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ASEAN系、中国系、欧米系のFMCG企業トップ10

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は前回の続きで、グランドデザインとか俯瞰して物事を見るという話をしていきたいなというふうに思うんですが。

これは僕自身もそうだし、うちのメンバーにも常に言っているんですけど、やっぱり現場で仕事をしていると、僕らなんていうのはミクロのね、現場の最前線の情報を掘って掘って分析して、お客さんに勝ち筋を提言するというのが仕事なので、すごくこの粒度の細かい情報にもとづいて提言策を考えるという、ミクロのね、もう目の前しか見えないような仕事というのはすごく重要なんだけども。常にやっぱり物事を俯瞰して見るというのはやっていかないといけなくて。例えばお客さんをタイで勝たせたとしてもね、ほかの主要競合がASEANでどういう動きをしているかによって、一時的にタイで勝てたとしても、結局ほかの国で負けてしまったら、いずれタイも取られるみたいなね、こういう状況が起きるわけですよね。もしくは、自分たちが一生懸命現場で5年かけて販売チャネルを、強い販売チャネルをつくっていくという選択肢を選択してやっていってもね、ほかがM&Aでどんどん経営資源を拡大していって、一気に資源投下して市場をひっくり返されてしまったら、せっかくの5年、販売チャネル構築に費やした時間、お金、労力、全部無駄になるわけなんですよね。なので、常に戦いは1人じゃなくて、競合と戦っているので、自分たちの競合がグローバルで、グローバルと言わずとも、ASEANで、アジア新興国でどういう動きをしているのかというのは俯瞰して常に見ないといけないよねと。それを分かった上で、タイでどうする、インドネシアでどうする、ベトナムでどうする、フィリピンでどうするというのが大前提ですよ、という話を前回したのかな。

じゃあ、ちょっと今日はスライドをいくつか使ってお話をしたいんだけども。世界のね…、今日もFMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のお話が中心ですけど。これらのグローバル、先進グローバル企業ってね、どういう会社があって、どういう規模なのかというのを、ちょっと最新のデータをまとめたので、ちょっとそれを見ていきたいと思うんですけど、スライドをお願いします。まず、1枚目のスライド。これは世界の10大消費財メーカー、売上順で並べています。1位のネスレから、ペプシコ、P&Gですね、ユニリーバ、コカ・コーラ、マース、ずっとこう10位まで並んでますけど、このネスレが1,040億ドルなので、日本円でだいたい16兆ぐらいですかね。1,000億ドルが、今の為替で、まあまあ、150円としたときにね、15兆ぐらい、15兆強ぐらいありますよと。この15兆円とかね、こういう何兆円の会社が朝食シリアルとか、乳製品とか、菓子とかね、ペットフード、日用品とかあるわけですけど、日本のFMCGもこれらが競合で、彼らがアジア新興国市場でどういう展開をしているんだと、どの大陸にどれだけの経営資源を投下して何をやっているんだということがベースにあって、じゃあ、自分たちはASEANをこうしよう、インドネシアをこうしよう、なんとかをこうしよう、というのがあるわけなので、ここのやっぱり動きというのはしっかり把握をしていかないといけない。この辺の話って、やっぱり現場をやっていると遠い話になってくるんですよね。俯瞰して物事を見るなんていうのはね。でも、それを忘れるとやっぱり失敗をしてしまうので、そこの大切さをね、僕は日々感じるんですよね。なので、今回こんな話をしているんですけど。

ちなみに次のスライド、時価総額、10大消費財メーカーを時価総額順で見ていったときにね、こんなような感じになりますから、約4,000億ドルなので、60兆円ぐらいですか、時価総額が。60兆円というと、トヨタが40兆円ぐらいですかね、よりも大きいと、45兆円ぐらいあるのかな。今、株が下がっているから40兆円ぐらいになっているのかもしれないですけど、日本で一番大きい会社よりもP&Gの時価総額は大きいですよと。すべての産業のいずれの企業よりも大きいよと。こんな化け物みたいな会社が経営資源をどの大陸にどう投下して何をやろうとしているのか、新興国市場をどう見ているのか、こういうことも俯瞰して見ながら、自分たちがチャネルをつくるのか、M&Aするのか、もしくはスピードをどこまで上げるのか。もうね、気付いたときに、「あー、ASEANやらなきゃ、頑張らなきゃ」って言ってもね、そんなスピードですぐ頑張れないのでね、やっぱり時間がかかるんですよね。そうすると、こういうことも含めて全体最適でグランドデザインを描いていくということはすごく重要ですよと。

ちなみに、中国FMCGのトップ10企業というのはこういう企業たちですね。大きいですよね、1,867億元ですからね、これね、食肉加工、ヨーグルト、乳製品、こんな企業が中国国内だけでなく、世界中に展開をしているわけですよね。

ASEANのFMCGトップ企業、これもなかなか大きなサイズになってきていますよと。さすがにさっき紹介した、先進的なグローバル企業よりはね、桁が1つ落ちてきますけども、タイの企業、インドネシアの企業、フィリピンの企業、シンガポール。タイとか、シンガポールとか、インドネシアにね、これだけ大きな食品メーカーがあるってね、たぶん現場でやっている方はご存じだと思うんですけど、日本の国内で営業をやっている方はたぶんご存じないと思うんですよね。さすがに欧米の先進的なグローバル企業は分かっていても、彼らの売上が15兆だとかね、ASEANの企業ももう何兆円の規模になっていると。これがね、10年15年前にM&Aしておけば、もっとASEANのやり方ってFMCGの企業にとっても変わったのかもしれない。もちろん当時の外資規制の絡みとかいろいろあったんだけども、やっぱりFMCGもね、家電が中国、ASEAN、出遅れたのと一緒でね、出遅れたのと、あと、ハイスペック、ハイクオリティに寄り過ぎたというのが失敗事例としてあってね。FMCGも少しそんなにおいがしているので、こういう企業と今後戦っていくわけなのでね、どうしていくんだと。これもフィリピン、インドネシア、タイの企業とこれ、どういうふうに戦っていくんだ、M&Aなのか、自力でチャネルつくるのか、どうするんだ、みたいなことを考えていかないといけないし。もしかすると、日本企業同士の統廃合もあり得るかもしれないと。世界でこういう企業と戦っていくにはですね。こんな企業がASEANにはありますよ、ということでございます。

次回、欧米系と日系の消費財メーカーのね、5つの軸に応じた違いみたいなもの、シェアの低い企業とシェアの高い企業の5つ軸にフォーカスした違いみたいなものをお話していこうかなと思うんですけど。例えば戦略の違い、チャネル設計の違い、ブランド運営の違い、マーケとか販促の違い、規模の生かし方の違いみたいなところ、5つのポイントにフォーカスしてね、シェアの高い企業と日本企業は、FMCGでね、どんな違いがあるんだろう、みたいなことを次回ちょっと紹介していきたいなというふうに思います。

それでは今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。