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【本の解説】タイ市場 市場概要

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『ASEAN6における販売チャネル戦略』 同文舘出版から私が去年出した本ですが、この本の解説をしていきたいと思います。

今日は第9章、201ページ、タイでございます。いよいよ、この本の解説もこのタイで最後になりますので。この本の解説だいぶ長くやってきたので、このあと何をやっていこうかなということで、ちょっとスライドを使って、また最近のホットなトレンドを含めてアジア新興国市場に特化したチャネル戦略の話をしていくことになると思うんですが、もうあとこれで最後ですので、もうしばらくお付き合いください。

今日はタイなんですけどもね。タイはまず特徴としては、消費財メーカーにとって人口って非常に重要な要素で、一番最初に人口を見ると思うんですけども、意外にSMTの中では、意外にというか、ASEANの中では大きくて、VIPはちょっと別個なので、ベトナム、インドネシア、フィリピン、3億弱、1億強、1億弱みたいなね、これはもう全然これからさらに成長していく市場ですから、そこと比べると、どちらかと言うとSMTは人口も小さくというふうに考えがちですけども、タイは6,600万人の人口がいて、今、弊社でもプロジェクトが動いているお客様からご依頼いただく案件の大半はタイ+VIPなので、ベトナム、インドネシア、フィリピンなので、タイは非常に重要な市場であるというね。マレーシアだって3,200万人ぐらいしか人口いないですから、シンガポールが570万人ぐらいなので、シンガポールとマレーシアをセットでやるというケースが、ハラルを考えるとインドネシア絡めてという話になると思いますけど。タイはね、タイ単独で非常に大きな市場ですよと。

じゃあ、消費財メーカーさん、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財メーカーにとって、まず市場規模はどれぐらいあるの?というところで、204ページの下の図に書いてありますけどもね、2022年のデータですけども、約16兆円、136円計算で16兆円なので。今、この円高が若干進んだので、今、147円~148円ぐらいなのかな。なので、若干この16兆円よりも多いかもしれないですが、15.6兆円ですね。まあまあ、16兆円ぐらいというふうに捉えてよろしいのではないかなというふうに思いますが、ASEANの中では一番大きいのがインドネシア、その次にベトナム、そしてフィリピン、タイというふうに続きますよと。確かにね、1人あたりの購買力とか、1人あたりのGDPは圧倒的にタイなんですけども、人口の差がやっぱり全然大きいので、このフィリピンとかね、ベトナム、インドネシアなんかに比べると当然ながら下がってしまいますよという、全体ではですね。ただ、タイは依然大きな市場であるということは間違いないですし。タイ市場を見るときに面白いのが、1人あたりのGDPを見たときに、だいたいバンコクが倍ぐらいなんですよね、全体でならしたときの。これをVIPに持っていくと4倍5倍の差がね、地方と首都とではついているというケースが非常に大きいし。あと、インドネシアフィリピンもそうですけど、島で分散しているとかね、ベトナムなんかもハノイとホーチミン、1,600キロ、縦長の土地の中で分散しているとかっていうことを考えると、タイは比較的、縦長ではありますけども、島でもないですし、ギュッとまとまっていると。地方と首都バンコクの差が倍で済んでいるというところでは、日本企業にとってはやりやすいのかなというのは1つ市場の特徴としてはあるのかなと。

またタイの市場を消費財メーカーが見るときに一番最初に考えないといけないのは、もう圧倒的に小売のパワーバランス、交渉力が強い国であるという、いわゆる財閥が非常に大きな影響力を持っている国なので、「誰と売るか」よりも、もう圧倒的に「誰に売るか」のほうがすごく重要で、この「誰に」も消費者ということはもちろん一番重要なんだけども、その手前の小売が2つの財閥グループによって牛耳られている。1つがCPですね。チャロン・ポカパン、CP財閥と、あとセントラルのこの2つで牛耳られていて。やっぱり日本の消費財メーカーにとっては、このCPオールとの取り組みというのは僕はすごく重要なことだと思っていて。セブンイレブンが世界で2番目に多い国がタイなんですけど、日本が2万強ですよね。タイのセブンイレブンは1万4,000店舗。ほかのASEANを見たって、40年セブンイレブンやっているけども、シンガポールもマレーシアも、30年、35年、40年。なんだけども、結局、数百店舗、数千店舗みたいなね、ASEANその他の国を見ても。タイほどセブンイレブンがこれだけ受け入れられた市場はないわけですね。そうすると、やっぱり日本でコンビニエンスストアで売られているような消費財メーカーは圧倒的にCPなんですよね。そうすると、ディストリビューターの小売交渉力なんていうのはまったく意味がないので、いかにCPオールと話をつけられるかということがすごく重要で。彼らは戦略的ですから、中途半端な話を持っていっても印象を悪くするだけなので、やっぱりしっかり戦略を固めて、なぜこの商品が売れるのか、なぜこの商品をセブンイレブンが扱う必要があるのかということをしっかり照明していかないといけない、プレゼンしていかないといけない。小売の棚は常にぎちぎちに埋まっているわけなので、何かを入れるということは何かを出すということになるわけですよね。だから、相当にそこは固めて交渉しないといけない。そんな市場であるということが1つこのタイの特徴であると。

次回以降ね、またこの辺の、CP、セントラル含めて小売の重要性みたいなところについて少しお話を進めていけたらなというふうに思います。今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。