アジア新興国 『R』をやれば想定外は起こらない その2
番組への質問はこちら » お問い合わせフォーム
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/4495650238
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』の話を、解説をしていきたいと思います。前回から…、前回が『R』のところをやったんですよね。78ページ、『R』のお話をさせてもらっていて、ちょっとSWOT分析がね、お話がなかなかできなかったわけですけども、そこを含めてちょっと今日はお話をしていこうかなというふうに思います。このフレームワークの第4章のお話で、ちょっとすみません、整理、ラップアップ、整理をしていきましょうかね。フレームワークのお話で、まず重要なのは、フレームワーク、われわれは学問としてフレームワークを勉強しているわけではなくて、いかに実践でそれを応用していくかということはすごく重要なので、やり過ぎないということがまず非常に重要ですよということが1点。あと、フレームワークというのは、それ単体では何の役にも立たない。このフレームワークに鮮度の良い、粒度の細かい、解像度の高い情報を入れるから初めてフレームワークというのは使えるわけですね。これは分析ツールですから、情報を入れて、僕は情報をインプットというふうに言ってますけど、インプットして、ここで分析をするから戦略・仮説のアウトプットが出てきますと。これを実践することでシェアを拡大するとか、売上を上げるとか、利益を得るとかっていうアウトカムが出るわけですよね。インプット、アウトプット、アウトカムと、この3つになっている。このフレームワークも情報が非常に重要ですよという話をしていて。じゃあ、今度はフレームワークを、やり過ぎてはいけないフレームワークの中で、何か1つ重要なフレームワークを挙げろと言われたら、僕はR-STP-MMというマーケティングの基本プロセスが非常に重要であると言う。入口から出口までね、すべては日本企業のアジア新興国展開のすべての課題はこのR-STP-MMでほぼほぼ完了する。もちろん一部の企業はもっと高い次元の課題があるので、そういう企業は別の話になってくるんですけど、もう9割がたはこのR-STP-MMの次元で十分解決ができるというふうに思っています。
最初の『R』はね、マクロ環境分析、ミクロ環境分析、SWOT分析で構成されているものの、こういう言い方をすると分かりにくいので、前回使った表ですけども、この図の通り、マクロ環境分析というのは、そこはどんな市場なんだ? 一体どれぐらい儲かる市場なんだ?ということを調べるツールですよと。ミクロ環境分析というのは、じゃあ、その儲かる市場にどんな敵がいるの? どんな強い的がいるの?ということを見ることをミクロ環境分析と言う。SWOT分析というのは、じゃあ、その儲かる市場に、強い敵がいる市場にね、自分たちが参入したら、自分の経営資源を見たときにね、見渡したときに、自分たちが参入したら何が起こるんですか?というのがSWOT分析ですよと。これさえしっかりやっておけばね、こんなはずじゃなかったということにはならないですよね。3年で黒転するという計画を立てていたのが4年にずれ込みました、5年にずれ込みました、これはまだいいと思うんですよ。5年はちょっと難しい…、4年にずれ込みました、4年目にずれ込みました。ただ、7年8年9年経っても黒転しませんとかね、シェアをこれぐらい想定していたのになかなかいかないとか、多くの製造業はそういう状態にアジア新興国市場でなっていると思うんですよね。これってやっぱり当初のこの『R』の算段が甘かったということが非常に大きくあると。前回もお話しましたけど、このマクロ環境分析っていうのはある程度自前でね、そんなにたくさんの費用をかけずに情報、データを買ってきて、自分たちでデスクリサーチをやる、2次情報で十分マクロ環境分析というのは賄えて、そのマクロ環境分析をやるときに、PEST分析というフレームワークを使うと網羅的に抜け目なく見ることができますよという話を前回したと。競合に関して、競合調査、ミクロ環境分析だけは、これはやっぱりわれわれのような専門機関に依頼をしないとなかなか鮮度の良い情報というのは入ってこないし、これはバランスですから。前回例を言いましたけどね、日本の企業の例は、マクロ環境分析はしっかりやっているので、魅力的な市場だということは分かっていますと。なんだけども、ミクロ環境分析はざっくりしていて、欧米のメジャーの競合がいる、でも、彼らはマスのビジネスで、スーパージャイアントなので、ちょっとわれわれの競合じゃないよねと、ここで勝手に競合じゃないよね論を持ち出して。競合なんですよ、ど真ん中のね。なのに、競合じゃないというふうに言い続けて。一方で中国もしくはアジアローカル企業、これも確かに価格競争力はあるんだけど、品質がまだまだだからわれわれの競合じゃないよねと言って隅に寄せちゃって。われわれは高品質のプレミアムだから、そういう市場を獲っていくんだというふうに言って出ていくわけなんですよ。多くはこういう、戦略の根幹にはこの考え方がやっぱりあって。出ていくんだけど、蓋を開けてみたらそんな高品質のプレミアムを求めてるお客さんは少なかったというね、B2BでもB2Cでも同じなんですけど。それでなかなか、経営資源が重たいとね、プラスになっていかないという、こういう問題が。これってやっぱりそもそもミクロ環境分析の情報量が少なかったという話だし、SWOT分析を客観的にできてなかったというね。
このSWOT分析を今日お話をするわけなんですけど、そもそもSWTO分析、80ページの図を出しますけど、この図ですけどもね、SWTO分析は何なのかというのはもう皆さん分かっていると思うので。もしあれだったらネットを叩いてもらって、それを見てもらったらいいと思いますけど。SWOT分析で重要なポイントはね、ファクトをちゃんと分析のフレームワークの中に入れられてますかということなんですよ。マクロ環境分析、マクロのいわゆる市場の情報と競合の情報の正しい真実、ファクトを粒度が細かい、解像度の鮮明な鮮度の生き生きとした情報をちゃんと中に入れられてますかと。これが入れられてないと、どれだけSWOT分析をやったって意味ないので、まずはファクトを集められているかということが1つ。もう1つは、客観的に分析できてますかということはすごく重要で、このね、客観視するってすごく難しい。自分の子を客観視、自分の子はいい子だって思うわけですよね。自分の子を信じるっていうのは、僕は絶対的に重要なんだけども、一方で、やっぱり自分の子を客観的に、親の知らない自分の子をどう客観的に見れるかっていうこともやっぱり見ていかないといけないなって思ったりするので。それと一緒ですよね。自分の会社を客観的に見るってなかなか難しいので、なので、客観的に見るっていう意識をしているっていうことがすごく重要ですよと。あと、もう1つはね、日本企業に言えることは、3つ目、この82ページに書いてるんですけど、商品の機能とか品質の優位性を強みに加えないような分析をやっぱりしたほうがいいと思うんですよね。ここなしで勝てるシナリオが描けたら、もう確実に勝てると思います。商品の機能とか品質の優位性を強みにしない強みを戦略上見出せたらね、僕は日本企業のアジア新興国市場の展開というのは、ほんとにもっと良いものになるので、先進国ほどここを重要視してないんですよね、アジア新興国市場が。もう一方で、品質が良いのは当たり前みたいな、機能は量より質みたいなところがあるので、やっぱりここはすごく重要だなというふうに思います。
ということで、詳しくはこの本を読んでいただいて。次回ね、STPのお話をしていきたいと思います。今日はこれぐらいにして、皆さん、また次回お会いいたしましょう。