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【本の解説】伝統小売のデジタル武装 その1

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『ASEAN6における販売チャネル戦略』、私が去年、同文舘出版から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

すみません。収録が間に合わず、何回か飛ばしてしまったかもしれませんが、今日からしっかりキャッチアップしていきますので、よろしくお願いします。

今日は71ページ、「伝統小売のデジタル武装で変わる今後の市場」ということで少しお話をしていこうかなというふうに思います。この番組でも過去に何回かお話をしたと思うんですが、伝統小売の重要性みたいなところのお話をしていて。20年ぐらい前はね、ASEAN市場における伝統小売に関しても消費財メーカーさんの注目ってそんなに高くなくて、どちらかと言うと伝統小売がコンビニに変わっていくでしょうと。なので、とにかくMTだけをしっかりやって、伝統小売はコンビニ変わったあとに実際には本格的に参入すればいいのではないかみたいな、そういう論調がやっぱり非常に大きかったですよね。当時から「伝統小売は非常に重要だ」ということを私は申し上げていたんですけども、なかなか企業の戦略としては、とにかく近代小売ということが主だったと思います。

ここ10年でやっぱり考え方が大きく変わって、市場が大きく変わっているので、企業の考え方も大きく変わっていくわけですけども。今、まだ少し議論されているのは、「伝統小売ってなくなるの?なくならないの?」みたいなところの議論がやっぱり非常に大きくて、それによって消費財メーカーの戦略って大きく変わってくるわけですよね。基本的にはVIPのお話が中心になってくると思うんですよ、伝統小売で言うと、ベトナム、インドネシア、フィリピン。なぜならば、ベトナムの伝統小売は66万店、インドネシアで447万店、フィリピンで80万店以上というふうに言われていますので、基本的にはこの3つの市場が非常に大きく関わってくると。もちろん、タイ、マレーシア、ここも数十万店の伝統小売は存在しますので、引き続きなんですけど、やっぱり伝統小売と言えばVIPということで。

「伝統小売がなくなるか、なくならないか」みたいなお話で言うと、結論から言うとね、なくならないですね。これはね、どういうことかと言うと、すでに伝統小売の数が多過ぎるということが1つなんですね。例えば、インドネシアが一番多くて447万店で、フィリピンでも80万店、一番少ないベトナムでも66万店あって、ベトナムの近代小売の、主要なね、近代小売の数って6,000店舗ぐらいなんですよね、主要どころ。まだまだ近代小売が足りていないし。フィリピンだってそうですよね。インドネシアも3万7,000店舗ぐらいありますけど、そのうちの3万5,000店舗はインドネシア系のアルファマートとインドマレットのこの2強コンビニなんですよね。そうすると、やっぱりこれ、業界関係者が皆さん口をそろえて言うのは、「伝統小売をやらなければ、消費財メーカーは絶対に儲からない。利益が出ない」。なぜならば、近代小売に置くということは、イニシャルでコストがかかっているわけですよね。リスティングフィー、棚代、その他、半強制的なプロモーション云々。なので、結局、近代小売をショーウインドウとしながらも、そこでのプレゼンスをしっかり維持しながらも伝統小売でしっかり稼ぐという、こういう構造になっているので、基本的には伝統小売をやらざるを得ないと。その中で、もうすでに数が多過ぎるので。実際にね、減っているんですよ。減っているんです。例えば、インドネシアの過去5年の伝統小売の数の推移とかを見ていくと、毎年3万店ぐらい減っているんですよね。毎年3万店減っているんだけども、もうすでに447万店あったらね、毎年3万店減っていったって、それが全部減るのに90年ぐらいかかるわけですよね。倍のスピード、3倍のスピードで減っていったって50年前後かかっていくわけですよね。50年前後かかるということは、もうこれは存在し続けると同義だし。もう1つあるのが、この伝統小売がその50年前後の間にデジタル武装を始めて、デジタルのスピード、50年のスピードと、伝統小売が50年経って減っていくスピードね、どう考えたってデジタルのほうが圧倒的に速い。そうなってくると、伝統小売はむしろコンビニよりも便利な存在に仕上がってくるということになり得るわけですよね。そういう意味で伝統小売はなくならないですよというふうに言っていて。この71ぺージから解説をしていますので、ぜひ読んでいただければと思います。

ちょっとまた続きね、重要なことなので、次回やりたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。