ASEAN 重要なのは4P4Cのバランス
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、ASEAN市場に向けて、ASEANじゃなくてもいいんですけど、ASEAN市場を想定して、FMCG、食品・飲料・菓子・日用品等のいわゆるFMCG、文具・化粧品も含めて、そういうメーカーに向けてのお話になります。この議題はね、議題は本当に非常によく僕の仕事のシーンでもあって。基本的には私の仕事というのは、アジア新興国市場にこれから新規で参入をするというケースよりも、もう圧倒的にすでに参入していますと、参入しているんだけども、なかなか成果が上がらないので成果を上げたいという、こういう要望のほうが圧倒的に多いわけですよね。その中で、多くのご相談は、2つのポイントを最適化をすることで改善ができるというのが、過去25年間やってきて感じていることでございます。つまりは、すごく何か高度な課題に対する挑戦というよりかは、非常にベーシックな部分で躓いているというケースが圧倒的に多くて。1つ目が、まずターゲットがぼんやりしているという問題なんですね。このターゲットがぼんやりするとなぜまずいのかということなんですが、マーケティングってターゲットに対して何をするかなので、そもそもこのターゲットがぼんやりしてたり、解像度が粗いと、何をするかも粗くなっていくので、もう大前提としてそこで躓いてしまうんですよね。そうすると、自分たちは誰に売るんだっけ。例えばFMCGの場合は消費者なんだけど、どの国の、どの都市の、どの地域に住んでいる、どれぐらいの所得で、どういうライフスタイルを過ごしている、どういう消費者なんだっていう、この消費者側の解像度を上げるということはもちろんなんですけど、基本的にはここをやり過ぎるよりも、僕は、どの小売に売るべきなのと、あなたたちの商品はどの小売、これは近代小売・伝統小売含めてね、どういう順番でそれを獲っていくのかっていう、ここですよね。これに応じて自分たちの4Pを組み立てていく、4Cを組み立てていくという話なので。まず、ターゲットを明確にするということが1つなんですよね。
今日お話したいのは、前置きが長くなりましたけど、この4Pとか4C、いわゆるマーケティング・ミックスの最適なバランスについてお話をしたくて。シェアがなかなか上がらない企業の問題は、1つはターゲットがぼんやりしてるからです。もう1つは4P4Cが最適化されていないからですという、ここなんですよね。結局ね、問題は、もうもう99%、この2つの中にある。むしろ両方にあると。ターゲットの解像度をもっともっと上げていきましょうということと。あと、やっぱりこの4P4Cが最適化されてない。どうなっているかって言うとね、ちょっとスライドをお願いします。こんな図のようになっているんですね。これ、上の図がね、中のプロダクト、プライス、プレイス、プロモーションって、まさに4Pですよね、マーケティング・ミックス。これは、4Pと言うと、メーカー側からの視点ですよね。どういう製品を、いくらで、どういう場所で、どう売っていきたいのかということが4Pです。一方で、これをお客さん側から、消費者側から捉えたときにはね、カスタマーバリュー、プロダクトというのはカスタマーバリュー、顧客にとっての価値がどうなのと。自分たちの売りたい商品じゃなくて、その商品は顧客にとって価値なんですか、どうなんですか。自分たちはいくらで売りたい、プライス、このプライスで売りたい。じゃなくて、顧客にとってそれはコストなんですよと。じゃあ、プレイス。自分たちは近代小売で売りたい。でも、それは顧客にとって本当にコンビニエンスなんですかと。次がプロモーション。自分たちはこういうプロモーションをしていきたい。お客さんとのコミュニケーションをどう取っていくのかという。これが4Cの観点で。4Pの観点も重要だし、4Cの観点も重要だと、僕は思います。なので、4P4Cで捉えていく。ただ、残念ながら、日本の消費財メーカーの多くは、この4Cの観点はほぼ持てていない。基本的には4Pの観点で、中でもプロダクトのP、1P、しかも、このプロダクトのPは、プロダクトだけじゃなくて、プレミアムのPにもなるので、自分たちのプレミアムなプロダクトを売りたいという、もうここが非常に全体の多くを占めていてね、とてもとても独りよがりになっているというケースが非常に多いと。
これは四輪駆動で考えてもらったら分かりやすいと思うんですけど、これ、前輪の左タイヤがプロダクト、右タイヤがプライス、後ろタイヤの左がプレイスで、後ろの右がプロモーションだったとしたときにね、この左前のプロダクトばっかりが高速に回っていたら、当然、左回転してぐるぐる、ぐるぐる、その場で回転するだけなので前に進んでいかないですよね。重要なのは最適化させるということで、バランスを取るということなんですよね。前に進めないと商品は売れなくて、商品ばっかりが良くてプレミアムだったって、プライスとかプロモーションとかプレイスが間違っていたら、これはある一部の小売でしか売れない。結局は日系の息のかかった小売でしか売れないじゃんと、結局はローカルスーパー入っても、輸入品棚にしか置かれないじゃん、そこで埃被ってるじゃんというようなことになってしまうので、いかにこのターゲットの解像度を上げるかっていうことと、この4P4Cを最適化する、バランスを取る。4Pのバランスが取れない企業がね、4Cで物事をバランス取って考えるなんて無理なので、まずは4Pでバランス取りましょうと、その上で4Cの観点を持つということが大変重要で。
いや、自分たちにはこの製品しかないんです、これだけなんですと。輸出でやっている場合はね、一旦、じゃあ、そうですね、菓子でASEAN、1カ国20億ぐらいまで輸出でできると思います。なので、20億まではもうある程度バランスが悪くてもいきましょうと。いけますと。ただ、そこがやっぱり天井になってしまいますよね。例えば、日系のスーパーに限定したらね、それこそ20億なんていかないので、もうこれぐらいが天井ですと。そうすると、そこからやっぱり崩していかないといけないので。そもそもASEANに行って日系のスーパーだけやるなんていうのはナンセンスでね、中間層をやっぱり狙っていくということはすごく重要なので、消費財メーカーにとってね。消費財メーカーにとって最大の重要なポイントって何かと言うと、胃袋ですよ、食品メーカーだったらね。どれだけたくさんの胃袋に、どれだけ早い頻度でね、どれだけ永遠に食べ続けて、飲み続けてもらうかっていうことはすごく重要で。そうすると、お金を持っているとか持っていないとか関係なくて、持っていようが持ってなかろうが食べるんですよね、人はね。そうすると、若い胃袋をどうやって掴むかということの競争を欧米企業もアジアの企業もやっていて、そこに参戦しないで、日本好きのプレミアムなプロダクトを求めている胃袋はどこ?って探したら、これは時間がかかってしまうし、ニッチな話だし、わざわざそんなもののためにアウトバウンドで海外に行く必要あるんですか、だったらインバウンドでいいですよねみたいな話になってくるので、やっぱりそこはしっかりと考えていかないといけないですよね、というお話でございます。
今日はこれぐらいにしたいと思います。また、皆さん次回お会いいたしましょう。