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アジア新興国 『STP』の解像度でシェアが決まる

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日から新しいカメラで撮っているんですよね。これ、ちゃんと映っているのかな…。新しいカメラを買いましてね、ソニーのね、Vlogカメラ。今まで、何でしたっけ、中国のドローンメーカーのカメラを使っていたんですよね。J…、JD…、DJIでしたっけね。使っていたんですけど、すごくね、良かったんですけどね、やっぱり使い始めて「中国製すごくいいな」って思っていたんだけども、なんかね、熱をものすごい発して、音声が入らなかったりとか、音声と動画がずれちゃったりとか、いろんな問題が出てしまって。それでその中国製をやめて、やっぱりソニーでしょうと。僕、ソニー大好きなので、ソニーのカメラを買って。昔ね、ソニータイマーとかね、VAIOの時代にあったので、あれだったんですけど、まあまあ、これでうまく撮れたらいいなと思います。すみません、余計な話を。今日はですね、前回、この本ですね、私が今年出した『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、これの解説を引き続きやっていきたいと思います。

前回までがちょうど『R』のところをやっていて。今日から82ページですね、マーケティングの基本プロセスに入っていて、第4章の「最低限必要なフレームワーク」ということで、マーケティングの基本プロセスが非常に重要ですよと、その中でRの重要性、Rをやれば、実際に進出をしてから「こんなはずじゃなかった」と言って撤退をするということの可能性を著しく下げることができますよというのがRですよと。Rが終わって「いざ出ます」となったあとの工程がこの『STP』のお話ですね。

まず、「STPって何なの?」ということなんですが、この図の通りですね、STPというのは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの略。セグメンテーション、「どのセグメントの誰に売るの?」と。ターゲティングがね、「誰に売るの?」と。そのポジショニングというのが、「その際の自分たちの立ち位置はどういうものであるか」ということですよね。このSTPはめちゃめちゃ重要で。シェアがなかなかうまく上がらない企業の多くは、このSTPがぼんやりしてしまっているんですよね。シャープじゃない、解像度がキュッとこう、ぶれてない、ピントがぼんやりしていないというのが特徴としてあって。まず、このセグメンテーションなんだけど、自分たちがターゲットを明確にするときに、やっぱりターゲットっていくつかのセグメントの中から選んでいくっていう話になるんですよね。例えば消費財、いつもね、このあれで話をしているような食品とか飲料・菓子・日用品等の、文具も含めて消費財は、中間層が基本的にはもう最大で唯一のターゲットで、中間層からぶれるんだったら、そもそも新興国市場なんか出る必要はないので、ここが1つのターゲット。だから、大きい意味で言うと、セグメントはそこなんですよね。ただ、その中間層の中でもいろんなセグメントがあるので、いくつかのセグメントに分類したときに、自分たちはどのセグメントから攻めますか、そしてそのフォーカスね、4つぐらいのだいたいセグメントがあるので、そのセグメントのどこから順番に、もちろん全部のセグメントを一気に攻めるというのがいいんでしょうけど、経営資源がばらけるので、だいたい1つぐらいのセグメントに優先順位を置いて、まず一点突破で突破口を上げていくと。そのセグメントの中のターゲティングというのはどういう層に、誰なんですかと、よりターゲットをフォーカスしていくという、こういうプロセスを経ていかないといけない。じゃあ、ポジショニングというのは、そのターゲットに対して自分たちはどういうふうに見られたいんですかと、どういうポジションを取りたいんですかということを考えていく。このポジショニングはひいてはブランドエクイティみたいな話にもつながっていくので、非常に重要で。日本の多くの消費財メーカーは、プレミアムジャパン、プレミアムなジャパンみたいな、そこ一辺倒で行こうとするんですけど、もっとそうじゃなくて、プレミアムジャパン、プレミアムジャパン以外のやっぱりポジショニングをこれからはつくっていかないと、もうさすがにプレミアムジャパンだけじゃちょっと通用しない状況になってきている。

この本はね、そもそもB2Bの製造業のためにも書いているので、B2Bなんかは特にこのセグメンテーションは大切で、やっぱり自分たちが部品をつくっているとするとね、その部品を使われている、インダストリーと言ってもいいと思うんですけど、4つぐらいあるんですよね。自動車のインダストリーで使われている部品、この部品ね、同じ部品がまた通信のインダストリーで使われている場合、それから、分からないですけど、何かインフラで使われているとかね、何とかで使われているって、そういうケースがあるので、どのセグメント、インダストリーから行きますかと。B2Bの場合は、もうセグメントを決めたら、その先のターゲットというのはもうバイネームで、企業名を挙げていくという、そういう話になってくるので、どの企業に売りますかということになってくるわけですよね。その企業に対して自分たちはどういうポジショニングでありたいですかと。だいたいB2Bの場合は、基本的には日本でセグメントしている、その自分たちの優先順位のセグメントっていうのがたぶん順番があるので、それと同じように、海外でもセグメントは変わっていかない。企業もね、もうグローバルで動いていると、日系、外資系が上にあって、そのローカルというふうになるので、おおよそその順番にはなってくると思いますと。ただ、1つ気を付けなきゃいけないのは、B2Cみたいにターゲットが必ずしも、ASEANに限らず、新興国の首都にいるとは限らないんですよね。その産業が集積している場所にいる、工場なんかだったら、工場の産業、工場が集積されているところっていうのは首都じゃないですから、郊外だったり地方だったりするので、そこは1つ注意しなきゃいけないポイントであるという話ですね。

このSTPは、やっぱりね、ちゃんと設定をする。そうしないと、何が問題かって言うと、このあとに控えている『MM』、いわゆるモノが売れない、シェアが上がらない問題のすべてと言っていいぐらいのものはこのMMに存在しているんですよね。ターゲットに対してMMが最適化されていないからモノが売れないと。そうすると、このMMをね、次回やりますけども、このMMを考えるときに、そもそもターゲットがぼんやりしてしまっているから、MMをどんなにシャープにしたって、ターゲットがぼんやりしていたらMMが空回りしてしまうんですよね。なので、4P、MMをしっかりと回すためにも、このSTPというのは大変重要ですと。なので、こう考えるとね、本当にこのマーケティングの基本プロセスというのは、基本的なプロセスなんだけども、そこにすべてが集約されていて、フィリップ・コトラーは本当に素晴らしいマーケティング学者だったなというふうに思いますけども、とても素晴らしいフレームワークだと思いますので、ぜひ皆さん、このマーケティングの基本プロセスをもう一度勉強してみてはいかがでしょうか。

それでは次回ね、4P、MM、4Cのお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。