アジア新興国 チャネル・ストラクチャーがダメだとシェアは上がらない
番組への質問はこちら » お問い合わせフォーム
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/4495650238
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』、私の新刊の解説をしていきたいと思います。106ページですね、今日ね、「3 競合の可視化すべき3つのポイント」ということで、この章は非常に重要な話をずっと、前回、前々回からしてきていて、何の話かと言うと、Reference Valueの話、基準値の話ですよね。基準値を持つと対策案が具体的になるので、絶対に基準値を持ってくださいと。シェアを5%上げる、10%上げるためには絶対に基準値は必要ですよと。なかなか前に進めないのは基準値がないからで、シェアの高い企業は必ずこの基準値を持っていますよ、という中で「基準値とは何なのか」、そんな説明をずっとしてきたわけですよね。今日は、そんな中で基準値を持つためにはやっぱり競合の可視化というのはすごく重要で、競合の何を可視化しないといけないのかということを解説していきたいと思います。
前回ね、3つお話したと思うんですけど、チャネル・ストラクチャーと競合の組織体制、それからマネジメント体制。チャネル・ストラクチャーって何なのかって言うとね、大きく言うと、「型」みたいなものですよね。この3つ全体で大きな「型」があるんだけども、小さな「型」というふうに、ミクロとマクロというふうに考えてもらったらいいと思うんだけども。そもそもチャネル・ストラクチャーが間違っていると、「型」が間違っていると、どうやったって勝てないですよね。例えば、消費財メーカーでね、アジア新興国の中でもVIP、ベトナム、インドネシア、フィリピンという市場があったときに、伝統小売が非常に重要になってくる。伝統小売をやるということは、ディストリビューション・ネットワークが必要ですよと。そうすると、理由なき1カ国1ディストリビューター制みたいなことをやっているとね、これは永遠に伝統小売なんて獲れないわけですよね。もちろん、いや、2次店がいますと。ただ、2次店のことはよく分かっていませんと。任せているディストリビューターは分かっていますみたいな、もしくはそのディストリビューターもよく分かってないなんていうケースあるんだけども。そもそもチャネル・ストラクチャーが美しくない。例えば、近代小売は直販をして、伝統小売はこの地域とこの地域に関してはこういうふうなディストリビューターに任せていて、こういう何十社のディストリビューション・ネットワークを持っているとかね、そういう「型」があるんですよね。それに応じて自社のセールスがこうなっているという「型」があるので。このチャネル・ストラクチャーがどうなのかというところで、そもそもこの戦い、勝てるのか、勝てないのかというね、もうそれを見ただけで一発で分かるんですよね。「御社のチャネル・ストラクチャーをちょっと見せてください。あっ、これはたぶん、こういうところにしか、こういう小売にしかたぶん入ってないだろうな。日系のなんとかっていう小売とイオンとなんとかと。あと、大手も入っていても輸入品棚だろうな」とかですね、これがB2Bだったら、「日系企業が中心だな、これは」とかですね、そういうのがすぐにストラクチャーで分かるので。そもそものこのストラクチャーが間違っていると、どんな組織をそこにつくっても、その組織をどういうふうに優れたマネジャーがマネジメントしてもね、そもそものストラクチャーが間違っているので、やっぱりなかなかいい結果が出ないというのが、このチャネル・ストラクチャーなんですよね。だから、これをやっぱり最初に始めるときにしっかりと考えないといけない。
107ページに図が出てますけどもね、これは競合のA社と自社。競合のA社は6社のディストリビューターで2万社の顧客を管理していて、1社あたりの顧客カバレッジというのは3,333社、シェア2割獲っていると。シェア2割獲るということはね、こういうチャネル・ストラクチャーが必要なんだという事例がまさに出ていて。シェア1%以下、もう進出して10年近く経つけども、いまだに1%以下。1社のディストリビューターで顧客のカバー、3,000社と言っているけども、実際は1,000社ですみたいなね、こういう状態で。永遠に2割にはいかないですよね。5%にいくにはこうだ、10%までいくにはこうだ、というのがあってね。このチャネル・ストラクチャーって生き物なので、シェアによってどんどん変えていく、成長していく。最初はこうでも、じゃあ、次年度、3年度目にはこうなって、6年目にはこうなって、9年目にはこうなってって、進化していかないといけない。この進化の仮説論をしっかりと立てて、そこに自分たちのチャネル・ストラクチャーを持っていくという、こういう活動をしていかないといけないんですよね。ということは、今、シェアを2割持っている企業が、どういうストラクチャーで今アクションしているのかということを、まずやっぱり最初に理解をする。「いやいや、自分たちは、もう今、こういう状態なので、そんなことよりも、まず目の前のことを」みたいな感覚でやっていると、やっぱり結果指標の追っかけの積み上げ、自分たちの手の届くところの情報、手の届くところの知識を持ってつくったもの、こんなことで成功するわけがないので、やっぱり自分たちが目標としているシェアを獲っている企業のチャネル・ストラクチャーを可視化して。今すぐこれはつくれない。当然ですよ、チャネルなんていうのは生き物なので、一夜にしてならずですから。じゃあ、5年後にこのチャネル・ストラクチャーにするために、逆算して4年目、3年目、2年目、1年目、こうしていこうということをつくっていかないといけない。なので、3つのポイントのまず1つ目はチャネル・ストラクチャーですよ、ということでございます。
2つ目は、じゃあ、何かと言うと、組織体制とマネジメント体制になるわけなんだけども、これについてはまた次回ね、お話をしていきたいなというふうに思います。皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。