アジア新興国 海外事業で必要となる力
番組への質問はこちら » お問い合わせフォーム
新刊はこちら » https://www.amazon.co.jp/dp/4495650238
定期セミナーはこちら » https://spydergrp.com/seminars/
テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、海外事業で必要となる力のお話をしていきたいと思います。ここで言う海外とは、新興国、アジア新興国中心のお話です。先進国はね、スキルセットもマインドセットもまた必要となるものが少し異なるので、基本的にはアジア新興国ということでお話をしていきたいなというふうに思います。なぜ今日こんな話をするのかと言うと、最近、とあるお客さんとお話をしている中でそんな話題が出たんですよね。結構この手の話はよく聞かれますと。どういう力を社内でつけさせたらいいのかなと。われわれが普段付き合っている事業部なんていうのは、今まさに最前線で起こっていることに対する対策を一緒に考えて実行するというのが仕事ですけど、一方で少し中長期的に見たときに、その組織の中でどういう人材を育成していかなきゃいけないのかというような観点でお話をするケースもまれにあって、その中でお話をする機会を得て。僕がお話をしたのは、ひと昔前の海外展開って、とにかく突破力の強い人がやっぱり求められていたと思うんですよね。なので、必要となる力って、いかに突破できるかみたいなところがすごく重要で。この突破力って何事においてもすごく重要なんだけども、ひと昔前は気合と根性で突破するという、どちらかと言うと、マインドの力で突破をするという、こういう突破力を指していたと思うんですよね。一方で、今は突破をする、その突破した行為も、再現性のある突破でないとあまり意味がなくて、その人だから突破できた、その1回突破できたということだとあまり意味がなくて。いかにそれが再現性を持って継続できるかということがすごく重要で、その人じゃなくてもそれが継続できる、もしくはその国で得た突破の経験を他国で、他のASEANで応用できるとか、いわゆる再現性がやっぱりすごく重要で、会社としても再現性を残さなきゃいけないので、俗人的にやってはいけないんですよね。戦略的にやらないといけない。そうすると、どういう人材が向いてますかみたいな話をしたときに、人材というよりかは組織の共通の考え方のルール、ここがすごく重要で、いかに俗人性を業務から排除していくかっていうことがやっぱりすごく重要で。組織が俗人的に突破してきた人たちを評価している組織でね、それを戦略的に仮説立てて突破をするなんていうことをする人って、やっぱりなかなか生まれてこないですよね。再現性というのはやっぱり時間軸の中で証明されるので、再現性が高い低いみたいなところに評価の軸が当たってないわけですから、基本的には今ここにある壁を突破できたか、できてないかみたいなところで評価されてしまうと、やっぱりそういう人間が育っていってしまうので。どういう人間が海外に向いているか、向いてないかなんていうのは型取られるようなものじゃ、僕はないと思うんですよね。意外に、まあまあ、傾向はもちろんあるんだったとしてもね、じゃあ、その傾向の人間を集めて送るのかって言うと、それもまた違うので、いろんな傾向の人がいていいと思うんですよね。それよりも重要なのは、組織が何を共通のルールとして持っているかっていうことはすごく重要で。
例えばなんですけど、ちょっとスライドをお願いします。これは海外事業はマーケティング力がすごく重要ですよと。営業力よりもマーケティング力ですと。営業力って何?といったときに、顧客と商談して受注を獲得する能力ですと。これは日本で営業マンが持っている能力ですよね。なぜ顧客と商談して受注を獲得する能力が営業、これは非常に限られた能力なんですよね。あらゆるものが整っているから、その上で営業力が発揮できるという、まさに国内の市場ですよね。顧客の信頼もある、消費者の信頼もある、販売チャネルもあるし、プロモーションの形ももう決まっている、商品ももう市場に合ったものがあってという、すべてが整った状態で、あとは営業力だけで勝負するというのが、これは国内の市場。一方でアジア新興国市場って、今言った顧客の信頼とか、流通の信頼とか、販売チャネルもそうだし、プロモーションの型もそうだし、あらゆるものが日本よりも弱い、もしくは未整備の状態で事業をつくっていくみたいな、要素みたいなというか、まさに事業をつくるそのものなので、マーケティング力、売れる仕組みをつくる能力が求められる。日本でよくマーケティング力って言うと、マーケターで消費者と対話しながら消費者のニーズを測って、そこに商品を投下して、プロモーションをバーンみたいな、こういうのをマーケティング力というふうに解釈されてますけど。フィリップ・コトラーの定義では、マーケティングというのは、商品の開発、企画開発から、生産、販売、在庫、流通、アフターサービスまでの一連のすべての流れをマーケティングというふうに呼んでいるので、マーケティング力というのはやっぱり売れる仕組みをつくる能力って僕は定義をしています。なので、この売れる仕組みをつくるということは、さっき言ったとおり、突破じゃ駄目なんですよね。マインドセット、気合と根性での突破というよりかは、戦略的に仮説立てて突破をしていく。それが仮説立てていますから、再現性が非常に高いということがすごく重要で。再現性のない突破なんていうのは突破しなくていいですよというのがたぶん今の時代の海外展開だと思うので、やっぱり再現性ある突破、俗人的でない突破、これが海外事業では必要になるので、個の能力に押し付けようとしているのはそもそもこれまた間違いで、とにかく本社に戦略がない、気合と根性で駐在頑張れって、人を兵隊のように海外に送り込んできた海外展開を、もう一度同じように、今度は向いている人を選んで送り込めっていう、こういうことではなくて、組織そのものを変えていかないといけない。それが僕は本当に海外事業で必要となる力なんじゃないかなと。個のせいにするのではなくて、組織全体でやっていく、そうしないと再現性はずっと生まれてこないので、そんなふうに思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。