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ASEAN市場 仮説の精度が成功確率を変える

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、製造業向けのお話です。B2C、B2B、問いません。対象地域はアジア新興国市場ということにしておきたいと思います。そは言ってもね、最近やっぱり、タイ、インドネシア、フィリピン、ベトナム。VIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンが非常に多いので、その辺をちょっと想定しながらお話をしていきたいなというふうに思います。

今日のお話は、仮説の精度が成功確率を格段に上げるということについてお話をしたいと思います。前回ね、調査は非常に重要ですよと、調査を軽視している企業というのは成功確率をうんと下げているし、日本企業の多くのね、アジア新興国市場における失敗事例って、決して難易度の高い、レベルの非常に高い失敗をしているのではなくて、非常にレベルの低い失敗をしてしまっていると、こんな失敗であれば事前にしっかり調査しておけば、もっと仮説の精度を上げて成功できたのに…という、もったいない失敗を結構繰り返しやっていて。同じ国で2回3回、結構、分析していると、「それ、同じ失敗じゃないですか、前回と」というケースもあって。あと、よくあるのがね、前提条件が勝手にくっついているというケースがあってね。戦略をつくるときに、「こういう条件でやらないと駄目」というのがもう前提としてある。でも、重要なのって成功するということなので、方法に縛りをつけてどうするの?っていう話でね。成功するために一番早い、一番成功確率の高い方法はどうですか、アップサイドとダウンサイドを計算して、パターンA、パターンB、パターンCと決めてね、じゃあ、今のうちの前提条件もしくは制限に合うのはパターンBだとかっていうのは分かるんですけど、もうBのやり方じゃなきゃ駄目っていう、やり方が確定して戦略を組んでいくというケースもよく見る。「じゃあ、このBじゃなきゃ駄目って誰が言ってるの?」って言うと、「上が言ってる」というケースがあって、「じゃあ、その上はなぜ言ってるの?」って言うと、「前回の失敗のトラウマがあって」と。「じゃあ、前回の失敗っていつですか?」って、「15年前です」と。15年前のアジア新興国市場と今ってね、全然違う市場がそこに広がっているのに、前回のこの失敗のトラウマがこびりついてしまって、それが前提条件として出されていて、下は上が言っているからその通りやるという、これはまた同じ失敗するよねという、そういうケースを結構たくさん見てきているので。この意味不明な前提条件みたいなね、縛りみたいなのは、やっぱり取っ払って、まず真っ白な状態でやるということがすごく重要で。

前回、インプットがすごく重要だよという話をしたと思うんですけど、ちょっと前回のスライドをお願いします。これは前回のスライドで。インプットが多い企業というのはね、上の図ね、仮説が高くなりますと。仮説が高いと実践との誤差が少ない。実践したら必ず誤差は出ますから。実践との誤差が少ないと、仮説を修正しながら走れる、走りながら修正できるから成功の確率が高いんですよということを言っていて。一方で、インプットが少ない。インプットというのは情報ね、情報というのは調査をしないと収集できませんから。前回も言いましたけど、自分たちの現地法人のセールスの現場が拾ってくる情報って必ずバイアスがかかる。自分に都合のいい情報をちょっとずつちょっとずつバイアスが、知らない…、悪気はないんですよ、悪気がない中でバイアスがかかっていくので。で、セールスがチームリーダーに報告して、チームリーダーが課長に報告して、課長が部長、部長が支社長という、支社長に上がってきたときには情報がだいぶ客観視されてない状態になっているので。いかに調査は粒度、深さと、あと、客観的に見えるかということはすごく重要で。このインプットが少ない、もしくは客観的に見た正しいインプットでない場合は、仮説の精度が当然低くなりますよね。実践との誤差が大きくなって、仮説を修正しきれないから停滞したり、撤退したり、成功確率が低くなると申し上げていて。こういう企業をたくさん見てきたので、これは調査していたら分かっていたことじゃんと、なんかね、0→1を何か生むみたいなね、新しいものを創造するみたいな、イノベーションを起こすなんていうことをやろうとしているのではなくて、基本的には、アジア新興国市場の参入とか再参入なんていうのは、失敗事例・成功事例はいっぱい転がっていて、それらをしっかり整理・スタディせずに自分たちは自分たちなのでっていうスタンスでゴーンと出て失敗をするというね、ケースが日本企業の場合は非常に多いと。謙虚な姿勢が非常に重要。あと、前提条件を必ずつける。いやいや、近代小売、消費財だったらね、近代小売がまず先なので、みたいなね。いやいや、それはそうなんだけど、伝統小売まで想定して近代小売をやらないとまったく意味ないですよというケースだってあるので、そういうことが非常に多いと。

次のスライドをお願いします。可視化ね、調査を僕は可視化というふうに言いますけども、市場の環境とね、競争の環境を可視化するということはすごく重要で、市場の環境って、マクロからミクロまで。特に独特な流通構造とかね、こういうものは国によってあるわけですよね。商習慣とか文化、こういったものをしっかり可視化をするということと。あと、レギュレーション。法規がそもそも駄目だったらすべて駄目ですから、レギュレーションもそうです。意外に新興国市場の場合だと、レギュレーションがね、裏技でクリアできたりとかいうケースも当然あるし、罰金がないとレギュレーションが商習慣として守られてないというケースもあるので、ここは結構、時代の流れとともに変わっていくので、気をつけないといけないポイントではあるんだけども。敵がどういう戦い方をしているのかをしっかり理解した上で、自分たちはレギュレーションを守って戦うみたいなね。守って戦っているのと、守らずに戦っているのだと、当然、差異が出て不公平なので、しっかりと担当の行政管轄省にロビー活動をしっかりすると、守ってない企業を取り締まらせるということも同時にやっていかないとね、ずっとアンフェアな状態が続くので。そんなこともある。あと、競争環境ですよね。競合がどれぐらいの競争力を持っていて、自分たちはどれぐらいなのか、その差異を埋めない限り絶対に勝てないので、僕はこういう情報の収集に非常に力を入れる。やっぱりね、どんな情報を集めたほうがいいですかということもね、調査会社含めて提案させないと駄目ですよね。本当に重要な情報。それを含めてインプットと僕は言っていて。そのインプットがね、知識とか経験があると分析力が全然違うので、高い分析ができると。高い分析ができると、アウトプットとしての戦略が立つ。これ、戦略って基本的にカチッと決めて、「はい、これでもう確定です」というものではなくて、仮説なので。仮説で戦略はどんどん変わっていいですから、仮説で実践をする。これ、実行と書いてますけど、実践をしていくと、またそれが変わっていくので、変えながらね、走りながらアウトカムっていう結果、アウトカムが一番重要で、利益という結果を出していかないといけない。そこでまた知識や経験が生かされるわけですけども。そんなことをしていくと、やっぱり仮説の精度ってすごく重要、戦略の精度、仮説の精度、それが実践、実行との差異を少なくしてくれる。それが少ないと、良い結果を出せる確率が上がりますと。でも、すべてはもうインプットをどれだけ客観視した、深いインプットをたくさん入れるかということなので、大変、調査が重要だということでございます。

今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。