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【本の解説】フィリピン市場 ディストリビューター選定は既に椅子取り合戦

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『ASEAN6における販売チャネル戦略』 日本同文…、日本じゃない、単なる同文舘出版から私が去年出した本ですけれども…。この番組でも何回か日本同文館出版と言っているんですけど、日本はつきません。同文館出版ですね。私が別で出している、この日本実業出版社、これの癖がね、日本がつくのでね、こっちもついつい日本と言ってしまったんですけど、同文館出版です。大変失礼しました。

今日は160ページね、ディストリビューター選定はすでに椅子取り合戦ということで、第6章のフィリピンですけど、VIPの最後のP、フィリピンですね、これのディストリビューターはすでに椅子取り合戦ということで。ASEANの市場もね、もう良いディストリビューターがかなり仕上がってきていて、もちろん15年ぐらい前はいろいろ順位が変わったりとかっていうのはあったんですけど、だいたい最近、トップ3とかはもうあまり動かなくなってきていて、非常に固まってきたと、良いところはどんどん良くなってくるし、駄目なところは淘汰していくと。今後、ディストリビューターの業界再編もたぶんあると思いますけど、まあまあ、やっぱり良いディストリビューターというのはすでに取られてしまっているというケースが非常に多くて。結局、規模が大きい・小さい、それから、自分たちの取り扱っている商品と彼らの得意分野が近いか・遠いかっていうところの議論になってくるわけですけど。そういう意味で言うと、やっぱり規模が大きくて、それでいて自分たちの取り扱い商材に近いところ、それが一番良いわけですよね。食品を売っているのに、日用品を売っているディストリビューターはやっぱり嫌だし、売上が数百億円ある大きなディストリビューターのほうが数億円の小さなディストリビューターよりも当然実績もあるので、そっちのほうが良いでしょうということになるんですが。やっぱり規模が大きいし、取扱品目も大きいというディストリビューターはね、すでに皆さんの競合が取り扱いをやっているとかね。だから、なかなか皆さんの商品は、競合してしまうので取り扱えないとか、逆に取り扱えたとしても、もともとやっている競合のほうがより長い関係もあるし、売れているので、マーケットシェアも高いので、やっぱりディストリビューターとしてはそっちに注力しがち。これからやるメーカー、プリンシパルの商品にはなかなか力が入らないというケースは別に珍しくないので、やっぱり規模が大きくて、取り扱い商品が近いというのは、なかなかもう難しい、椅子取り合戦になってしまっていると。

日本の消費財メーカーの多くはね、消費財メーカーに限らずですけども、ディストリビューターの選定基準、とにかく大きくて優秀なところみたいな、実績があるところっていうふうに言うんですけど、それは大きいほうが実績が大きいし、いろいろ業界での融通も利くし、小売へのコネクションも持っているし、営業マンも多いし、いろんなことができると、そうなんですけど、皆さんのビジネスのステージによっては必ずしもそこが必要かと言うとね、そうじゃなかったりするわけですよね。そんなに大きなディストリビューターのこんなたくさんの力をね、これから始めてこれぐらいの労力しか必要ないのに、こんな力ね、求めますかと。将来そうなるかもしれないけど、じゃあ、それは何年後ですかと言ったときにね、すでにこんな力を持っているディストリビューターは、別の競合や別のメーカーとこれぐらいのシェアに向かってやっているわけですよ。そうすると、こんなところのシェアのためにね、そんなに経営資源を割くかと言うと、割かないので、実は不要なものをねだっているというケースって非常に大きくて。特に参入初期とか導入期は、やっぱり中堅クラスでまだまだこれから成長しようと、新しい商品の取り扱いを増やして成長しようという意欲にあふれていて、ある程度首根っこをつかんで言うことを聞かすことができるようなディストリビューターのほうが合致しているというケースは全然あるんですよね。共に成長していくのも良しだし、自分たちのシェアのほうが彼らよりも成長が速ければ、途中でディストリビューターを変える、もしくは併用するということだって選択肢としてはあるので。必ずしもね、大手で実績のあるところではなくて、自分たちが戦略上ね、短・中・長期の戦略上、どの小売に売りたいんですかと。じゃあ、その小売に確実に売ってくれる、これはスキルセットもそうだし、物理的にスキルとしてケイパビリティを持っているか、そういう能力を持っているかということと、あと、マインドですよね、それを本気でやってくれるかどうか。必ずしもスキルがあってもやってくれるかどうか分からない、もっと別の重要なクライアントがいたらそっちに経営資源を割かれるというケースだってあるので、そう考えると必ずしも大手じゃないですよと、自分たちに合致したディストリビューターを選ぶということが大変重要ですよというお話でございます。

今日でね、いよいよ、このVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンが終わりましたので、次回から第Ⅲ部に突入をします。「販売チャネル戦略(2) SMT編」ということで、シンガポール、マレーシア、タイのお話になってまいります。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。