アジア新興国事業で最低限必要なフレームワーク
番組への質問はこちら » お問い合わせフォーム
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/4495650238
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、私が今年出した新刊『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』 同文舘出版から出しておりますが、この本の解説をしていきたいと思います。まだね、目次の概要説明をずっとしているというような状況で、今日は4章ですよね。4章の「アジア新興国事業で最低限必要なフレームワーク」ということで、この章は何を書いてあるんですかという概要のお話をざっとしますが、「インプットなくしてアウトプットなし」「マーケティングの基本プロセスはすべての根幹」「3C分析と4P分析を評価する「ということで、3つに分けてこの章を書いているんですけど、「基本的には調査をしてください。インプットが圧倒的に足りないですよ」ということと、「そのインプットをどうフレームワークに当てはめて物事を組み立てていくか」ということを書いている章なんですよね。
僕が過去20数年見てきた中で、シェアの高い企業とシェアの低い企業ではもう圧倒的に情報量が違う。この情報量が違うとどういうことになるか。情報ってインプットなので、インプットが少ない、もしくは解像度が粗いと、そのインプットをベースに判断をするわけですよね。戦略というのは判断、選択なので、今ある経営資源の中でどういう選択をするかというのが選択ですよね。当然、インプットの解像度が粗い、粒度が粗い、量が少ない。そうすると誤ったアウトプット、誤った戦略アウトプットを出すわけですよね。じゃあ、この誤った戦略アウトプットを実際に実行していくと、当然ながらアウトカムも良くならない。なので、シェアが上がらない、成果が上がらない。こういう現象が起きるわけですよね。
今ある製造業のね、特に消費財の製造業、消費財問わずですかね、製造業のアジア新興国市場における課題って、決してレベルの高いところの課題じゃないんですよね。非常に基本的なと言ったらあれですけども、まだまだ改善の余地が十分にあるレベルのところで躓いているというケースがもうほとんど、8割9割そうなんですよね。この非常に精度の高いところで網の目をぬうようなね、戦略のこの隙間の中で戦うというよりかは、ほんとにこの下のところのね、ところで躓いているというケースが非常に多くて。もう圧倒的に情報量が足りない。情報が十分足りているのにうまくいっていませんなんていう企業はね、ほとんど見ないですよね。やっぱり知らない。知らないのに判断をする。思い込みで判断をするということになるわけですよね。一番いいのは、知らないから、怖いから判断できないというのはまだいいんですけどもね。知らないのに知ってるつもりで間違った判断をするという、これがやっぱりある一定数あって、非常に怖い。謙虚な気持ちにならないので、「調べなきゃ」という気持ちにならないですよね。「私は知っている」「俺は知っている」となるので、実際にそれを実行して失敗をすると。なので、そういうリーダーのもとで動いているとだいぶ大変ですよね。まあまあ、あんまりね、ネガティブな話をすると良くないので、これぐらいにしておきますけども。とにかくインプットが足りないですよと。そのインプットが足りないと、そういうことですと。
じゃあ、どういうインプットを集めればいいの?ということをここでは書いているし、集めたインプットを、何をどういうフレームワークをベースに組み立てていけばいいのか。インプットをただ集めたってしょうがないわけですよね。知っているじゃしょうがなくて。じゃあ、その知っている情報をどういうふうにフレームワークに当てはめるのか。僕は、でも、「R」-「STP」-「MM」、「R」はリサーチ、「STP」はセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング、「MM」はマーケティングミックス、4Pの略ですけども、ここが最適化されているのにシェアが上がらないなんてもうあり得ないんですよね。マーケティング理論上、絶対にあり得なくて。マーケティングの基本プロセスを最適化するということを、僕は最大で唯一のフレームワークだと思っているので、そこをしっかりやる。もう1つ付け加えるとすると、3C分析と4P分析はしっかり強化をすると、この「R」-「STP」-「MM」、マーケティングの基本プロセスが強化されるので、それは十分いいかなと。それ以上のフレームワークをね、ああだこうだ持ってきて使ってもね、机上の空論がさらに膨らむだけであまり意味がない。もちろんね、「とにかく実践だ」と言って、何も調べずやってしまうってね、これ、聞こえはいいんですよね。「走りながらやれば」ってよく言うんですけど。でも、アジア新興国でシェアを上げるというのはね、これ、シリコンバレーなんかで0→1でね、何かイノベーションを生み出さなきゃいけないっていう問題ではなくてね。誰もやったことがないことを挑戦するから「走りながらやろう」とか、「とにかく動け」って、これ、合っているんですけど。もうたくさん失敗事例がそこに落ちているのに「とにかく走る」って、これはあまり賢くないですよね。やっぱり情報をちゃんと収集して、インプットを入れて、その上で仮説立てて進んでいくということのほうが圧倒的に実入りが良いので。そこをはき違えている企業というかリーダーをたくさん見るので、イノベーションを、誰もやったことのない挑戦をしているんじゃないんですよね。いろんな企業、いろんな人が挑戦をして、失敗をして、成功してという、そういう事例がいっぱいある。だからこそ「情報を集めてフレームワークに当てはめろ」って申し上げているので、そこは1つ、はき違えると問題ですよというようなことが書いてあります。
「R」-「STP」-「MM」、マーケティングの基本プロセスの「R」だけやればね、出るべきか、出ないべきか、どこに出るべきか、今出るべきか、いつ出るべきか、ということが完全に分かるので、出て「こんなはずじゃなかった」なんていう失敗はまずあり得ないです、「R」がしっかりできていたら。なので、ここで一番、いわゆる初歩的なリスクは防げる。次の「STP」なんですけど、この「STP」って、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングなんですけど、結局、「どうやるか」とか、「誰とやるか」よりもね、「どこでやりますか」「誰に向けてやりますか」っていうほうが圧倒的に重要で。例えばディストリビューター、大きなところ、これはまさに「誰とやるか」じゃないですか。これよりも「誰に売るか」のほうが圧倒的に重要なので、ここがぼんやりしている企業がやっぱりなかなか成果が上がらないというケースが過去非常に多かったので、「誰に向けてやるのか」という、「ターゲットは誰なの?」と。じゃあ、「ターゲットをAだとしたときに、自分たちのポジショニングってどうあるべきなの?」っていうことがかっちりしていると、この下のマーケティングミックス、「誰とやるの?」「どうやるの?」みたいなところがしっかり組み上がってくるので、やっぱりこの「STP」なんていうのも非常に日本企業は弱点になっているところじゃないかなというふうに思います。最後のマーケティングミックス、4Pの「MM」のところ、ここが最適化されているのに成果が出ないなんていうのはね、僕はそんな事例、1社も見たことないので、皆さんの課題の多くはこの4Pに潜んでいる。4Pが最適化されていてモノが売れないなんていうことは絶対あり得なくて、ターゲットに対していかに4Pを最適化するかというのがマーケティングですから、基本的にはアジア新興国市場でもそれは同じことであるということでございます。
今日はこれぐらいにしたいと思います。次回ね、また5章と6章の説明をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。