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アジア新興国 競争環境の可視化で可視筋が見えてくる

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』の、私の新刊の解説をしていきたいと思います。

今日は72ページ、「競争環境の可視化は、どれだけ強い敵がいる市場かを教えてくれると」いうことで、この第4章を今やっていて、4章というのはフレームワーク、最低限必要なフレームワークですよと。このフレームワークで、このフレームワークだけ押さえればいいよと、もうその他のフレームワークはやらなくていいですということが、この第4章で書いてあって。ただ、このフレームワークというのは単なるツールですよと。このツールには、情報というインプットを入れて初めてこのフレームワークというのは使える、ツールとして動く、動いて意味があるものになると。じゃあ、これが動くと何が出されるかって言うと、アウトプットという仮説がね、戦略上の仮説が生まれてくるわけですよね。この仮説を実践するからアウトカムというリアルな結果が手に入っていくと。

このインプットが少ないと仮説がチープになる、チープな仮説をどれだけ優秀な人間が実行しても、やっぱり成功確率は下がってしまいますよね。なので、良い、質の良い大量の情報をしっかりとフレームワークに入れて、レベルの高い仮説を生み出すことによって成功確率を上げていきましょうというのがそもそものコンセプトなので、インプットは重要だよと。そのインプットを大きく分けて言うと、市場環境、市場環境というインプットと、あと、競争環境という2つのインプットが必要で、市場環境に関しては前回お話をしたと。今日はこの競争環境についてお話をしていきたいというふうに思うんですが。

この競争環境、市場環境はね、ある程度デスクリサーチでも手に入る、いわゆるセカンダリー情報でも手に入るわけですよね。セカンダリー情報というのは、誰かが調べて公開しているような情報ですね、ネットで広がっているような。これはインターネットが出てくる前までは、セカンダリーの情報の収集すら大変だった。図書館に行ってとかね、図書館に行って、本になるまで時間かかりますから、最前線の粒度の細かい情報というのは手に入りにくかったんだけども、今はセカンダリー情報は容易に手に入る。もちろんセカンダリー情報の中でも、われわれのような調査を得意としているような機関だけが業界でシェアしている情報もあるので、必ずしもすべてが入るというわけではないですけども、でも、基本的には自前でもできますよと。

問題は、この今日お話する競争環境、これに関してはやっぱりわれわれみたいな専門機関に依頼をしないと、大した情報は手に入らない。自分たちの営業がね、現場の営業の現場の最前線が集めくる情報というのはね、ときとして正しいんだけども、じゃあ、ときとして正しくない。どういうことかと言うと、やっぱりね、手に入る情報に限界があるわけですよね。だって、敵にとってみたら知られたくない情報を、自分たちの営業の現場がね、現場で拾えるかって言うと、やっぱり根本的なところは拾えないっていうのと。あと、現場が上司にそれを、情報を上げて、またそれが上げて、上げてって、情報が上がってくるんだけどもね、情報を上げるときに、やっぱりね、自分たちの身内はね、自分にとって良い解釈にどうしてもこれはね、もう、人間のね、自然なことなんだけども、変わっていってしまう、バイアスがすごくかかってきてしまう。自分にとってやっぱり良い報告になっていってしまうので、真実が客観的に見えないというのはね、すごくやっぱりいろんなところから言われる。現場でこうだというふうに情報を受けてるんだけども、実際に客観的に見てみると、そうじゃない。そこには大きなバイアスがね、これは別に悪気があるわけじゃないですよ。ちょっとずつバイアスがかかっていくので、結局、手元に来たときには正しい情報になっていない。

あと、よくあるのが、ディストリビューター、皆さんね、直販の会社はいいですけど、ディストリビューターを使っているというケースは往々にしてあって、そのディストリビューターも、メーカーに開示をする情報と開示をしない情報っていうのがあって、やっぱりすべては開示してないわけですよね、いろんな利害がありますから。そうすると、自分たちのディストリビューターのことも実はあまり分かってなかったというケースというのは結構あって。そういう情報はやっぱりなかなか手に入らない。なので、そういう観点でも非常に重要だし。

そもそも競合の現従業員ね、これはインタビューをしながら情報を収集していきますからね、こういうのって、なかなかやっぱり自前ではできない。われわれも学問をやっているわけじゃないので、自分たちが仮説を立てる上で、もしくはこの番組でも何回かお話している基準値ね、リファレンス・バリューを掴む上でね、基準値というのは、競合の競争力を100とした場合に、自分たちが80なのか、70なのか、50なのか、これを掴まないと、何が足りていて、何が足りてないのか分からない。そうすると、戦略も戦術もないわけですよね。そこを補っていくというのがやるべきことなので。そういう情報を掴むためには、僕は3つのことをずっと言っていて、この73ページにある通り、まず、敵のチャネル・ストラクチャーがどうなっているのか、競合のチャネル・ストラクチャーはどうなっているんですかということ。あと、組織の体制。いわゆるね、組織ってすごい重要で、どういう組織で、3番目のどういうマネジメントをしているから、こういう結果が出るんだというね、こういう3つの構造になっていて、このチャネル・ストラクチャーというのはね、まさにアートで、チャネルのこのストラクチャー、構造、型ですよね、型を絶対持ってるんですよ、シェアの高い会社は。その型が、やっぱりね、シェアの高い会社はものすごく美しい。合理的で美しい型になっていて、なるほどねと、シェア高いよね、これは。B2Bだったら、ユーザーにちゃんと行き渡っているチャネルの構造になっているね、エリア別にとか。B2Cなんか特にそうですけど、これだけのチャネルの型を持ってるから、ストラクチャーを持ってるから、こんなにストアカバレッジが広いんだっていうことがもう分かるので、ストラクチャーを比べてしまったら、もう、どれだけ自分ができてないかっていうのはまず分かるんですよね。じゃあ、そのストラクチャー、型に対してどういう組織をね、競合のディストリビューターも含めてね、用意されていて、この組織が、マネジメントというのが日々何をしているからこういう結果が生まれる。例えば100人の組織が日々20件回っているからこういう受注数が生まれていく。それがね、10人の組織が日々5件回っているからこういう受注数が生まれる。もう、これは全然やっていることが違うわけですよね。これは日々この差がずっと開いていくわけなので、こういうことを徹底的に分析をしていくわけですよね。

これはね、本当にすごく重要で、まず、頭数の差がどれぐらいあるのか。もちろんね、そんなにすぐに頭数の差を揃えられない。揃えられないとすると、じゃあ、どこでテコを使うんですかということになって、これが戦略とか戦術になっていくわけですから、ここを把握しないまま、ただ惰性でだらだらやっていっても絶対にシェアは上がっていかないし、シェアっていうのはひとりよがりの話ではなくて、他社から1%のシェアを奪うから自分たちのシェアが1%上がるということになるので、基本的には競合をしっかり理解をする、把握をするということは大変重要ですよ。なので、競争環境というのは大変重要なインプットですというお話を書いています。

次回以降ね、75ページ、「マーケティングの基本プロセスはすべての根幹」ということで、いよいよフレームワークのお話をしていきたいなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにして、皆さん、また次回お会いいたしましょう。