アジア新興国 競合調査は自社を強くする
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、競合調査のお話をしていきたいと思います。対象地域はアジア新興国全般ということで。対象は製造業、B2CでもB2Bでも構いません。いつもはね、食品・飲料・菓子・日用品等のFMCG、並びにその周辺メーカーが中心になりますが、B2Bでも構わないかなというふうに思います。アジア新興国市場でシェアを上げていく上で大変重要なのは販売チャネルであるというふうに、この番組でも再三お話をしてきていて。それがなぜかと言うと、一方的な製品の優位性よりも、総体的な販売チャネルの優位性のほうが圧倒的にシェアに直結しやすいというのが僕の持論で、今まで見てきたシェアの高い企業というのは、もちろん製品が駄目とかじゃなくてね、製品はある一定の基準をクリアしている、プロダクトとプライスはある一定基準以上のものがしっかりとバーはクリアしていて、その上で、それ以上の一方的な製品の優位性を追い求めるよりも、いかに相対的に自分たちの販売チャネルを強化するかということにフォーカスをしてきていて。今、結果として強い強固な販売チャネルがあって、結果、シェアが高いと。特にB2C、FMCG、消費財なんていうのは、これは間口商法ですよね。どれだけたくさんの胃袋をつかめるか。つまりは、たくさんの胃袋をつかむためには、たくさんの小売に配荷をしないといけない。これが新興国市場の場合は近代小売だけでは不十分で、伝統小売というのが必ず存在してくる。それが何十万店、何百万店と存在する中で、どうやってストアカバレッジを獲るか、間口を獲るかということが重要になってくるわけですよね。だから、チャネルが重要だと。
そうなってきたときに、われわれが自分たちのクライアントとね、クライアントの販売チャネルを再構築していくと、シェアをさらに上げるための強固なチャネルをつくっていくときに、どういう基準でチューニングをしていくかっていうことなんですけど。基本的には、シェアというのは他社から奪わないと、自分たちのシェアは上がらない。他社のシェアを1%奪うから自分たちのシェアが上がるわけで。そうすると、これは常に他社との競争になるんですよね。そうすると、自分たちがシェアを奪いたい相手の販売チャネルがどうかっていうことはすごく重要で。彼らの販売チャネルの競争力を100とした場合に、自分たちが50だったら、常に50の差がずっと開き続ける。今日、今、この瞬間もずっと開き続けているわけですよね。そうすると、それを75、100、120と上げていかないといけない。やっぱり競合のチャネルがどうなのかっていうことはすごく重要で。自分たちだけ、自分たちよがりでチャネルをつくっても、それは競争にならないので、相手の競争力に対してどう追いつき追い越すかっていうことを考えていかないといけない。そうすると、この相手の販売チャネルを可視化する、調査する、競合を調べるということはすごく重要になってきていて、競合調査というのは新興国市場、アジア問わず、大変重要ですよと。
じゃあ、どんなことをわれわれは調べるのかというお話なんですが、特に販売面にフォーカスをして、販売面にフォーカスをすると、スライドをお願いします。このスライドの通りなんですけども。1から6までありますけども、これはB2CでもB2Bでもね、多少は変わりますけど、基本的には販売状況が今どうなっていて、販売の構成、どういうSKUがどういうふうに構成されているのか、何が一番売れているの?という、どこで売れているの?というのももちろん構成に入りますと。販売部門の組織体制、これはすごく重要で、組織が何をやるかが成果につながっているわけなので、どういう組織がつくられているのかということは絶対に必要ですね。なんなら、どういうリーダーがそこにはいて、セールスマンが日々どういうKPIでどういう動きをしているのかっていうことも調べていく。そこの競争になってくるので。あと、製品別の販売総額とか、海外・国内の販売比率。製造業の場合ね、生産工場の例えば1カ月の生産量がすごく大きくても、一部は海外に出ていたり、隣国に出ているというケースもあるので、こんなところも見ていって。あと、直販、ディストリビューターの販売比率。例えばB2C、FMCGだったら、近代小売は直販をしているよねと。一方で、手間のかかる伝統小売に関してはディストリビューターを使っていると。ただ、そのディストリビューターを使いつつも、自社のセールスマンをディストリビューターに配置して、かなり一緒の動きをしているよねとかっていうことが見えてくる。B2Bの場合はね、かなり主たるクライアントさんは直販でしたと。ディストリビューターを介していませんとかね、ディストリビューターを使っているんだけども、ディストリビューターには配荷をさせているだけで、かなりセールスは自前でやっていますみたいなこともしっかり見ていくと。あと、主要顧客が誰で、そこに対して何を売っているのか、1-3。あと、主要取引総額の推移が今どうなっているの?と、主要製品の取引推移どうなっているの?上がっているの?落ちているの?と。あと、取引形態。
