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ASEAN6の小売市場 近代小売に関する考察

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、ASEAN6の小売市場についてお話をしていきたいと思います。

前回ね、ASEAN6の小売市場の規模のお話をして、日本の小売市場規模が150兆円ぐらい、だいたい150兆円ぐらいに対して、今はもうASEAN6の小売市場規模というのは130兆円ぐらいありますよというお話をしました。今日は、それだけ大きく成長して、もうまもなく日本の小売市場規模を抜いていくであろうというこのASEAN市場が、どういう流通構造になっているのかということについてちょっとお話をしていきたいなというふうに思います。

スライドをお願いします。このスライドですが、左が主に食品・日用品を取り扱う主要な近代小売チェーンの店舗数の合計でございます。弊社でカウントを2022年にやっている、ほぼほぼ最新、多少の変化はあるかもしれませんが、そこで最新の本格的なカウントをして、そのあと若干マイナーチェンジ、アップデート、マイナーアップデートをしているので、まあまあ、ほぼほぼ弊社が主要と捉えるところの数はこんなものかなと。右が小売市場(食品および日用品カテゴリー)における近代小売と伝統小売の比率(金額ベース)というふうに書いてますが、言ったらどれだけの金額が近代小売と伝統小売それぞれで動いているんですかということを示していますよと。

まず左の近代小売から見ていきたいんですが、SMTから見ていくと、シンガポールは1,000店舗ぐらいしかないんですよね。フェアプライスとかコールドストレージ、非常に有名ですよね。何年か前にドンドンドンキが出て話題になりましたけど、まあまあそういう非常に小さな市場、コンパクトな市場と。マレーシアでも6,600店舗で、マレーシアの小売市場って非常に面白くて、ロータスとかイオンとかね。イオンなんかはたぶん世界で一番、日本を除いて世界で一番店舗数が多いのがマレーシアなんですよ、イオンね。非常にイオンと言うとマレーシア国民に浸透しきっているんですけど、非常に大きな存在になっていると。ロータス、これはタイなんですよね。セブンイレブンとか99スピードマートとか、いろいろありますけどね。マレーシアは面白くて、これは小売の外資の規制緩和が非常に早く進んで、ほとんど外資なんですよ、これ、トップ4とか5ぐらいまでほとんど外資で、タイの会社とか日本の会社とかね。ただ、プミプトラ政策があるので、基本的に小売で売られている商品の何割かをマレーシア産にしないといけないという、そういう縛りはあるものの、小売そのものは外資規制がない。例えばベトナムなんかは結構外資規制がきつくて大変だった。インドネシアもそういう時代があって今ようやくみたいなね。インドネシアはまだいろいろ規制がありますけどね、コンビニでアルコール売っちゃ駄目とかね。それも1つの要因になってセブンイレブン撤退したと、それだけではないんですけど、そんなこともある。タイなんかは、財閥系なので、もうこれはCPかセントラルかということで、タイの小売は基本的にはロータス、セブンイレブン、コンビニもう圧倒的、1万4,000店舗ぐらいあって、日本が2万数千店舗なので、日本の次にセブンイレブンが多いのがタイですよということで、タイは全部で1万7,000店舗ありますけど、そのうちの1万4,000店舗はセブンイレブンですから。で、ロータスがあってということで。BigCがね、これはセントラルのグループで、マクロは、これはいわゆる業務用スーパーですけど、これもCPなので。CPとやるんですか、セントラルとやるんですかっていうことを決めないといけないという、そういう市場で。どこかのタイミングでタイの参入についてお話をしていきたいなと思うんですが、最近、Podcastでタイの参入に関する3つの重要なポイントみたいな話をした記憶があるので、また興味のある方はPodcastを聴いてもらったらよろしいかと思います。

ベトナムもね、ウィンマート。もともとね、これはビンマートだったんじゃないの?という人もいると思うんですけど、そうなんですよ、ビンマートがウィンマートに買われて、ビンがウィンになったというね、あれなんですけど。もともとね、異業種がビンマートを経営していて、なかなかやっぱり不採算店舗とかが多くて大変だったんですけど、小売の大手が買収して、ウィンに変わって、ビンブランドがウィンに変わっていって。まだね、ビンマートプラスとか、ビンのままのところもあるんですけど、どんどんウィンに変わっていると。イオンも頑張っていますし、ロッテマートとかメガマートとかコープマートなんかもあって、それでも8,200店舗。フィリピンなんかは9,400店舗ぐらいで、フィリピンも財閥系で、もうSM、ピュアゴールド、ロビンソンズになければフィリピンの近代小売にはないのと一緒で、=伝統小売も獲れませんみたいなね、そういう市場ですから。一番面白いのがたぶんインドネシアで、3万6,700店舗、ASEANではもう圧倒的に近代小売が多いよと。ただし、このうちの3万3,000店舗ぐらいはアルファマートとインドマレットの2つの2強ローカル系コンビニ。ファミリーマートとかサークルKとか出てますけども、桁が2桁ぐらい店舗数が違う、数百店舗に対して数万、1万何千店舗とかそういう話なので、セブンイレブンは何年か前に撤退してますし。あと、トランスマート、元カルフールですね。あと、ジャイアントとかロッテマート、イオンも頑張ってる、ハイパーマート、こんな市場ですと。

近代小売だけざっと見て、数が少ないですよね。基本的に近代小売って導入費が上がる、リスティングフィーとか棚代、導入費が掛かるので、基本的には近代小売だけだと儲からない、これはもう流通事業者もそうだし、メーカーもそうだし、関係者、有識者、誰に聞いても「ASEANは伝統小売をやらないと儲からないですよ」と、特にVIPね、ベトナム、インドネシア、フィリピンは。うまくやればね、もちろん儲かるというのはあるんでしょうけど、でも、そのシェアで大きくプレゼンスを発揮するとなると、やっぱり伝統小売をやっていかないといけない。近代小売だけでも赤字にならない、現法をつくっても赤字にならないのはタイとか、こういうところはならないので。もちろん輸出でやって、輸出である一定の水準まで行けばね、そこから現産現販に切り替えるというケースが多いわけですけども、そういう構造になっていて。

今日は右も話したかったんだけど、一旦この左側の近代小売の数のお話をしたというところで、ちょっと終わらせていこうかなというふうに思います。また続きを次回できたらいいなというふうに思いますので、よろしくお願いします。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。