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グランドデザインを描く力

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』についてお話をしていきたいなというふうに思います。

今日は2つ目ですね。第2章を今やっていて、第2章、「アジア新興国市場で成功する企業だけが知っている3つの価値観」ということで、2つ目の価値観、グランドデザインがなぜ重要なのかということ、32ページ。まあね、シェアの高い企業というのはね、特に先進グローバル企業は、このグランドデザインを描く力が非常に長けている。一方でシェアの低い企業は、もう考え方が積み上げなんですよね。ちょっとスライドを出してもらうとすると、こんなイメージですよね。つまりはね、積み上げなので、今、目の前にあることを一歩一歩やっていけば、この絵の通りね、きっとこの先にはパラダイスが待っているというね、こういう何かちょっと宗教的なというか、上に絶対にパラダイスがあるということを信じて止まない。そこにパラダイスがあることを客観的に、もしくは合理的に理解をしているのではなくて、精神的な理解で、とにかく目の前のことをしっかりやれば、いつかはこの頂上にあるパラダイスにたどり着けるんだということをやるんですよね。これはね、僕、80年100年の人生において非常に重要な考え方だと思うんですけども、こと数年単位のマーケティングに置き換えてね、さらに言うならアジア新興国市場に置き換えたときにはね、やっぱりこれではなかなか通用しなくて。

グランドデザインに長けているシェアの高い欧米の先進的なグローバル企業ってどういうふうにするかって言うと、この写真の階段の上にパラダイスがあるという仮説を立てるのであれば、まず先にドローンを飛ばして、それを見るんですよね。見て、「あ、確かにあるね」と確証が持てた、ある一定度の確証が持てた段階でそこからどうやったらこの階段を最も速く上れるかってことを逆算して考える。まっすぐ駆け上がるべきなのか、右左へ行くべきなのかということを考えて、思考が全部、逆算なんですよね。積み上げか、逆算かっていう、そういう思考で。グランドデザインって全体像なので、このいわゆるASEANとかだったらね、ASEAN6カ国、主要6カ国全体の戦略をバーンと描いた中でインドネシアやります、ベトナムやりますという話で。ベトナムやります、インドネシアやります、ベトナムがうまくいったらタイやりますとかね、タイがうまくいったらベトナムやりますとかね、そういう話じゃないんですよね。全体がこう、グランドデザインがある程度描けた上でのベトナムだったり、グランドデザインがある程度描けた上でのインドネシアだったりする。

日本の企業は、このスライドの通りね、局地戦では勝つんだけど、全体で負けるという事例が結構あるんですよね。例えば、ベトナムでは成功している消費財メーカー、けど、その他のASEANではイマイチですとかね。インドネシアでは成功している消費財メーカー、その他のASEANではイマイチですとかね。あと、海外輸出は全体で言うと高いんだけど、海外比率、販売比率は高いんだけども、それぞれの現地シェアを見ていくと非常に低いとかね。これもまさにこういうことですよね。海外売上比率という、一見、グランドデザインに見えるような局地戦では勝つんだけども、それぞれの国のシェアで負けているということは、これは最終的には全体で負けますから、グランドデザインがやっぱり描けていないということになるので。この違いが本当に顕著だなと。これ、どんどんこう、こういう企業を組織から人にブレークダウンして調べていくと、そこで働く人たちがね、この組織がつくるしっかりとした計画をグランドデザインと定義するならば、僕は個人が瞬間的に感覚的に頭の中にパッと生み出すイメージをビッグピクチャーと呼んでいて、何か物事を進めるときに、マーケティング戦略を進めるときに、全体の絵を先にビッグピクチャーとしてパッと思い浮かべて、その中で局所に落としていくという、こういう思考の訓練がすごく重要で、こういう訓練がやっぱりされてるんですよね。そもそも持っているものもあるんだと思うんですよね、育ってきた環境、もともとその人が持っているもの。ただ、これって訓練なので、ある一定の期間そういう組織に属して頭がそれに対応していくとね、そういう考え方に全部なっていくわけですよね。でも、数十年ってそうじゃない組織に属して、逆算でずっと考えてきて、それを今から逆にするってね、なかなか大変だとは思うんですけど、その違いはすごくあるなと思ったんですよね。だから、日本の古き良きね、70年代80年代90年代の、誰かが発明したものをより小さく、より安く、より薄く、より良く、こういうのってコツコツですよね。なんですけど、やっぱり今、そこの部分って、もうだいぶ少なくなってきて、価値として目に見える部分というのは少なくなってきて、それよりもいろんなものの組み合わせでどう戦うかということを考えると、やっぱりこのグランドデザインを描く力って本当に重要で、その違いが顕著にシェアの高い企業と低い企業では出ているなというのが、先進グローバル企業なんかを調査していくと見えてきましたという、そんなお話をしているのがこの37ページまでですね。

次回以降が基準値、僕はリファレンス・バリューというふうに呼んでいるんですが、この基準値を持つということをやっぱりシェアの高い企業はやっていて、このリファレンス・バリューについてお話をしていきたいと思います。それでは今日はこれぐらいにして、また皆さん、次回お会いいたしましょう。