アジア新興国 契約締結後のアクションで売上の伸び代が大きく変わる
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日も引き続き、この『製造業のためのアジア新興国販売チャネル戦略』について解説をしていきたいと思います。すでに6章に入っていて、「強固な販売チャネル構築に必要なこと」ということで、今日は146ページ、「契約締結後のアクションで売上の伸び代が大きく変わる」というところからの解説になります。この強固な販売チャネルの構築に必要な3つのことというのは、1つはディストリビューターの発掘選定、もう1つがディストリビューターとの契約交渉、そして、今日やるのがディストリビューターの管理育成という。この管理育成で伸び代が大きく変わりますよと。締結して終わりじゃないですよと。締結後に何をするかで全然伸び代が変わりますよと。
ちょっと前回までのエピソードを整理すると、ディストリビューターの発掘選定ってめちゃめちゃ重要で、これは成功の確率の6~7割を決めると言っても過言ではないかもしれない。ディストリビューターというのは、必ずしも実績があるところとか、大きなところとか、財閥系とか、そんなことはどうでもよくて、「誰と」売るかよりも「誰に」売るかが最も重要なので、まず「誰に」売るかということを明確にして、その「誰に」売るかが実現できる相手と売るというのがディストリビューターの選定の上で最も重要なので。これは大きいとか、実績があるとかっていうことは、もちろんあればいいんだけども、大きいところというのは基本的には重要なプリンシパル、メーカーをたくさん抱えている、ブランドをたくさん抱えているので、これから始める企業にとって必ずしもいいかと言うと、導入期にはもしかしたら適切じゃないかもしれない。やっぱり重要な顧客に重要なセールスチームをあてがうので、これから取引が始まるような企業にはあまりいいチームをあてがってくれないというケースもあるし。あと、過去のエピソードでも話しましたけど、大手のディストリビューターはメーカーの担当者とリテールの担当者というのがいて、場合によってはメーカーとリテールの接触を嫌がるディストリビューターもいるわけですよね。そうなったときに、なかなかこちらの真意であったり、思いが伝わっていかない、小売に伝わらないということもあるので、基本的には大手が必ずしもいいということにはならない。場合によっては中堅規模のほうが扱いやすいし、一緒になってやっていけるという意味では導入期では適切かもしれないということで、選定、発掘選定というのは非常に重要ですよと。
2番目の契約交渉に関しては、いわゆる契約は儀式ではないので、契約締結をしてから、どんな目標に対して、どんな組織で、何をするということを明確にしましょうねと。なぜならば、この目標の達成をつくり上げるのは、その目標達成に向かう組織、言ったらセールスの球数であったり、質であったりが、毎日何をするか、日々何軒回るんですか、何をKPIにするんですか、ということがこの目標達成の確率を上げていくので、この組織と組織がどう動くのかということはしっかり握りましょうねと。あと、契約書の締結のテクニカルの話で言うと、契約書の守りの部分は良しとしてね、攻めの部分がやっぱり弱い企業が非常に多いので。例えば1年で契約更新って、ディストリビューターにとっては1年で契約が切られるかもしれない場合に、そんなに多くの経営資源を投下しないので、やっぱりうまくやっている企業というのは2~3年の契約になっているんですよね。2~3年で更新をする。2~3年の猶予があれば、ある程度ディストリビューターも投資意欲があるので。日本のメーカーの場合、「何かあったら困るので取りあえず1年で」みたいな、「もちろん更新することが前提なんですけど」みたいな話で1年契約というのが多いんですけど、2~3年でやると。あと、独占をうまく使うということは非常に重要で、あと、独占をむやみに与えないということも非常に重要で、その話もたぶんしているんですよね。なぜ独占を与えることが重要なのか、なぜ独占をむやみ与えないことが重要なのかという話もたぶんしていて。
