多くても、マネジメント体制、いわゆるどういうふうな活動を効率的にやっているか、生産性ですよね。これが弱かったら、人数が多くても意味がないので、結局、どんな組織で何をやっているのか、マネジメント体制、組織体制とマネジメント体制が非常に重要で。その前の前段のところで言うと、販売チャネルのストラクチャー、ディストリビューション・ネットワークというふうに言ってもいいですけども、いわゆるここを見てしまったら、だいたい、この企業は2割獲れないよねとか、これは2割獲れるストラクチャーだねということがおおよそ見えてくる。要は、例えばベトナムだったら、ベトナムで何社のディストリビューター、またはどういうディストリビューター、もうだいたいディストリビューターの力関係というのは可視化されていますから、われわれだと分かっているので、どういうディストリビューターをどの地域で何社使っていて、それらをどういう組織が日々何をすることでマネジメントしているのかということを可視化してしまうと、自分たちとの比較でね、どれだけ自分たちが足りていないのかということが数値で分かるわけですよね。ここを数値で理解すると、本当に何をやるべきなのかというのが非常に明確になる。ストラクチャーがやっぱり2割のシェアを目指すんだったら、2割のシェアに届くストラクチャーになっていないと、物理的に2割のシェアを確保できるストラクチャーになっていないといけないし、すぐにそうならなくても、将来そこを目指すのであれば、やっぱり5カ年の間に「こういう販売チャネルストラクチャーにつくり上げていきます」というのが絶対にないといけないし、「そのストラクチャーは、こういう組織を、こういうかたちでマネジメントすることで最大化していきます、ROIを高めていきます」ということをつくっていかないといけない。競合のその3つ、この3点を可視化するということが非常に重要で。そこの3点を可視化した上で、この44ページの一番上の図ですけども、自社と比較をすることで、競合の競争力を100とした場合に自分たちの競争力が一体いくつなのかということが見えてくるわけですよね。そうすると、その差異を埋めていくということが、まさに次の日からのアクションプランに変わっていくので。そんなことをしっかりとやる。ここをね、なんとなくぼんやりしたまま進んでも、結局つまずいてしまうんですよね。結局、壁にぶち当たる。そうすると、最後何のせいにするのかと言うと、現地のローカル社員が駄目だからとか、駐在が良くないからとか、そういう、もしくは景気が悪いからとか、為替が悪いからとか、今は為替が良いのか悪いのか、輸出と現産現販によって違いますけど、そういう話になってしまうので、基本的にそこをやっぱり明確にしていくということが非常に重要であるというふうに思います。

あと、結構ね、これを、「いや、分かっているんです」と、分かっているつもりの人がいるんですよね。僕もそうですけど、自分は分かっていないということを自分自身に、こういう仕事をしていながら、ものすごく言い聞かせていて。なぜならば、現地に駐在の期間が長ければ長いほど、「自分は分かっている。よく分かっている。自分は専門家なんだ」ということを無意識的に思っているし、もしくは本社の人間から何か言われたら、「それはもうやりました」とか、「それはやったけど駄目だったんです」みたいな話になるんだけども、「どこまでやったの?」と、「競合の可視化もどこまでやったの? 分かっています、競合のことはと言うんだけど、じゃあ、どこまで分かっているのよ」と。分かっているの範囲が非常に浅いのに、自分は深く分かっていると思い込んでいるケースというのが非常に多くて。本社側の人間も、現法の人間にそう言われたら、本社の人間は現地にはいないですから、「そうか。分かっているんだな」と、こういうふうに思うしかなくなってしまうので。結局、本当には分かっていないんですよね。何ががんかと言うと、自分は分かっていると思い込んでしまっている現地側の人ががんになってしまって、それ以上その先を追及しようとするということをやめてしまう、これが非常に多くの失敗の要因をつくっているというケースをたくさん見てきたので。われわれが強い本社のリーダーシップのもと現地に送られるときなんかは、「分かっています」という人たちを無視してどんどんプロジェクトが進んでいくので実際には分かっていないというところまで行き届くんですけど、多くの場合は「分かっている」という思い込みが非常に大きい。分かっているレベルなんですよね。ここまでを知っているから分かっているじゃなくて、もっと深いところであって、それがこの44ページ、45ページの図を分かっていますかという。この中身が分かっていたら、それは分かっているということになるんですが、おそらくこの44、45ページの表面的な部分しか分かっていないというケースがあって。なので、深くやるということは、非常に重要なポイントになってくるので、どうか自分は分かっているというふうに思い込まないということが大変重要です。われわれ自身も分かっているとは決して思わないので、個々のプロジェクトで1個1個深く掘っていくということに心掛けています。そうしないと、大きな落とし穴に落ちたりとか、足元をすくわれたりするので、自分は分かっていないんだというふうに思うことも1つ大切なことであります。

ということで、今日はここまでにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。