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【本の解説】シンガポール市場 市場概要と特徴

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、同文舘出版から私が去年出した本ですが、『ASEAN6における販売チャネル戦略』ということでお話をしていきたいと思います。

本日から165ページ、第7章 シンガポールに突入です。ASEAN6をVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンのいわゆる振興ASEANと、それからSMT、シンガポール、マレーシア、タイランドの先進ASEANというふうに2つに分けて、VIPの解説はもうすでに終わっていて、今日からこのSMT、シンガポールに入ってくるということになります。シンガポール自身の概要に関しては、600万人弱で、東京都23区と同等ぐらいの面積というふうに書いてますけども、昔はね、淡路島と同じぐらいなんていうふうに言われていて、ASEANの中で最も小さく人口が少ない、ただ、1人あたりGDPは、富裕層が非常に多いので、めちゃくちゃ上がっていますよ、8万ドルを超えていますということで、日本の倍ぐらいあるということですね。

このシンガポールという拠点は、比較的、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーでも、いわゆるリージョナル拠点としての、リージョナルヘッドクオーターがまず製造業の場合あるケースがあると。これはBtoBの製造業も一緒ですけど、リージョナルヘッドクオーターがあって、輸出フリーの国なので、基本的には非常に輸出入がしやすいと。香港と同じような状況ですよね。なので、昔から貿易拠点としては非常に栄えていたと。私が住んでいた1980年代とかはまだ工場なんかも結構あって、ジュロンとかって言うと工場だらけだったのに、今はもうほんとにベッドタウンになっているので、だいぶこの30年ぐらいで状況が大きく変わってしまっているので、なかなかもうね、シンガポールを知っているとは言いにくいんですけども、非常にあの当時に比べると格段に変わったと。あの当時でもね、ASEANの中では圧倒的に進んでいて、ファイナンシャルの拠点だったし、貿易の拠点だったし、格段に進んでいたけど、マリーナベイサンズなんてなかったので、取りあえずオーチャードか、それ以外の田舎かみたいなね、そういう感じだったので。遊びに行くって言うとだいたいオーチャードだったんですよね。もしくはオーチャードの周辺みたいなね。まあまあ、中高生の遊びっていうので限られていますけどもね。その遊びも2種類あって、家の近くでみんなでスケボーして遊ぶか、それとも街へ繰り出して、少し大人びたことをするかみたいな、大人の影響を受けた、おしゃれして街に繰り出すかみたいな、2極の遊びでしたけど、その行く先っていうのがオーチャードだったということですよね。

このシンガポールなんですけど、小売市場規模から見ていくと、ASEANではね、一番小さい、為替が136円で5.8兆円なので、6兆強ぐらい、だいたい小売市場規模がありますよと。ただ、やっぱり何が大きいかって言うと、シンガポールで流行っているものが他のASEANに波及するっていう効果はやっぱり依然としてあって、かつてほどね、ASEANもやっぱりシンガポールが圧倒的っていう感じでもなくなってきているので。やっぱりジャカルタも大きくなったし、バンコクも大きくなったし、クアラルンプールも大きくなったし、それぞれステータス的なものというのは上がってきているので、必ずしもシンガポールが絶対的に1番みたいな、そういう印象は消費者の中でも今はそんなになくて、バンコクで流行っているものが、逆にシンガポールに入ってきたりなんていうこともあるわけなので、昔ほどブームの火付け役拠点みたいなことにはなっていないと。ただ、やっぱり観光客も多いので、シンガポールで目にするものというのはほかの国に波及しやすい。特にASEAN圏内では波及しやすいというのがありますよ、ということですかね。

基本的にシンガポールは、伝統小売はありません。昔はね、駄菓子屋みたいなのが結構あったんですよ。キャンティーンと言われる、ホッカセンターと言われるね、今でもまだ少し残っていますけども、そういういわゆる屋台村みたいなね、屋台の集合体みたいなのがたくさんあって、結構僕はそこのご飯が大好きで。今も一部観光地として残していたりとか、一部ちょっと地方のほうに行くと、地方と言ってもね、小さい国なのであれですけど、田舎のほうに行くとあったりなんてしますけども、だいたいフードコートという名前に変わってしまって、非常にきれいになったと。やっぱり衛生上の問題が非常に多かったので。昔はね、ジュースに入れる氷が、こんな大きいブロックで運ばれてくるんですけど、業者がトラックで運んできて、それをそのキャンティーンの床、汚い床をね、グワーッと転がってジュース屋さんの前まで運ばれていくんですよね。僕、それを見たときにゾッとして、「それを割ってジュースに入れてるの? 僕の」って聞いたことがあるんですけど、そしたらね、「気にするな」と、「周りが溶けるんだから、汚いところは溶けてるから、非常にきれいなとこしか入ってないから心配ない」と言って。確かにね、中国人らしい、中華系の人らしい思想というか、考え方ですよね、合理的と言うかね。なのでね、情緒的に考えるとね、仮にそうだったとしても、表面が汚いところを滑ったものをコップに入れるというのはもう日本の感覚だとあり得ないので、僕はそれで13~14歳ぐらいのときにものすごい強いカルチャーショックを受けて、そこから物事の捉え方とか考え方というのは日本の情緒的な捉え方がすべてじゃないんだなということを身をもって学んだという、そんなことがありましたかね。

そのシンガポールですけども、小売はね、主要どころはおおよそ1,000店舗ぐらいしかないんですよね。その1,000店舗はどういうところがあるかと言うと、まずはね、たぶん一番有名なのってコールドストレージかなと思うんですけど、なぜならオーチャードロードの髙島屋にコールドストレージが入っていて、たぶんみんなそこでグリーンチリを買ったり、食料品を買ったり、スパイスを買ったりすると思うので、コールドストレージなんですけど。一番大きいのはね、フェアプライスというね、いわゆる庶民向けのスーパーがあるんですけど、そこがやっぱり一番大きくて。あと、コールドストレージとか、シェンションとか、ドン・キホーテなんかが非常に成功したの、これはもう5年ぐらい前ですかね、非常に話題になりましたけども、今やいわゆる中心部だけじゃなくてね、地方のほうにも店舗を拡大しているという中で非常に頑張っているということでございます。
やっぱりね、シンガポールって、ポイントとしてはね、棚代、近代小売が限られているし、非常に高い棚代を取られるので、棚代を払っても、導入費を払っても、週販がそれを超えられるかというのがやっぱり非常にキーになるんですよね。その中でどう戦っていくかということになってくるので、伝統小売をやらなくていい分、近代小売とのしっかりとしたコミュニケーションはやっぱり取っていかないといけないですし、週販どうやって超えていきますかっていうことを考えていかないといけないということですかね。

次回以降、172ページ以降ね、ちょっと小売の紹介なんかもしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。