強い企業は販売チャネルの『型』を持っている
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、私の新刊、『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』の解説をしていきたいと思います。今日から第5章ですね。第5章、96ページ、競合の可視化はなぜ必要なのかということで、強い競合は必ず販売チャネルの『型』を持っているというお話でございます。製造業のね、アジア新興国市場の販売戦略において、この本でもね、前作の本でも散々ずっと僕が言い続けているのは、販売チャネルが相対的に弱すぎると。その販売チャネルが具体的にどう弱いのかをなかなか具体的に把握できている企業が少ないですよと。シェアを5%10%上げるのに、製品をどうこうとかプライスをどうこうとかいじるよりも、販売チャネルをいじったほうが圧倒的に5%10%のシェアに直結しやすいですよということを散々この番組でも言ってきていて。その中で、やっぱり日本企業はインプットがそもそも少ない、なぜ明確に把握、具体的に把握できていないのかと言うと、調査をしないからですよね。調査をしているとしてもスコープがやっぱり少し逸れているというか、本来理解すべき調査をしていない。その中で競合調査も、意味のない競合の情報を収集する必要はまったくなくて、ここの96ページ、97ページで記載している、僕が競合を見るときに、まず自分たちのチャネルを改善しないといけない。相対的にどうなのかということをまず理解するということは必要ですよね。競合が、競合の競争力が100だった場合にね、自分たちの競争力が80なのか、70なのか、50なのか、30なのか、これによって戦い方が全然変わってくる、つまりはつくる戦略が全然変わってくるという話なんですよね。そうすると、やっぱり競合を知らないといけない。
じゃあ、競合を知る中でも、競合の何を知ればいいのか、これはチャネル周りの情報にまずは集約をする。なぜならば、調査もやればやるほどコストは上がるので、ある程度やっぱりフォーカスをする。一番シェアを上げるのに直結するのは、僕はチャネル周りだと思っているので、チャネルの情報に集中をすると。じゃあ、チャネルの中でもどんな情報を収集する必要があるのかと言うと、まずチャネルストラクチャー、全体的にどういうチャネルのストラクチャーを持っているのか。これはB2Cだったら、近代小売、伝統小売含めてどんなストラクチャーでまず戦っているの? B2Bでもね、直販と、それから中間流通経由、どういう比率で戦っているの? どういう顧客はどうしているの? もしくは直販100%と言うとね、もうチャネルもくそもないんですけど、そういう企業というのは本当に限られているので、ディストリビューターを使っている企業はどういうふうなストラクチャーでやっているの?と。2つ目が組織体制。これは、自分たちの現法も含めてね、どんな組織で、3つ目がマネジメント体制って、これは何をしているのかということなんですけど、いわゆるどんなストラクチャーにね、どんな組織を突っ込んで、その組織が何をしているのか=シェアなわけですよね。ストラクチャー×組織×マネジメント体制=シェアみたいな話で。そうすると、この、まずチャネルの全体のストラクチャーを理解して、じゃあ、そのストラクチャーの中にどういう組織がいて、その組織がどういう活動をするから今のシェアがあるのかということを紐解いていかないといけない。
そもそも、ストラクチャーが同じでも、組織が、中に入っている組織がね、50人の組織でやっているのと10人の組織でやっているというと、これは5倍差があるわけで。じゃあ、マネジメント体制も1日10件回っている会社と20件回っている会社、これは2倍差があるわけなので。このコンビネーションなんですよね。また、何をやっているかでもそうですけど、効率の良いことをやっている組織、効率の悪いことをやっている組織、必ずしもここは数だけじゃないので。こういうものを全部ひっくるめて、僕は『型』というふうに呼んでいて、販売チャネルの『型』。この自分たちの販売チャネルの『型』が確立できていない企業が非常に、残念ながら日本の製造業、アジア新興国市場を見てみると多くて。だから、例えばB2Cなんかも、インドネシアでは成功しているんだけども、他のASEANではなかなかとか、ベトナムではシェア5割以上持っているんだけども、他のASEANではなかなかみたいなね、わりとやっぱり『型』の応用がうまくいってないんですよね。もちろん『型』の応用がしっかりうまくいっているようなね、ユニ・チャームとか味の素みたいな会社も当然ありますけど、多くの日本の消費財メーカーはやっぱり『型』の応用がうまくいってない。B2Bに関してもそうですよね。どこどこの国は成功しているけど、どこどこの国が成功していないなんていうのは、まさにこの『型』の応用がうまくいってなくて、俗人的な展開をしているので、なんとかさんのいるタイはうまくいっているけど、なんとかさんがいないベトナムはうまくいってないとかね。シェアの高い企業を見てみると、基本的には世界標準化とかアジア標準化という、標準化の軸が1本ブスッと刺さっていて、これがもう全部、『型』なんですよね。本社としてこの『型』は変えませんよと、この『型』の中であとは自由にやってくださいということになるので、やっぱりこの標準化された、世界標準化とまでは言わなくとも、アジア地域、ASEAN地域で標準化された『型』みたいなものをつくっていくということをやらないといけない。そのためにはやっぱり競合の可視化というのはすごく重要ですよというお話でございます。
次回、100ページの基準値のお話をしようと思うんですけど。、基準値、英語で言うとレファレンスバリューなんですけど、この基準値って、今回冒頭で申し上げたね、競合の競争力を100とした場合に自分たちの競争力が80なのか、70なのか、50なのか、30なのかで全然戦い方が変わってくるよと。この基準値も知らずに戦略をつくるって、何をつくっているんですかという話になってしまうので、この基準値の重要性についてお話をしていきたいと思います。それでは皆さん、また次回お会いいたしましょう。