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アジア新興国 消費財メーカーにとっての国別参入難易度ランキング

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。…向けてのお話で、どんなお話をするかと言うと、新興国市場、アジア新興国市場において、参入の難易度をちょっと国別に整理をしていきたいなというふうに思います。すでに進出をしているケースももちろん、というか、すでに進出しているケースのほうが多いので、基本的にはすでに進出をしている中で、自分たちがストラグルしている、苦労している市場って一体、相対的に見たときにどういう難易度にあるのかということを見るという意味でもお役に立つと思うので、参入の難易度をちょっとお話をしていきたいなというふうに思います。

図を、スライドをお願いします。FMCGにとって、この図の通りで、結局、FMCGの商品を展開するときにね、FMCGメーカーは何に困っているかと言うと、伝統小売市場に困っているわけですよね。結局、日系の小売が進出していたりとか、日系…、近代小売が非常に進んでいるとか、コンビニが多いとか、そういう市場に関しては、言ったら普通に苦労なくというか、苦労なくと言ったらあれですけども、ある程度配荷も進むし、セルアウトも進むしという状況で、やっぱり苦労しているのは、伝統小売の市場が大半を占めているような市場。そう考えると、左が難易度が低くて、右が難易度が高いんですけども、このグループAの香港、台湾、シンガポール、韓国みたいな市場は、非常に親日的だし、日系食材カテゴリーがある程度大きい規模まで成長している。基本的には輸出で十分事業が行える市場なので、そんなにVIPみたいにね、ベトナム、インドネシア、フィリピンみたいにものすごく大きい市場ではないものの、ある程度食品だって日用品だって確立されているので、まずはグループAに輸出をするというのがたぶんほとんどだと思うんですよね。もちろんね、現地にしっかり拠点を持って本格的にやるというのも当然ですけど、圧倒的に簡単なのはグループAですよと。

その次に、最近、中国からね、だいぶ日系企業も腰が引けてしまっている状況がここ特に5年ぐらいあると思います。なんですけど、やっぱり中国は依然大きな市場であり、ここを日本企業は散々、1990年代2000年代苦労してね、ようやく、ようやくの富で。確かに景気は後退しているし、アメリカとの米中関係もあるし、いろんな政治的な不安もあるんでしょうけども、こと市場で考えたときに、グループBってやりやすい市場ですし、華北、華東、華南地域の主要第1級都市みたいなところの大都市はね、やっぱり中国企業、うちもたくさん取引してますけど、お金払いがめちゃめちゃいいですよね。かつての状況じゃないので。やっぱり、FMCGにとっては中国市場はやりやすい市場であるというふうに思います。もちろん拠点を持ってやるということがベースになるので、輸出よりもね、現地に参入してと。

次がグループCで、これはマレーシアとタイ。やっぱりASEAN6ね、シンガポール、マレーシア、タイがSMT。このSが薄くなってますけど、なぜSが薄くなっているかと言ったら、シンガポールをグループAに置いているので。MTというのはマレーシアとタイですよね。やっぱりASEANの中でも先進ASEANと呼んでいて、首都だけ見たら先進国と変わらないので、バンコク、クアラルンプール。なので、そういう意味では非常に日本企業にとってはやりやすい。マレーシアなんてイオンがね、日本以外で一番展開に成功している、マレーシアで一番有名な小売はどこですかと言ったらイオンですから、マレーシアなんかは非常にやりやすい。タイもね、CPとセントラルの2強財閥で占められていて、僕はCPオール率いるセブンイレブンとね、旧テスコ、現ロータスですね、ここをまずやっていくというのが主流だと思っているので、それを推奨していますけども。基本的に輸出でやっても近代小売だけしっかり押さえれば十分利益が出る。さすがに日系小売だけやってたらいいかと言うとね、そういう企業はみんな撤退してしまいましたけども、近代小売とだけやっていれば、まだ20万店伝統小売ありますけど、十分採算が合う市場でもあるので、グループCの、まずタイ、マレーシアを先に置いていると。やっぱり、今、苦労しているのはこのVIPのベトナム、インドネシア、フィリピンで。同じグループCに置いているのはね、やっぱりこのASEAN6って、人・モノ・カネ・情報が瞬時に行き来をしているので、どこか1カ国やるとかじゃないんですよね。基本的には全体的に押さえていかないといけない。この地域を押さえるという意味合いが非常に強いので。1カ国で勝ってもね、地域全体を押さえられなかったら、結局、最終的にはオセロ返しされてしまうので。このVIPが皆さん苦労しているけど、最も重要な市場、ベトナム、インドネシア、フィリピン。ベトナムで1億弱、インドネシアで3億弱、そして、フィリピンで1億強なので、ここの3カ国だけで5億人ぐらいの市場がいるわけですよね。なので、グループCにこのベトナム、インドネシア、フィリピンを持ってきて。

