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ASEAN シェアの低い会社のマーケティング・ミックス

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、いつもね、この番組で、どちらかと言うとというか、かなりの比率でFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCG並びにその周辺のね、B2Cの商品のお話が多いので、「森辺、FMCGばかりじゃないか」ということで、B2Bの企業様からお叱りをいただいておりますので、今日は、ちょっとしばらくね、B2CだけじゃなくてB2B、製造業全般のお話をしていきたいなと。なぜB2CはB2C、B2BはB2Bで分けるかと言うと、製造業全般で話をすると、FMCGとB2Bの製造業ってまったく売っているものも違うので、基本的な概念論は共通だったとしてもね、やっぱり具体的な話をすればするほど関係ない話になってしまうんですよね。小売の話とかね、伝統小売の話をB2Bにしてもね、もうまったく意味がないので。なので、分けて話をするように極力しているんですけども。まあまあ、製造業全般ということでね、お話をちょっとしていきたいなと。事例もそれぞれで、B2CとB2Bと混ぜてやっていきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

今日のお話は、早速、スライドをお願いします。1枚目のスライドですけども、4P、マーケティング・ミックスとターゲティングということで、この番組でもね、何回かこれに近しいようなスライドを出してお話をしてきましたけども、売上を上げたいとか、マーケットシェアを上げたいって考えたときにね、企業が思ったときに、戦略だ何だっていろんな難しいことを言うんだけども、基本的にはターゲットに対して4Pが最適化されていれば商品は売れるんですよね。これは別に、フィリップ・コトラー、マーケティングの父も、世界の錚々たるマーケティングの先生方が皆さん言っていることで、いかにターゲットに対して4Pを最適化していくかということなんですよね。僕が過去たくさん見てきた日本の製造業のシェアが上がらない、もしくは想定通りの売上が上がらない企業って、必ずこのターゲティングと4Pの中に問題があったんですよね、過去。だから、常にそこを見てくださいというお話をずっとしていて。

例えばこういう事例が非常に多くて。4Pのほうをお話すると、プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションとあったときに、日本で実績のある商品をね、さほどやっぱり変えたくないわけですよね。だって、日本で評価を受けていて、先進国でも評価を受けていて、欧米で評価を受けていて、それを新興国に持っていくんだから、世界標準のね、先進国の標準のものをあまり変えたくないと、これがベストだって言われてきているわけですから、それを格下の新興国市場にも投入をするというのが基本的な概念としてあって。一時期、現地適合化みたいな言葉が非常に騒がれましたけども、本音としてはあまり変えたくない。変えるって大変なんですよね。製造業にとってね、原材料を変える、つくり方を変える、品質を変える、何かあったら責任どうするんだ、誰が取るんだ、みたいな話にどうしてもなるので、やっぱりそこってすごく難しくて。一時期、現地適合化をするために苦しんだという時代もあって。でも、一方で、今ね、現地適合化だけでは不十分で。現地適合化というのは、本来、世界標準がしっかりとした土台が、世界標準という土台があった上に各リージョンで現地適合化。この現地と言っても、本当の現地じゃなくて、リージョンで、ASEANだったらASEANで適合していくという話なので、そこをやっぱりやっていかないといけないんですよね。でも、そういう状況になっていて。じゃあ、プライスに関してもね、少しは安くするけど、本音を言えば日本と同じ値段で売りたいわけですよね。当然ながら、値段は高ぶれしているわけですよ。これはB2BだってB2Cだってそうですけど、日本の商品はね。なぜならば、プロダクトが良いからね、品質が良いから、品質が良いものをつくるということはコストがかかりますから、プライスも高いですねと。プレイス。売り方に関してだって、日本で慣れ親しんだ販売方法をしたいわけですよね。B2Bでも、日本で売っていたやり方をそのまま持ってきたいと。B2Bの場合はね、それであながち間違わないんですけど。でも、やっぱりターゲットが上振れしてしまうんですよね。日本でターゲットにしているような企業規模に売りたいとかね。あと、B2Cだったら、日本ではね、伝統小売なんかないですから、新興国市場の主戦場になる伝統小売で売るということにあんまり積極的に進まなくて、結局は近代小売に集中になってしまうとかね。あと、プロモーションも、日本ではあれだけね、B2Cもバンバンかけているのに、できれば実績が出るまでかけたくないよねと。日本でなぜプロモーションをかけられるかと言ったら、利益が出ているから、利益のうちの何%をプロモーションかけるというのが決まっているからそれでできるわけですけど、海外に行くと、まだ売り上げが立ってない、利益が出てない、利益が少ない、そんな中でプロモーションというのはやっぱりなかなか割きたくないよねという状態になっているので。4Pそのものが、結構、自分、ひとりよがりになってしまっているんですね。自分中心に考えられている。そもそも4Pというのは、メーカーの視点で考えているものなので、基本的にはマーケットの視点というよりかはこちら側、メーカー側からどうしていくのかという視点になってしまう、どうしてもね。だから、4Pがまず最適化できてないというのが1つ。それは4つのバランスもそうなんだけども、1つ1つの中身の話、ここもやっぱりなかなか最適化できてないですよ、ということと。

結果としてね、4Pありきの話になってしまっているので、結果としてターゲットが、この2番のターゲティングなんですけど、B2Cの場合は市場の大きな中間層には売れなくて、結局、数の少ない富裕層に偏ってしまいますよと。例えば、アジア新興国市場を狙っていってるのに、富裕層にばかり売れていますよと、中間層には全然売れてないよ、伝統小売には並びませんよとかね。FMCGで伝統小売にASEANで並ばないって、ちょっと何しに行ってるんだっていう話になってしまうので。やっぱり上ぶれしてしまうし。B2Bだったら、市場の大きなね、ローカル企業に売ってこそ市場がやっぱり一番…、企業数で一番多いのは何ですかと言ったらね、海外に行ったら当然ローカルの企業で、日系企業とかね、外資系企業の数のほうが少ないわけですよ。企業規模は大きかったとしてもね。本社の企業規模も含めるとね。でも、やっぱりローカル企業というのは予算も小さい、価格も厳しいということで、そこにはなかなか売れないことになってしまうので。基本的には4Pのバランス、4つのバランスとそれぞれの中身、もっと言うと、ターゲットありきじゃないといけないのに、4Pありきで結果としてターゲットが決まってしまっている。ターゲットがね、絶対に先なんですよね。ターゲットがあって、私たちはここに売りたいんですと、ここに売るべきなんですというターゲットがあって、じゃあ、そこに売るための4Pって何ですかっていうことを考えないといけないのに、4Pはこうなんですというのがあるから、必然的にターゲットが上ぶれして、なかなかシェアが上がらない、売れないということになっているというのが今の現状かな、というふうに思います。

時間が来てしまったので、今日はスライド1枚で終わりますけど、次回ね、じゃあ、正しいターゲティングと4Pってどういうことなんですか、ということについてお話をしていきたいなというふうに思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。