アジア新興国 『Person依存型』の失敗事例
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私が今年出した新刊でございますが、この本の解説をしていきたいと思います。今日は10ページのPerson依存型の失敗ということでお話をしていきたいと思うんですが…。このPerson依存型というのは、分かりやすく言うと、戦略がそんなに定まってない中、人の力でなんとかしようとする、こういう仕組みですよね。これは日本の製造業では非常に多く、新興国市場においては見られる傾向です。戦略が非常にざっくりとしたものが描かれていて、それに対して現地の駐在員とか、日本国内でも担当者、これの力量でなんとかしていこうということなわけですけど。やっぱり全体的な戦略というものと、あと、戦術もね、僕は、結構、川上の戦術に関してはね、やっぱりしっかりとリーダーが決めてあげるべきだと思っていて。そうしないとなかなかね、これもスキルセットだと思うんですよね。スキルセットが高いチームでやる場合はね、戦術は完全に任せたらいいと思いますけど、もしそうじゃないのであれば、戦略はもちろんのこと、戦術の川上部分をある程度リーダーがしっかりと決めて、その上で川下を任せていく。その過程で徐々に川上も任せるようになったらいいんじゃないかなと思うので。気合と根性でなんとかしていこうみたいな、3年4年ぐらいやらせてみて、駄目だからすぐに替えて次みたいなね、なかなかね、難しいなっていうね、この問題って本当に難しくて。人に委ねるべきことと委ねてはいけないことの切り分けがちゃんとできている必要があって。
結局、ここでも書いているんですけど、経営資源をどう配分するかっていう話なんですよね。経営資源の中に人もあるし、モノもあるし、カネもあるし、情報もあるんですけど、その中でやっぱり情報が圧倒的に足りてないので、情報の足りてない人が現場でどうやったって、それはなかなか難しかったりする。戦略の部分も、情報が圧倒的に足りてないので戦略がふやっとしてしまうという。結局、新興国、製造業の新興国市場獲得とかっていうのって、歴史が何十年もあってね、決して新しいことを、何かイノベーションをね、0→1をつくるというよりかは、多くの失敗事例が転がりながら、どうやったらうまくいくのかということをね、確率論を高めていくというのは、もう本当にひたすら情報収集なんですよね。調査がやっぱりすごく重要で。調査が足りない。調査が足りないから、戦略が軟らかい、戦略が軟らかいから戦術がさらに軟らかいという、こういう構造をたくさん見てきていて。その中で人頼りになるわけなんですけど。この人もね、長いですと、アジア長いです。アジア長いからうまくいくなんていうことじゃないんですよね。その特定分野に対してどれだけの知識と経験を持っているかということがすごく重要で。そこってやっぱり僕らでも1から調査をして、確率論を高めるために一歩一歩やっていくので、「分かった分かった、パーン」という感じにはならないわけですよね。なので、人に頼るというのはね、結構すごく、人は重要なんだけども、前提となる部分はしっかり調査をして固めていった上で人に任せていくということをやらないといけなくて。全部人に丸投げですみたいなね、そういうのをたくさん見てきましたけども、やっぱりなかなか難しいですよねという。結構ね、営業力に長けているんだけど、マーケティング力に長けてない人材とかね、マインドセットが営業セールス寄りの人、それよりもやっぱりマーケティング寄りの人のほうが圧倒的に重要だし。土台ができていて、営業を頑張れば売上が立つという状態というよりかは、もっと手前の話、土台をつくるところからなので、やっぱりこれは売れる仕組みをつくることをやっていく必要性が非常にあるのでね、マーケティングに長けた人材を投入するというのがPersonの部分でも重要なんだけども、とにかく人っていうね、そこはなかなかちょっと問題だなというふうに思います。そんなようなことがPerson依存型の失敗ではね、事例含めて説明してますので、20ページぐらいまでね、10ページぐらいこのPerson依存型の話をしていますので、ぜひこちらで読んでもらえたらなというふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。次回以降ね、2章ね、「アジア新興国市場で成功する企業だけが知っている3つの価値観」ということで、今までちょっと失敗事例を3つ紹介しましたけど、Product依存型、Partner依存型、Person依存型と3つの失敗事例に多く当てはまっていますよと。僕の見てきた企業の中でね、失敗していてこれに当てはまってない企業、別の次元の失敗だっていうのはね、思い浮かばないのでね、まずないですよね。失敗している企業というのは必ずこの3つに当てはまっていて。その当てはまっているんだけど、それを重要視してない、「大丈夫、大丈夫」と言ってさらに失敗をするとかね、当てはまっていることすら認識してないみたいなね、そういうケースが多くて。決して製造業のアジア新興国市場の失敗事例って、高度な失敗をしているんじゃないんですよね。非常にベーシックな失敗でつまずいてしまっているので、もったいないなと。ただ、逆を言えばね、このベーシックな失敗を攻略すれば、まだまだ成果が伸びるので、可能性は大いにあるのではないかなというふうに思います。2章以降は、いわゆるシェアの高い企業が大切にしている価値観が3つあって、その3つの価値観について解説をしているという章になります。
それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。