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アジア新興国市場 プロダクト依存型の失敗

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、失敗する企業のパターンのお話をしていきたいと思います。

スライドをお願いします。前回、ちょっと私、話が長くなってしまってね、ちょっと乗ってしまって話が長くなってしまってすみませんでした。今日ね、この…。前回このオーバービューをプロダクト依存型、パートナー依存型、パーソン依存型、このだいたい3つに陥っているのを過去、私は散々見てきましたということで、ざーっと概要をご説明しました。これらの依存に陥るのは、そもそもインプットが少ないから、情報が少ないから。インプットが少ないと、アウトプットという仮説とか戦略というものもチープになってしまいますよと。仮説、戦略がチープだと、それを実践したときに乖離が大きく出るので、その乖離に対してその場で対応ができなくなってアウトカム、結果もチープになりますよという、こういうお話を前々回とかにしているんですかね。その流れでだいたいインプットが少ない会社はプロダクト依存になったり、パートナー依存になったり、パーソン依存になると。今日はプロダクト依存についてちょっとさらに詳しくお話をしていきたいなというふうに思います。

次のスライドをお願いします。プロダクト依存型の失敗ということで。こういうことなんですよ、単純に言うとね、4P、マーケティング・ミックス、皆さんご存知だと思いますけども、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションでございます。この4Pがターゲットに対して最適化していれば、モノはちゃんと売れるんですよね、継続的に売れ続けていくんですよ。課題がある、売れない、シェアが上がらない、売上が思ったようにいかない問題のもうほとんど、ほぼ、ほぼすべては、この4Pとターゲットの中に隠れています。4Pが間違っているのか、ターゲットが間違っているのか、もうこのいずれかなので、基本的にはここを僕らはどれだけ分析していくかということなんですよね。お客さんが課題があるというときにね、どこに課題があるのかと言ったら、この4Pからギューッと絞っていくということをやるので、この4Pってすごく重要で。

多くのプロダクト依存型の日本企業の、製造業の場合ね、これはB2BもB2Cも一緒ですから。日本で実績のある商品を、できればさほど変えたくないというのが根底にあるんですよ。なぜならば、われわれの商品は、良い原材料を使って、高い技術力でつくった、とても品質の良いプレミアム商品だからですと。品質では負けませんみたいなね。インダストリーによっては、昨今、中国やアジア企業の品質も格段に上がってきていて、いや、実はあまり変わらなくなってきているということを、腹の中では認めているんだけども、なかなかそれを表立って認められないみたいなね、そういう状況もあるし。確かに品質は中国やアジア製に比べたら10倍いいです。10倍いいんだけどもね。例えば100万回使えますと、日本の製品は。一方で、他の国の製品は10万回しか使えません、90万回の差がありますよと、10倍の差があるんですよと言うんですけども、実際に、じゃあ、ユーザーは何回使うのと言ったら5万回ぐらいしか使いません。だから、結局この10倍の差ってまったく無駄ですよねみたいな状況が結構あって。もう目に見えない品質競争をだいぶやってしまった、2010年代後半ぐらい、2010年代前半ぐらいだったかな。そこからやっぱりなかなか抜け出せないという、まず1つ。目に見えない品質の良さって、良さとしてやっぱりユーザーなり消費者なり、判断できないですよね。判断させたいんだったら、このプロモーションをしっかりとやる、伝えるということをやらないといけないんだけども、このプロダクトの、右下にあるプロモーションに関してもやっぱりできれば実績が出るまでプロモーションしたくないよねという考え方で。品質が良いので、当然プライスは少しはね、アジア新興国なので安くしなきゃいけないというのは分かっているけども、やっぱりできれば日本と同じか、できれば高く売りたいよねと。どこで売るの?ということですけども、日本で慣れ親しんだ流通で売りたいよねと。例えば消費財、FMCGだったら近代小売で売りたい、伝統小売は極力避けたいなと。一方でB2Bだったら日系企業中心にやりたいよねというような構造になってしまうと。そうすると、必然的にターゲットが中間層には売れない、B2Cだったら中間層には売れない。B2Bだったら、やっぱり非日系企業とか、本当に売らなきゃいけないローカル企業に売れないと。ターゲットは牌の少ない、B2Cだったら富裕層とかね、B2Bだったら日系企業になってしまうという、こういう構造なので。

そもそもこれの間違いは2つあって、このスライドの間違いは2つあって。まず、ターゲットに対して4Pであるべきなのに、4Pありきのターゲットになってしまっているということが1つ。もう1つは、この4Pが、結局4Pってメーカー側が何をしたいかなんですよね。メーカーが何を売りたいの? プロダクト。メーカーがいくらで売りたいの? プライス。メーカーがどういうふうに売りたいの? プレイス。メーカーがどういうふうにプロモーションしたいの? プロモーションみたいな、もう全部がメーカー側の都合になってしまっていると。これはマーケティングでは全然ないわけですよね。

次のスライドをお願いします。本当にやるべきは、この1番、ターゲットに対してどうやって4Cをぶつけるのかということを考えないといけない。4Pがメーカー側からの視点だとすると、4Cというのはカスタマー側からの視点、プロダクトはカスタマーバリューに置き換わる。顧客にとっての価値って何なの? 顧客が求める商品を売らないといけない。プライスはコストに変わる。顧客にとっての費用、顧客が賄える価格ってどういう価格なんですか。顧客が受け入れられる価格ってどれぐらいなんですか。そして、プレイスはどこで売りたいかじゃなくて、顧客にとってどこで売ることが便利なの?ということを、買いやすいの?ということを考えないといけないし。最後のコミュニケーション、プロモーションは顧客とのコミュニケーションだと。顧客が選びたくなるような仕掛けをしていかないといけないという、顧客ともっとコミュニケーションを取っていかないといけないという、こういうふうに置き換えていかないといけない。これができるとモノというのは絶対にセルアウトしていきますから、売れていく。絶対的に重要なのは、ターゲットに対して4P、4Cを最適化するということなので、もしシェアがうまく上がらない、課題があるという方は、このターゲットと4P、4Cを分解していくということをやっていくのが非常に重要になります。これも客観的にやらなきゃいけないので、しっかりと外部の専門家に診断をしてもらうということが重要になってくるかなというふうに思います。

今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。