それから2番に移っていくと、販売チャネル、ここがチャネルのあれですけども、どういう地域で販売しているのかっていう、特にどこの地域に力を入れているんですかということをすごく見ていく。主要ディストリビューターの販売状況。ディストリビューターを使っているとすると、すべてのディストリビューターが強いなんていうことはなくて、やっぱり日本だとね、理由なき1カ国1ディストリビューター制みたいなね、結構多いですよね。手間がかかるから1社にしていますみたいな。でも、そもそもその1社ではクライアントにリーチしていないよと、B2Bもね。B2Cもストアにリーチしていないよというケースがあるので。だいたいシェアの高い企業というのは、B2Bだったらインダストリーごとに複数のディストリビューターを使っているし、B2Cでも伝統小売なんかはやっぱり地域別に複数使っているし、業務用とね、オンとオフのマーケット、業務用と小売用でまったくこれはケイパビリティが違うので、複数のディストリビューターを使っているケースは多いんですよね。なので、そういうことを見ていきますと。
あと、ディストリビューターの契約内容とか取引条件。これもね、結構、悪い契約条件で結んでしまっている場合とかっていうのは結構あるので、ディストリビューターの言いなりになってしまっているとかね。ベトナムなんかは保証金1,000万も積まされているとかね、意味不明な契約になっている、商習慣でそうなっているんだけど、それは永遠に返ってこない1,000万みたいな。いわゆる1,000万は常にディストリビューターに置いておく。だから、1,000万を超えた分を請求していくみたいなことになっていると。そういうケースも結構多いです。この1,000万というのはB2Cの場合ね、FMCGの場合。B2Bの場合だとまた違うと思いますけど。
あと、ディストリビューターの戦略とか選定基準。ディストリビューター戦略ってどう考えているの? メーカーがね、競合が。あと、ディストリビューターをどういう基準で選定しているのか。これはすごく参考になるので。なんでこのメーカーはこういうディストリビューターを選定しているんだろう? 必ずそこには選定基準があるので。あと、エリアの戦略とかエリアの展開情報で、特にB2Bなんかはアフターサービスがないとそもそも駄目っていうメーカーもあるわけなので、アフターサービス戦略をどうしているのかということもそうですよね。あと、価格戦略とか価格分析。これもしっかりできているので。特に欧米の先進的グローバル企業の商品ってね、B2Bなんかは少し高めなんですよね。少し高めなんだけども、それが受け入れられるブランド力だったり営業力なんかが、チャネル力、マーケティング力がある。B2Cなんかはね、意外にローカル品よりは高いけど、日本のものよりは安い。値段はいわゆる中間層にとってアフォーダブルな価格設定になっているんだけども、安いからブランド力が低下するなんていう考え方はなくてね、価格の軸とブランドの軸ってまったく違う軸なので、価格が安いからブランド力が低下するかなんて、そんなことは消費財の世界ではないのでね、そういうこともしっかり見ていきましょう。
5番の主要製品の価格、主要製品の市場の定価がどうなっているのかという。あと、販売の総合力分析みたいなことをやる。これを数値で把握すると、自分たちの足りているものは何なのか、足りてないものは何なのか、どれぐらい足りているのか、どれぐらい足りてないのかということが数値で分かるんですよね。これが数値で分かると、そこを具体的に補うということができるので。これも瞬時に補うなんていうことはできませんから、基本的には数年かけて補っていくということになるので。この競合調査というのは、新興国市場でシェアを上げていく上では大変重要ですと。
新興国市場に関して言うと、必ず自分たちよりも先に先駆者がね、ほとんど日本のメーカーの場合います。自分たちが市場をリードしているなんていうケースというのはね、ほんとにB2Bの特定分野とかね、B2Cでもほんとに一握りの企業だけなので、この先駆者をしっかりと見ていくということは大変大切かなというふうに思います。
皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。