ASEAN ディストリビューターの選定よりも重要なこと
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「誰と売るか」よりも、「誰に売るか」が重要ですよ、というお話をしたいと思います。対象は新興国市場全般ですが、特にね、最近、最近というか、ここ近年、5~6年、非常に皆さんの注目の中心であるASEAN、特にタイ+VIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンみたいな市場でお話をしていきたいなというふうに思います。対象は、製造業、B2C、FMCGに限らず、B2Bの製造業も対象になります。両方、事例を出しながらお話をしていきたいなというふうに思いますので、製造業向けです。早速なんですけど、「誰と売るか」よりも、「誰に売るか」のほうが重要ですよ、というお話で。ここ近年、私どもの会社にもご依頼が非常に多いのが、やっぱりASEAN地域における再参入戦略の構築、もっと言うと、ディストリビューション・チャネルの再構築みたいなご相談が非常に多いです。これはどういうことかと言うと、もすうでにね、大手の製造業さんなんかは、B2BもB2Cも進出をしていますよと。ただ、やっぱりかつて以上にこの当該地域の重要性というのが上がってきていて、今までよりもより高い角度の成長が求められるという中で、必ずしも現状の販売チャネルに満足をしていないという企業が非常に多くて、その既存の販売チャネルを再構築していくという、そういうお話が非常に多いですと。その中で、やっぱりチャネルなので、「誰と売るか」ということになるわけですよね。「どう売るか、誰と売るか」ということになるわけなんですけど、そこにやっぱり神経が非常にいってしまっていて、本当に重要な、「誰に売るか」ということがなんとなくぼんやりしてしまっているという企業は決して少なくなくて。私が見てきた先進的なグローバル企業やローカル企業でも、強い企業というのは、「誰と売るか」よりも、「誰に売るか」ということのほうが圧倒的にフォーカスが向いていて、そこを基準に「誰と売るか」ということを決められているので、「誰と売るか」ベースじゃないですよね。そのことについてちょっとね、図を使いながらお話をしていきたいなと思うので、スライドをお願いします。
この図、左がB2Cなので、分かりやすく、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品なんかのFMCGを想像してもらって。B2Bはね、もうこれは部品でも、完成品でも、装置でも、設備でも、何でも構いませんけど、B2Bですと。B2Cはね、消費者がまず、人の絵が一番上にありますけど、人がいて、これが一番重要な、「誰に」なんですよね。ただ、人がどこで買うかって言うと、もちろんオンラインの流通もあるけども、ショップで、小売で買うわけですよね。これは近代小売、伝統小売もあれば、それから、あと、業務用市場、レストランなんかでね、消費されるような、食品なんかでもあるので。人も重要、人がもちろん一番重要なんだけどもね、消費者がね。一方で、小売店とかレストランとかね、ホレカですよね、こういうところも非常に重要になってきますよと。そして、ディストリビューターがいます。右の図のB2Bは、ディストリビューターが直接、企業に営業するわけですよね。もちろん、B2CでもB2Bでもね、直販というのがありますから、直販は直販であるんですよね。真ん中に、誰に売るのか、ターゲットと、誰と売るのか、ディストリビューターって書いてありますけど、結局、自分たちが直販をすべきかどうかという客観的、合理的理由がまず1つあって、そうでないというときに、このディストリビューターが登場するわけですけども。じゃあ、どんなディストリビューターを使えばいいのかと。漠然と大きなディストリビューター、強いディストリビューター、こういう傾向がやっぱりシェアの低い企業って多くて、いつの間にかディストリビューターありきになってしまっていて、ディストリビューターが主導でマーケティングをやっているみたいな、セールスをやっているみたいな。何か具体的なところにはなかなかメーカー自身が入れないという事例は結構日本企業は多くて。
