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アジア新興国 シェア拡大に直結する競合調査のポイント

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、競合調査のお話をしていきたいなというふうに思います。対象は製造業です。B2C、B2B、問いません。ちょっと事例がB2C寄りになってしまうかもしれませんけど、B2C、B2B、問いません。対象地域は新興国全般ということで、アジア、ASEANに限らず、新興国全般のお話でございます。

競合調査は非常に重要で、弊社でも年間にかなりの数、競合調査をやるんですよね。この競合調査って、自分たちの競争力を著しく高める、具体的にどの箇所をどう高めていけばいいのかを知る上ですごく重要な調査で。競合の動きを察知するとか、競合の動きを知るとかっていうことで競合調査をやるというよりかは、われわれがご相談を受けるときって、競合調査をやるときっていうのは、シェアを上げたいと。シェアというのは、1%シェアを上げようと思ったら、他社から1%シェアを奪ってこないと上がらないわけですよね。なので、シェアを上げるということは、競合との競争になるんですよね。そうすると、日本の製造業の場合、B2Bはね、オンリーワンの企業が結構多いので、シェアが世界的にも高かったりするんだけど、B2Cの消費財とか、食品・飲料・菓子・日用品とかって言うとやっぱりグローバルジャイアントがたくさんいますから、シェアがなかなか大きくならない。1%以下で海外、アジア新興国展開している企業なんていうのは別に少なくないですから。その中でどうシェアを上げていくかということを考えたときにね、競合と比べてやっぱり著しく競争力が低いと。われわれは基準値といふうに呼んでいるんですが、自分たちの基準値が明確に理解できてない企業というのは非常に多くて。例えばこういうことなんですけど、シェアを10%上げるためにはどんなことが必要か、どういう基準値が必要なのかということがなかなか理解できない。もしくは、競合を100とした場合に、自分たちの競争力というのは90なの? 70なの? 50なの? どれぐらい劣っているから競合との差が開き続けているのかということを具体的にファクトベースで理解できていないというケースが結構多くて。そういうときにこの競合調査をやっていくんですよね。じゃあ、競合調査をシェアの獲得にいかに直結させるかというときにね、競合の何を見ていけばいいのかって、いろんな要素というのはあるんだけども、私はこれから説明する3つにフォーカスをして、特に競合調査をやっていくと。そうすると、それが最も早くシェアの拡大につながりやすいというのが自分たちの経験値としてあるので、そのご紹介をしていきたいなと。

スライドをお願いします。この3つなんですけど、1つがチャネルのストラクチャーの可視化、2つが組織体制の可視化、3つ目がマネジメント体制の可視化という、この3つを可視化していくと。結局、多くの日本の製造業って、一方的な製品の優位性はすごく声高らかに主張するんだけども、相対的な販売チャネルの優位性みたいなところに関しては意外にというか、多くの企業が無頓着であるという事実がありますと。でも、もう、かつてのように品質が良ければという時代ではなくなってしまって、いろんな企業がそれをつくれるし、中国企業のほうがより安く、より良くつくれる時代というのが来ていて。そんな中で一方的な製品の優位性なんて、とてつもないイノベーションでね、目に見て分かるような圧倒的な優位性であれば、これは評価の値になりますが、目で見てもよく分からない、体感できないというような優位性だとすると、やっぱり販売チャネルの優位性のほうがよりシェアのほうには直結しやすいということなわけですね。それでこの3つなんですけど。チャネルストラクチャーというのは、販売チャネルのストラクチャーがどういう構造で成り立っているのかということを見るんですよね。自分たちの製品が、どういう中間流通を通じて、どういうクライアントに、B2Cだったら小売に、B2Cだったら近代小売、伝統小売があるわけですよね。もちろん業務用市場もある。B2Bでも、直販をしているユーザーもあれば、中間流通事業者、ディストリビューターですね、を通じてエンドに配荷しているのもあるし、アフターサービスが必要になってくるような、そういうB2Bの製品もあるわけですよね。なので、チャネルストラクチャーがシェアの高い企業というのは最適化されているんですよね。その最適化されたチャネルストラクチャーって一体どういうものなの?ということをまず全体像を可視化する。ビッグピクチャーをまず見たいですね、チャネルの。

じゃあ、その全体のストラクチャーが分かったときに、じゃあ、そのチャネルストラクチャーってどんな組織体制で動いているのか、というのを見ていくのがこの2番目。どういうリーダーのもと、どういうチームが編成されていて、どういうスキルセットを持ったメンバーが、どんなKPIで日々動いているのかということを見ていく。マネジメント体制が後半なんですけど。まず、組織がね、100人の組織でやっているのか、50人の組織でやっているのか、それによって全然違うわけですよね。アシスタントとセールスの構造がどうなっているのかとかね、日本の組織だとセールスが全部やるみたいな。なので、結局、セールスが本来やらなきゃいけないセールス、売るというそのものの行為が実際は半分ぐらいの力しか発揮できてないみたいなケースというのは結構あるわけですから、その辺、先進グローバル企業はすごくシステマチックに組まれていたりするんですよね。なので、そもそもの体制がどうなの?と。

仮に100人と50人の組織があったとしてもね、100人が非効率に動いているのか、50人が効率良く動いていたら、50人が効率よく動いているほうがパフォーマンスが高いというケースもあるわけですね。これが3番で言うマネジメント体制の可視化で。どんなリーダーのもと、どういうメンバーがいるのか、その人たちがどういうKPIで日々どんな動きをしているの? それってどういう管理と評価基制度になっていて、育成ってどうされているんですか、ということを見ていくと。
これを競合A、B、C、Dと自分たちと比べていくと、自分たちに何が足りていて、何が足りていないのか、これが明確に見えてくるわけなんですよね。これを補っていくっていうのがまさにシェアを上げるための具体策になっていく。チャネルストラクチャーがそもそも間違っていたねと、もしくは組織がそもそも全然足りてないと。もちろんね、組織もね、これ、急にそんな大きな組織、人を雇えないと。もう当然ですよね。ですけど、実際には2割3割のシェアを上げるためにはこんな組織が必要なんだということが具体的に分かれば、それを、じゃあ、5年後に設定して、そこまでどうやって行くのかというのが逆算できるわけで。ただ、なんとなく積み上げで組織が大きくなっていくのと、明確な目標を持って逆算で大きくなっていくのでは全然パフォーマンスが異なってくるので、そういう意味では、この組織体制の可視化は非常に重要ですよということでございます。

なのでね、競合調査、競合調査は本当に重要です。俗に言う競合調査とかではなくて、シェアを上げるための競合調査ってやっぱりあるので、ぜひそういう競合調査をやっていく必要があるのではないかなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。