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【本の解説】ベトナム市場 中間層が受け入れられる4P・4Cに最適化する

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』、私が去年、同文舘出版から出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は101ページ、「5.販売チャネル戦略 中間層が受け入れられる4P・4Cに最適化する」ということで、101ページから104ページぐらいまでのところですかね、お話をしていきたいと思います。ここは、ASEAN市場でなかなかシェアが伸びないとか、売上が思ったように計画通りにいかない企業の要因ってどこにあるかって、必ずこの4Pとか4Cの中に潜んでいて。4Pってプロダクト・プライス・プレイス・プロモーションで、マーケティングの父フィリップ・コトラーは、この4Pをターゲットに対して当てていく、4Pを最適化してターゲットに当てていくということをすることがまさにマーケティングだし、4Pが最適化されていないとそれはターゲットに当たっていかないということを言っているわけですよね。その中で、シェアが思った通り上がらない、売上が思った通り伸びない企業の問題って、必ずこの4Pの中に潜んでいるんですよね。プロダクトが悪いのか、プライスが悪いのか、プレイスが悪いのか、プロモーションが悪いのか、もしくはその4つのPのバランスが最適化されていないということが原因としてあって。

日本企業の場合、どちらかと言うと、1P戦略と私は呼んでいるんですけど、プロダクトが非常に良いと。この「良い」も、基本的に品質が良いもの=良いになっているんですよね。でも、世界では品質が良い=良いではないので、品質だけの時代ってとっくに終わっているんですよね。2000年代前半ぐらいでもう終わっていて。品質がそこそこだったとしても、より消費者がこれを求める何かが別にあるというものってたくさん世の中にもあるし。今回この本はFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCG向け、消費財向けの本なので、また少し「良い」の意味も変わってくるわけなんですけど。プロダクトが良い。プライスに関してもそこそこ頑張れる。何がやっぱり一番、いろいろな企業を見てきてまずいのかって言うと、やっぱりプレイスのチャネルの部分がすごく問題で、そこになかなか経営資源を割けていないので、ノウハウも経験値も積み上がっていないということが問題としてあって。結果として、プロモーションをやったとしても、結局、チャネルがしっかり構築できていないとプロモーションをいくらやっても無駄なことになるので、なかなかプロモーションも伸びないということになっていくわけですね。なので、このプレイスに問題が多くの場合はあるんですが、そのことについて書いていると。

どちらかと言うと、日本の消費財メーカーは、4Pではなくて4Cの観点で考えるということはすごく重要で。4Pというのはつくり手側の視点で見ているわけですよね。プロダクト、どういうプロダクトを売りたいのか、どういう金額で売りたいのか、どういう場所で売りたいのか、どういうふうにプロモーションしたいのかという、もう完全にメーカーの視点であると。一方で4Cというのは消費者側の視点なので、プライスではなくてコストですよね。消費者にとっての費用、コスト、負担する費用ですよね…。ごめんなさい。まず、プロダクトからお話をすると、プロダクトというのは商品ではなくて、顧客にとっての価値は何なの?カスタマーバリューは何なんですか?ということだし。プライスに関しては、今度はコストに置き換わる。顧客にとっての費用、負担しないといけない費用って何なんですかということに置き換わるし。プレイスに関しては、顧客にとってコンビニエンス、より便利な買い方ってどういうものなの?ということになるし。プロモーションに関しては、コミュニケーションに変わる。顧客とのコミュニケーションをどうやって取っていくか、これは顧客とメーカーのコミュニケーションがどう取られているのかということなので。4C観点で考えることがすごく重要ですよという、そんなことを解説しています。

そもそもエボークドセットに入るということはすごく重要で。顧客って、何かモノを買うとき、特に消費財なんかを買うときに、棚の前に行って、「ふーん、どれにしようかな」って選んでいるというよりかは、「あれを買う」ということをある程度決めていて、「あれか、あれ」「あれか、あれか、あれ」ぐらいまでですよね、もし広かったとしても。これがまさにエボークドセットというもので。このエボークドセットにいかに入っておくかということはすごく重要で。入っていないのにね、棚の前に行って、「これを買おう」なんていうのはね、よっぽどその場で、棚の前でキャンペーンをやっていない限り、キャンペーンガールが何か勧めてこない限りね、なかなかそういう選択肢にはならなくて。特に伝統小売なんかはそうで。伝統小売って、もう完全にエボークドセットに入っている商品を消費者は買いに来ているので、基本的に「おじちゃん、あれちょうだい」「おばちゃん、あれちょうだい」という世界ですよね。そしたら、おじちゃん、おばちゃんが棚の上や棚の下から商品を出して「はい、どうぞ」という話なので、いかに近代小売で売れていなければいけないかということは、まさにそういうことでね。近代小売での売れ筋しか伝統小売では売れないというのはまさにそういうことなので、基本的にはエボークドセットに入るということはすごく重要ですよと。そんな説明をしているのがこの104ページまででございます。

それではまた次回ね、105ページからお話をしていきたいなというふうに思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。