でも、よくよく考えると、ディストリビューターなんてどうでもよく…、どうでもいいとは言わないけど、二の次で、やっぱり一番の、誰に売りたいの?と。B2Cだったら、どこの小売で売りたいんですか、どういう、まずね、消費者ね、消費者に売りたいの?と。どの地域に住んでいる、どれぐらいの年齢層の、どういう性別の、どういうライフスタイルを過ごしている消費者に売りたいんですかと。その消費者は、どこで買っているんですか。フィリピンだったら、SMですか、ピュアゴールドですか、ロビンソンズですか、それとも伝統小売ですか。インドネシアだったら、アルファマートですか、インドマレットですか、伝統小売ですか。ベトナムだったら、コープマートですか、ウィンマートですか。タイだったら、セブンイレブンですか、テスコですか、どこですか、ロータスですか…。ロータスになってしまったね。テスコはロータスになったので、ロータスですか。そこに売りたいわけですよね。もちろんね、B2Cの場合は、やっぱり小売とのコミュニケーションを僕はメーカー自身が直接持つというのが絶対だと思うので、コミュニケーションラインがすべてディストリビューター任せでうまくいく企業なんてないし、シェアの高い企業でそんなことをしている企業はないので、近代小売に関しては直接口座を持つというのが僕の持論でありますよと。
ただ一方で、ディストリビューターを使うということをね、今回の話の中でね、お話すると、これら、売りたい先に確実に売れるディストリビューターを使うということがすごく重要で。大手だったらね、それは口座をいっぱい持っているわけですよね。でも、やっぱり大手というのは重要なクライアント、ブランドをたくさん持ってますから、必ずしも皆さんのブランドを優先的にやってくれるか分からないし、強いチームをあてがってくれるかも分からないし、経営資源を相当に割いてくれるかどうかも分からないと。自分たちの事業、やろうとしている事業の規模感が、彼らにとって魅力的かどうかっていうことになるので、そこも含めて売れるかどうかなんですよね、見抜いていくというのは。スキルセットとしてね、物理的に売っているから売れますよというんだったら、それは大手がいいですよね。でも、マインドセットを考えたときに、自分たちがやろうとしている事業の規模感って、彼らにとって魅力的かなっていうことも同時に見ていくので、スキルセットとマインドセット、両方見なさいという話をしているわけなんですけど。その上で、「本当に売ってくれるのは誰なの?」が、「誰と売るか」なんですよね。B2Bだってそうですよね。大手だったら口座持っていますよ、それは。しかも、中堅よりも太いですよ、その口座は。なんだけども、本当にそれだけ真剣に売るんですかと、そこは。そうすると、口座の太さはもう少し細いんだけども、もう自分事のように死ぬ気になってセールスしてくれるという中堅のほうがいいですよね。まったく口座がないところと組むとね、それは口座をつくるのに何年とかかっても大変だから、それはちょっとないと思いますけども。でも、そうやって決めていかないといけないので。やっぱり、ここにも書いてありますけども、目的、「誰と売るか」は、「誰に売るか」という目的を達成するための方法論なので、目的が方法の上位概念となるということをまず忘れてはいけない。常にこの上位概念から逆算で考えないといけないですよと。
B2Bの場合はね、次のスライドをお願いします。1つ補足ですけども、やっぱり産業集積地ってすごく重要で、B2Cはね、とにかく栄えている都市に行けば、市場規模って大きいんですよ。特に食品・飲料・菓子・日用品なんてね、人がいっぱいあるところには胃袋がいっぱいありますから、たくさんのものを食べるし、たくさんのものを飲みますよと。その胃袋が若ければ若いほどいいということで行くわけですけども。B2Bの場合は、都心部にね、工場はないですから、基本的には産業がどこに形成されているかということを見ていかないといけないということと、あと、インダストリーで見る。用途で見ていくと言ったほうがいいかもしれないですけども、いわゆる自動車業界で使われるケースもあれば、通信業界で使われるケースもあるし、なんとか業界で使われるケースもある、だいたい4つぐらいのインダストリーで、4つぐらいの用途で使われていて、どの用途市場、インダストリーを狙うの?ということをしっかり見ていかないといけないんですよね。なので、B2Bに関しては、それも忘れてはいけないですよというお話でございます。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。