【本の解説】ディストリビューターの管理育成
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。森辺一樹です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』ということで、私が去年、同文舘出版から出した本の解説をしていきたいと思います。今日は65ページ、「4.ディストリビューターの管理育成なくして持続なし」ということで、ディストリビューターの管理育成が大変重要ですよというお話でございます。強固な販売チャネルをつくる3原則ということで、ディストリビューターの発掘選定、それから契約交渉、この最後の管理育成という、この3つのプロセス、フェーズが非常に重要で、特に契約締結したあとの管理育成のプロセスに関して日本の消費財メーカーのフォローというのはほとんど皆無の状態で、基本的には定期訪問レベルで終わってしまっていますと。定期訪問してどうなるかというと、ディストリビューターさんに、ディストリビューターさんが自信のある、見せたい小売の現場を見せられて、「うまくいっていますよ」ということを言われると。向こうからの要望は「プロモーションフィーをもっと出してくれ」ということと、「リベートください。値段安くしてください」という、こういう話に終始するわけですよね。それで景気が良くて、輸出の場合は為替も良くて、商品がうまくいっているときはそれで結構なんだけども、問題が起きたときにやっぱり対策が打ちにくい。なぜならば、契約締結をしたあとの管理育成に介在していないので、基本的に問題に対する対応パッチが打てなくなりますよということですね。往々にして、契約締結前までにいろいろ決めてくださいねという話を前回、前々回としてきているわけですけど、その項目であったり、KPIがしっかりと実行されているのかということを見ていくのがまさにこの管理育成なんですよね。KPIをしっかり管理をして、シンプルに管理をして、乖離がある場合はその乖離に対する対策をしっかり打つ。同時にキーマンを育成する。このキーマンの育成というのは、自分たちの商品を積極的に売ってくれる、やっぱりキーとなる人が必ず出てくるんですよね。そういう人たちを見極めて、大切に育てていくということはすごく重要で。その3点セットをちゃんとやっていかないといけないですよ、というようなお話をここでは書いています。
ポイントとしては、管理はすごくシンプルにしましょうと。Excel地獄みたいなものをね、営業現場からセールスが帰ってきたときにExcelを出させられたりとか、その上にいるSVがセールスからの報告を受けて、何かExcelシートを夜遅くまでに出さなきゃいけないみたいな、そういう管理、いわゆるひと昔前の日本の頑張りますみたいな管理は、もうアジア新興国市場は本当に向いていないので、基本的には全部アプリでやってしまうというのが今の基準になっているので。現場に行ってやることは、セールスのやることは、1、2、3みたいなことは決まっているわけですね。この現場に行ったら新商品の紹介、既存商品の陳列の状態確認、競合の何とか確認と、それがシャッシャッシャと写真撮られたら、その情報が自動で上がってきて、集計データがこっちに飛んでくるみたいなね、そういうアプリを使ってやったらいいし。基本的にはストアカバレッジとセールスパーストア、いわゆる間口がどれだけ獲れているかということと、ストアカバレッジですね、それからセールスパーストア、1店舗あたりの売上、もうこの2軸の管理にフォーカスをしたほうが良くて。それ以外の指標を管理して、ふーんと思ったところで、結局それが戦略に生かされることってそんなにないので。集めるほうの手間が増えるんですよね。管理者がデータを見て、それに対して明確なフィードバックができない数値をいくら集めても、これは集めるほうにしてみたらストレスが溜まるだけで逆効果になるので、本当に知らないといけない、もしくはフィードバックに生かせるデータ、これってもうストアカバレッジとセールスパーストアしかないので、この2つにやっぱり集中するということが僕は重要だなというふうに思います。
育成に関してはね、やっぱり営業研修というのはもちろんそうなんですけど、結構最低限の四半期に1回ぐらいやる、ここでいかにファンづくりをするかということもすごく重要で。結構ね、セールス、ASEANのセールスは純粋だしね、そこでファンづくりをやると、「僕、この商品をちゃんと売ってみようかな」というふうに思ってもらう人たちをつくれるし。あと、インセンティブとかね、そういったものもしっかりつけていかないと、とにかく一方的に愛してくださいみたいなね、われわれ日本人同士だったらね、ひと昔前は通用していましたが、今はだんだん若い子は通用しなくなったかもしれないけど、とにかく給料は安いし、長時間労働だけど、愛社精神を持ちましょうみたいな、昭和のやり方みたいなのはまったく通用しないので、基本的にはやっぱりインセンティブですよね。セールスは辞めるので、基本的にセールスレベルの業務というのはとにかくシンプルに仕組み化するということはすごく重要で、辞めても動揺せずに入れ替わりができる、入れ替えができる状態。一方でSVは、セールスの上ですね、セールススーパーバイザーのレンジになってくると、ここはインセンティブをしっかり与えながら、あんまり離職率が激しくない状態に整えるということはすごく重要だし。その上のマネジャークラスになってきたら、もうね、優秀な人材って、ASEAN中で移動しているんですよ。ベトナムでもマレー人の女性のリーダーがいたりとかね、シンガポールの優秀な人がタイにいたりとか、タイ人の優秀なリーダーがここで働いていたりとかっていうことは全然あるので、そういう人をちゃんと付けたほうがいい。もう日本人の駐在員を送り込んで、SVを管理してとか、そういうレベルだったら到底勝てないので、僕らでもそれは無理だと思っているので、基本的にはそこは採用をしっかりしていくということを考えて、どんどん現地化していかないと難しいですよ。これは他社のね、先進的なグローバル企業を見れば見るほどそう思うので。またね、ちょっと採用みたいな話はどこかのタイミングでやろうと思いますけど。そんなような話が書いていますよというのが、この67ページぐらいですかね。
あと、ちょうど68ページにね、コミュニケーションをしっかり取りましょうということ、当たり前なんですけど、レイヤーを分けて、うちの会社だと、役員のレイヤー、マネジャーのレイヤー、現場セールスのレイヤー、現地の従業員のレイヤーってね、3つのレイヤーに分けて、ディストリビューターさんとか小売とコミュニケーション取りまくっているわけですよね。なぜならば、お客さんの商品をわれわれは売っているわけですから、お客さんとディストリビューターの関係値というのは浅いわけですよね。それ以上の関係値を持っているプリンシパル、ブランドをたくさん持っていて、ディストリビューターは。でも、僕のクライアントのことをよりひいきをしてもらいたい。そうすると、今までの別のブランドさんとのお付き合いの、10年20年のね、10分の1とか5分の1とかに短縮しようと思うと、時間じゃなくてコミュニケーションの量で時間を稼ぐしかないんですよね。なので、非常にコミュニケーションの量を大切にしているということで、各国に合わせたアプリケーション、LINEを使っているところならLINE、What's upならWhat's upで常時コミュニケーションは取り合っているので。メールのもうコミュニケーションのスピードだと遅いんですよね。メーラー開いてどうのこうのって。それでもう、直接プッシュ型でバーンとスマホに来ないと遅くて。そうすると、もうコミュニケーションアプリを使う、メッセンジャー系のアプリを使うというのが多いですかね。
またちょっとね、68ページのこの問題、察知能力と解決能力みたいな話はちょっと別、次回やっていこうかなというふうに思います。それでは皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。