HOME » 動画番組 スパイダー・チャンネル » アジア新興国 どう戦うかよりも、どこで戦うか

動画番組 スパイダー・チャンネル

アジア新興国 どう戦うかよりも、どこで戦うか

番組への質問はこちら » お問い合わせフォーム
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/4495650238
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/

テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私の新刊でございますが、この解説をしていきたいと思います。

今日は第3章、59ページですね。59ページのお話です。この第3章は、「日本企業が変えなければならないマインドセット」ということで、B2C・B2B問わず、製造業がアジア新興国市場でどう販売チャネルを改善していくか、そもそもこの本は、ここにも書いてある通り、一方的な製品の優位性よりも相対的な販売チャネルの優位性のほうが圧倒的にシェアを上げる上では直結しますよということをベースに書いていて。どういうふうにその販売チャネルで競争力を上げていくのかというのが主目的であると。ただ、一方でこの販売チャネル戦略をつくっていく上で、今までの過去の本、こういう本ありますけど、これらはどちらかと言うとというか、完全に販売チャネルをどうつくればいいのかというhow toを解説している本。今回この本の最大のポイントは、今までの本はどちらかと言うとB2Cの消費財、食品とか、飲料とか、菓子、日用品向けに書いた本なので、この本はB2Cもそうなんだけども、非FMCG系のB2Cと、あとB2B向けにも書いているので、事例が半分ぐらいそういう事例になっていますよということと。あと、どう販売チャネルを改善していくかという、この手前のところに、われわれ日本企業とか日本人の思考の方法、マインドのセット、マインドセットがシェアの高い欧米の先進的なグローバル企業と比べると大きく異なっていると。この違いが戦略をつくったり実行する上で非常に大きく影響を及ぼしている。僕はいろいろな日系企業、先進グローバル企業、シェアの低い企業、シェアの高い企業を見てきて思うのは、そこの違いが、マインドセットの違いが大きく戦略に影響している。なので、例えばなんですけど、B2Cの消費財で言ったら、中間層が一番重要だということが、アジア新興国市場、新興国市場の最大のポイントって何ですかと言ったら、中間層の数なんですよね。消費財メーカーにとって一番重要なもの、例えば食品メーカーにとって一番重要なものは胃袋なわけですよ。若い胃袋をどれだけ掴むか。なぜ若い胃袋じゃないといけないか。若い胃袋というのは、1日に3回じゃなくて、4回5回6回って食べるから、若い胃袋が重要で、消費財メーカーにとっての最大のポイントは、いかにたくさんの人に、いかに早い頻度で、いかに繰り返し永遠に買い続けてもらうかっていうことは、これはもうビジネスのポイント。そうすると、中間層が最大の重要なポイントになる。だから、この中間層を掴むためには伝統小売が重要になる。だから、販売チャネルだっていうことが分かっていながらも、いろんな理由をつけて上位中間層とか富裕層とかっていう話になってしまうわけですよね。こういうことが、例えばB2Cだったらある。なぜこうなるかと言ったら、まさにマインドセットの持ち方で。B2Bの場合は、1カ国1ディストリビューター制度、理由なき1カ国1ディストリビューター制度じゃシェア上がりませんよということは分かっているんだけども、管理が大変だとか、ディストリビューターが嫌がるとか、いろんな理由を付けてそうなるんですね。これもやっぱりマインドセットの部分が変わらないと、そういう戦略には行きつかないので。戦略をつくるのが下手なのではなくて、その戦略に至るまでのマインドの方法、思考の方法が違うからそうなってしまうんだということに気がつき、この第3章をこの本では設けたと。前回ぐらいからね、そんなエピソードをいくつかピックアップしながら解説しているんですけど。このマインドセットってね、訓練で直すことができる。考え方って訓練なので、意識的に訓練をすればね、前回やったのが積み上げと逆算かな、物事を積み上げで考えるって、もう自分の体にしみついているので、無意識のうちに積み上げで考えているんだけども、これを意識的に逆算に無理やり舵を切っていって、それを継続して続けていけば、無意識のうちに逆算思考になる。もう、これは訓練なので、若ければ若いほど、早く始めれば早く始めるほど、そういうマインドセットに変わっていけると思うので。そんなことをずっと書いていて。

ちょっと前置きがだいぶ長くなってしまいましたけど、この59ページのところで言うと、やっぱりシェアの高い企業のアジア新興国戦略とかを見ていると、絶対に、どう戦うかよりも、どこで戦うかを圧倒的に重視していて。これって非常に、今までもね、ビッグピクチャーとかグランドデザインを大切にするっていう話をこの本でもしてきましたけども、そういうものが全体像で見えているわけですよね、こういう会社って。ビッグピクチャーを見るということも、これは思考のお話だし、グランドデザインを描くということもそうだし、こういうことが癖づけられているので、どう戦うかなんていう、この細かい話よりも、どこで戦うかという、もっと大きな話を先に彼らは選択をするわけですよね。そこがいわゆる成果の出にくい国と出やすい国、もしくは勝っても意味がない国と意味がある国というのはあるので、そういうことがしっかりと理解されている。60ページにね、アジアの国別の、どういう順番で出ていくべきか。まだベトナムも取れていないのに、メコン経済圏へ行くとか、インドへ行くとか、意味不明な展開をしている企業っていうのは結構少なくなくて、タイが終わってないのにベトナムやるとか、そんなのが結構往々にしてあって。あと、各国でばらばらなことをやっているとか、それもやっぱり経営資源が無駄になっているので、そういうことも考えていかないといけないし、全体的に見るということも重要なんだけども、いわゆる都市単位で見ていくということも重要なので、そんなことを書いているのがこの61ページぐらいまでですかね。

来週、RCEPの話を少しして、この第3章は終わりにしていきたいと思います。皆さん、今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。