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新興国市場とイノベーション その3

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、新興国市場とイノベーションについてお話をしていきたいと思います。

前回、前々回ぐらいからお話をしていて、イノベーションの定義の整理から始まって、前回、エムペサの事例とネスレ、ユニリーバの事例をやりました。今回はシャオミーの事例をちょっとやっていきたいなというふうに思うんですが、早速スライドをお願いします。

シャオミーですね。ご存じの方は多いと思いますけど、日本でも売られているので。スマホですよね。低価格で高機能なスマートフォン、中国のスマホで。日本で見るよりも新興国市場での成長が圧倒的に高くて、非常に急成長してきた企業です。特にインドでの成功が顕著なわけですけど。このシャオミーなんかも非常に分かりやすいイノベーションのポイントで、徹底した低価格戦略なんですよね。シャオミーは、結局、後発のメーカーで、低価格っていうことを1つの戦略の軸に置いているので、その徹底的なコストダウンがもうほんとに徹底していて。基本的にオフラインで売ったらコストがかかるから全部オンラインみたいなね。もちろん生産のプロセスの見直しから何から全部やっているので、基本的には新結合の中でもニュープロセス、新しい生産方法の導入がそうだし。

あと、ニューマーケットっていうところもそうだよね。これは新興国市場をターゲットにしていて、ほんとに安いスマホの市場を獲りにいっているわけですから、インドで非常に大きな成果を収めたと。あと、オンラインで売るっていうことを最初、オンラインに最初は限定して、今はオフラインでも売っていますけども、O2Oとか、今は徐々にOMOという概念にどんどん、どんどん、シフトしていってね、Online Merges with Offlineの略ですけども、O2OとかOMOにどんどんシフトしていったと。これもね、取り組みが早かったですよね。中国のテクノロジー系の企業なので、このOMOの取り組みというのは早くて当然と言えば当然なのかもしれませんけども、そうですと。あと、3つ目のコミュニティマーケティングに力を入れたと。これは中国も特になのかもしれませんけど、やっぱりコミュニティを使って、コミュニティからの改善要求とかを結構すぐに商品に反映してね、コミュニティを育てていくことで、シャオミーのファンを、ある一定層のファンをずっとコミュニティとして維持し続けるというね、こういうマーケティングが非常に功を奏したという企業で、非常に高いシェアをね、パッと出てきて、後発でパッと出てきてブワーッと伸びていったというね、そういう事例がこのシャオミーですよね。

あと、インドのタタ。タタ自動車ですね。世界で最も安価な車、タタ・ナノを開発した、数十万、50万円ぐらいだったと思いますけどもね、新興国市場で成功を収めて、インドの中・低所得者層向けに普及を図った。これもイノベーションのポイントは徹底した低価格戦略なので、生産方式を全部変えてね、資源の調達も全部変えていったんですよね。コスト効率の追求をひたすらやったと。だから、インドであるっていうこともあるからね、公には言わないけど、安全性よりも低コストというね、何よりも低コストなので。それでね、先進国だとやっぱり車に求められるものって安全性が一番なんですけど、新興国は安全性を求めないとは言わないものの、現実的にはね、過度な安全性よりも、やっぱり移動に2時間4時間かかるところを30分で行かなきゃいけない、学校に、会社に2時間かかっちゃうよっていうところを30分で行かないと生活ができないっていうことを考えたときに、やっぱり何かを犠牲にしないといけない。車、安くする、安全性が犠牲になる、性能が犠牲になる、いろんなものが犠牲になりながらね、もちろの車メーカーとして公にそんなことは言わないけども、実際はそうですから、低価格を追求してね、でも、これは普及していったということはあるので。新興国市場ってね、何でも先進国の基準に合わせてやっていたら何もできないので、中途半端な仕上がりになるので、そういう意味ではね、シャオミーもタタもそうですけど、振り切っているというね、低価格に振り切れるというね、そういう強さはあるのかなというふうに思います。

ああと、B2Bの事例で言うと、新興国市場で高いシェアのある企業としては、これらのシーメンスとかABBとかキャットとか、こういう企業ですけども、非常に強いプレゼンスを持っていて。やっぱり彼らのイノベーションのポイントを整理してみると、ローカライゼーションとサステナビリティへの取り組みは非常に力を入れていて、現地適合化をやっぱりすごくしていますよね。世界標準化という軸は持ちながらも、ものすごく現地に適合させた製品開発をしているし。あと、デジタル技術とスマートソリューションを徹底的に活用しているので、それを活用することによって効率であったり合理性を格段に上げていく。例えばキャットのね、どの地域でどれぐらい今、ショベルカーが動いているか、稼働しているかみたいなことから、どの地域がこれからどう発展するかみたいなシミュレーションなんかをして、そういったデータを含めてお客さんに提案したりということをするので、非常に未来的というか。彼らは市場予測もしているわけですよね。新興国市場のどこの地域がどういうふうに発展しているんだろうと。発展していく地域はショベルカーが絶対にめちゃめちゃ動いているので、インフラが整備されていきますから。なので、非常に重要なデータを収集したりするわけですよね。

あと、事業化の社会的インパクトへの配慮、GEなんかもそうですよね、社会的インパクトを考慮して、こっちのほうが儲かるんだと思っても、やっぱり社会的インパクトを考慮した事業展開をすることのほうが結果として持続していくということになるので、そういったことを考えながらビジネスをしているというのがこれらの企業の事例かなというふうに思います。

3回にわたって新興国市場とイノベーションということでお話をしてきましたけども、次回ね、最後、これからのイノベーションってね、新興国市場ってどうあるべきなのかみたいなところを皆さんと一緒に考えていけたらなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。また皆さん、次回お会いいたしましょう。