インドがね、そろそろ、皆さん、消費財メーカーも本気でやり始めないと、10年後のインドの市場を獲れなくなってくるのかなというふうに思うので。苦労してね、なかなかこう、成果が出せている企業というのは少ないわけですけども、そろそろインド。前のニューデリーと今のニューデリーは全然違うんでね、景色がね、ムンバイもコルカタもそうですけど、そういう意味でもインドは少し着目をしていく必要があって。グループEのカンボジア、ラオス、ミャンマー、これはね、もう少し時間を置いてもというか、グループDとグループE、どっちが難しいって、ケースバイケースなんですよね。だからもう、あまりはっきりこうだというふうに、多少入れ替わりはあるので、ケースバイケースなので、そこはご理解いただければと思うんですが、FMCGなんかだと、僕はこんなふうに考えていると。市場に対しての難易度なので、ROIを若干考慮するとね、インドはやっぱり市場が大きいのでね、難易度が高くてもやって得られる成果の大きさというのは大きいわけですから、そうすると、僕はDなんだろうなと。CLM、カンボジア、ラオス、ミャンマーよりも、難易度は低いという位置に置くべきなんだろうなというふうに思ったので、こういうふうにしてますけど。

こういう流れでまずあるということの理解と、あと、どこまでだったら輸出でなんとかなるか、どこまでだったら進出しないといけないかということを1つ理解しないといけないということもそうですし。あと、ここに書いてある通り、大都市、これは国を狙うんじゃなくて、都市を狙うということを考えていかなきゃいけなくて、首都を中心とした大都市狙いをしていく。特に中国なんて、中国ビジネスをやっていますということじゃなくてね、上海をまず落とすとか、北京をまず落とすとか、エリアエリアで考えていく。もう少し広げたとしても、華北、華東、華南で考えていかないといけないですし。そういう意味では、国を見るという観点と、都市を見る、首都を見るという観点、両方必要であるということでございます。

こんな難易度になっていて、結局、難しい要因の本質ってどこにあるかと言ったら、伝統小売の攻略なんですよね。なぜ伝統小売の攻略が難しいかと言うと、いろんなことを変えていかないといけない。1つはチャネルを変える必要がある、もう1つは製品、プライスを変える必要がある、もう1つはプロモーション、つまりは近代小売で売れ筋になってないと、伝統小売には置いてもらえない。伝統小売に売るためには、安くなくていいんですよね、別に高いので。ただ、小分けにしないといけない。伝統小売の人たちは、今、欲しい、この1つを買うというのが目的で来ているので。別にお金のない人が来ているんじゃない。お金のある人も伝統小売を使う。その中で、今、この1つと。ポテトチップス、こんな大きい袋は要らないです、小さい袋、ちょっと小腹を満たしたい。飴もこんな1袋は要らない、ちょっと1粒欲しいんです。たばこも1本欲しいんです。ジュースも小さいものが欲しいんですみたいなね。グラムあたり、1個あたりの単価は10%20%高くても全然構わなくて、伝統小売だから安くするなんていう必要はまったくなくてね。そこへの適合化がなかなかうまくいかないので、要はチャネルですよね、伝統小売、数十万店、数百万店ある中の伝統小売にカバレッジをどうやって伸ばしていくかという、このチャネルづくりがやっぱり難しくて、チャネルをつくって、これはディストリビューション・ネットワークをつくるということですから、1社のディストリビューターに丸投げ、お任せ、はいどうぞという話ではないので、そこがFMCGにとっては大変難しい課題になっているということでございます。

じゃあ、今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。