今日は、すみません、前置きが長くなりましたが、管理育成で、図をお願いします。このスライドですけども、契約交渉で決めたKPIをいかにモニタリングしていくか。モニタリングして、必ず予定とね、予定との乖離が絶対出るので、その乖離に対してすぐ対策が打てるかどうかということはすごく重要で。例えば消費財ね、食品・飲料・菓子・日用品等の消費財というのは、ある程度事前にしっかり調査・準備すればね、どういう乖離が置きそうかっていうことは容易に想定ができるんですよね。その乖離が起きたときにメーカーとしてズバッと対策案を示して対策させて乖離を改善させるということができると、ディストリビューターのリスペクトも得られるし、小売のリスペクトも得られるし、さらにチームが前に進んでいけるということになるので、やっぱりこの乖離に対する対策みたいなことはしっかりとやっていかないといけない。
それから、キーマンの育成、これも同時にやっていかないといけない。シェアの高い企業というのは、社内研修みたいなのを、ディストリビューターを社内でめちゃめちゃやっていて、そういったものもそうだし、それに合わせて達成者にはインセンティブをしっかりはき出す。その中で自分たちの商品の取り扱いにものすごく意欲のある、やる気に満ち溢れた、前向きなセールスが一定数出てくるんですよね。その子たちをしっかり支援していくと、良い流れの輪ができる。その子たちが前向きに仕事をして、その子たちが良い業績をあげて、その子たちがたくさんインセンティブをもらって、それを見たまたある一定数がそれに影響されて、それに近い存在になっていく。仮にディストリビューターを代えるという話になったときにね、そういう前向きな人たちが自分たちの会社に入ってくるということもあるので、そういうキーマンの育成みたいなことはね、しっかりしていかないといけない。
ディストリビューターの管理育成って、メンテナンスに似ていて。結構、日本だと、「自分たちの責任はこうだ」みたいなのがあるのでね、ある程度ディストリビューターさんに任せたら、自分たちのやるべきことをわきまえてしっかりとやっていくという習慣というか、常識が成り立っているんだけども、アジア新興国市場に行けば行くほどそうではないので、しっかりメーカーがそこに介在をして管理育成をしていく。あまり細かく無意味な管理をしても意味がなくて、本当にね、シェアの高い欧米の先進的なグローバル企業とかって管理がすごく上手でね、ストレスのかかる管理ではなくて、管理されてることを認識しないぐらいに非常にスムーズな管理をやっぱりしていくということがすごく重要だと思うんですよね。管理する側と管理される側って両方にストレスがかかるわけですけど、やっぱりする側よりされる側にストレスがかかるわけで。すごく重要なのは、管理する側は「何でも知りたい、知りたい、知りたい、1から10まで知りたい」なんだけども、知って、それが「ふーん」って思うだけなんだったら1から10の情報を求めるなというのはすごく思うんですよね。「ふーん」って思って、それが次のアクションに反映されるんだったら、データを提供したほうも報われるんだけども、駄目な管理者というのは、「知りたい、知りたい、知りたい」と、1から10まで全部知りたいんですと。その1から10までの情報を提供する側は大変なんですよ。つまりは管理される側。それで、提供したと、大変な思いをして提供したんだけども、じゃあ、その提供したものが次のアクションにどう役立っているのって見えてこないと、結局それが2サイクル、3サイクル目ぐらいでもう嫌になってきてしまって、リスペクトが減っていってしまう。本当に重要な情報なんて2つ3つなんですよね、10あったらね。その2つ3つの重要な情報、絶対に外しちゃいけない情報だけを僕は取るようにしていて、その2つ3つの情報をしっかり次のアクションに反映させるということを気にかけているので。管理育成というのは、管理する側がどれだけレベルを上げられるかということがすごく重要なので、そこにしっかりと注力をしていくということが重要です。というようなことが書いてあるというのが、この150ページぐらいまでですかね。
今日はこれぐらいにして、また次回お会いいたしましょう。