アジア新興国 売れない理由は全て『MM(4P)』の中にある
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私の新刊になりますが、この本の解説をしていきたいと思います。今日は86ページですね、86ページ、前回、STPが重要ですよというお話をして、今日は『MM』のお話です。「MMって何なの?」ということなんですが、この図の通り、マーケティングミックス、MMというのはそもそもマーケティングミックスの略で、別名4Pというふうに言われていて、この4つのPの集合体で4Pというふうに言われるんですけど。このPの4つって何かと言うと、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションということなわけですね。プロダクトというのは、「何を売るんですか」というプロダクトですよね。プライスというのは、「いくらで売るんですか」ということ、プレイスというのは、「どこで売るんですか」ということで、プロモーションというのは、「どのように売るんですか」という、「どのように知ってもらうんですか」でもいいですけども、そうですと。この4Pが最適化されて、初めてモノは売れるというふうになるわけですね。
この4Pは、いろんな企業の課題を見てきて、『R』というのはね、そもそものこのマーケティングの基本プロセスの最初の『R』というのは出る前の話なので、出るべきか出ないべきか。「こんなことも事前にやれなかったの?」というね、「やっていなかったんですか、理解していなかったんですか」というのは、やっぱりR不足だったという企業はね、まず大前提として非常に多いんだけども。でも、それでも出てしまったと。出てしまって、じゃあ、問題がある企業を見ていくと、やっぱりSTPの解像度がまずぼんやりしている、ターゲットがぼんやりしています、もしくは本来ターゲットとすべきターゲットから逃げているというケースがまず1つあるんですよね。そういう企業は、必ずこの4Pが最適化されていない。うだうだしてしまっている。逆に言うとね、STPの解像度が明確にピシャッとシャープにターゲットが決まっている会社というのは、この4Pが比較的高度なレベルで最適化されていると。だから、シェアが高かったりするんですよね。結局、このSTPと4P、MMってセットで、STPがぼんやりしている企業は、4P、MMがすごいぼんやりしていて。言ったら4Pというのは、メーカーの観点、メーカーの視点の話ですよね。何を売りたいのか、いくらで売りたいのか、どこで売りたいのか、どうやって売りたいのかみたいな、全部メーカーの一方的な都合をターゲットに押し付けるという、これが4Pなわけですけども。これはね、ある意味必要なんですよね。いわゆるプロダクトアウトという話なんですけど。モノを売るためには、プロダクトアウトとマーケットインね。プロダクトアウトというのは、自分たちが中心になって、「これが私たちの良いモノなんだ、どうだ」って市場に商品を出していくというやり方。一方でマーケットインというのは、「市場が何を欲しているのか」を市場ベースで吸い上げるというね。これ、モノを売るには両方必要で、消費者にいくらね、何が欲しいですかなんて聞いたって、本当のことは分からないですから、潜在的な意識の中に人々のニーズとかウォンツというのは隠れているので、基本的にはインサイトを見ていくということをしていくわけですけども。やっぱりね、本来、インサイト、潜在意識の中に消費者が求めているというものは、メーカーの顔が明確にあって、自分たちはこういうビジョンとミッションのもと、こういう製品をつくっていて、「私たちがクールだと思うものはこういう製品なんだ」、ダーンと、これに人が酔いしれて買っていくわけですよね。例えば、欧米のね、テック系の企業なんかはまさにそうで、Appleとかもそうですよね。テスラだってね、今はちょっと大変ですけど、そうだし。それこそNVIDIAのチップだってね、まさにそうだし。なので、自分たちのクールを押し付けるって、この4Pの観点は重要なんだけども、1つ日本企業がこの4Pを組み立てるときに考えなきゃいけないのは、アジア新興国市場に行ったときにね、あまりにも日本とか先進国のマーケットと大きくずれているので。大きくずれているというのは、状況が異なっているのでね、先進国マーケットとは。4Cという観点をここに持ってこなきゃいけない。4Cというのは今度は顧客側から見たもので、例えばプロダクトというのは、カスタマーバリューというものに変わるわけですよね。自分たちが何を売りたいのかではなくて、顧客は何を価値と感じてくれるのかという観点。プライスというのは、自分たちはいくらで売りたいのか、ではなくて、今度はコストに変わる、顧客にとってコストになるわけですよね。プライスって、自分たちはこの値段で売りたいという値段は、顧客にとってはコストになってしまうので、顧客が受け入れられるコストというのはどういうコストなんだろうと。今度、プレイスというのは、顧客にとってのコンビニエンス、利便性、顧客はどうすれば買いやすいんですかということを考えていく。プロモーション、どういうふうに売りたいのか、知ってもらいたいのかということは、今度はコミュニケーションというものに変わって、4Cだとですね、顧客とのコミュニケーションをどうやって取っていくかということに変わるので、非常にこの4Pという観点と4Cという観点で考えていかなきゃいけなくて。特に日系企業は、自分たちは良い原材料に高い技術力を駆使して高品質のモノをつくっているのでちょっと別個ですと、ジャパンプレミアムですと、ちょっと高めでどうですかみたいな、これがやっぱり戦略の軸からどうしてもこびりついているので。これってね、すごく4P的な発想なんですよね。だから、極端に振って4C的な発想で組み立てていくというのも、僕は1つの大切なポイントだと思うので、ぜひこの4Pを4Cの観点でも見ていく、そして、バランスを取っていくということが大変重要ですよというお話でございます。
次回、3C分析と4P分析の話。今日は4Cの話をしましたけど、4C、4P、この3Cというのはまた全然違う話なので、ちょっと混同しないようにしていきたいなというふうに思います。それでは今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。