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ASEAN 『1P戦略』からの脱却

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森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日もFMCG向けのお話になります。食品・飲料・菓子・日用品、文具・化粧品ぐらいまで入れていいと思いますが、消費財メーカーさん向けのお話です。対象地域はASEANとしたいと思いますけど、まあまあ、別にASEANじゃなくてもアジア新興国全般、アジアじゃなくても新興国全般のお話になるかなというふうに思います。今日のお話は『1P戦略』からの脱却ということで、日本の消費財メーカーがアジア新興国市場に展開をする際にいくつかの失敗パターンがありますよということはこの番組でも散々お話をしてきていて、そのうちの1つにプロダクト依存型という失敗事例があって、このプロダクト依存型の中でも、今日は『1P戦略』からの脱却、『1P戦略』というのはそもそも何なのかということと、『1P戦略』からどうやって脱却するかということについてちょっとお話をしていきたいなというふうに思います。

『1P戦略』なんですけど、『1P戦略』って何のPかと言うと、プロダクトのPなんですけど、1つのPと。マーケティング・ミックス、いわゆる4Pをターゲットに対していかに適切に最適化していくかということがマーケティングのロジックでは非常に重要で。ターゲットに対して4Pが最適化されれば、モノは持続的に、継続的に売れていくという、これがマーケティングロジックなわけですよね。そうすると、これってバランスで。皆さん、4P、マーケティング・ミックスはもうご理解いただいていると思うので、頭の中にちょっとイメージをしてほしいんですけど、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションと。このプロダクトとプライスが前輪、後輪がプレイスとプロモーション。マーケティングって、この四輪が同じ速度で回るから、つまりは4つのPが最適化されているから前に進んでいくわけですよね。この前に進む方向のその先には何があるかと言うと、ターゲットがあって、ターゲットを明確に見定めてから、この4つのタイヤを同じ速度で回していくから、ターゲットにしっかりミートするという、これがマーケティングですと。その中でこの『1P戦略』というのは、このプロダクトがいいから、あとの3つは少々あれでもいいよねと。つまりは、自分たちは良い原材料を使って、高い技術力で、日本の進んだ市場に支えられて何十年も売ってきている非常に良い商品、これを投入する。だから、プライスは新興国なので少し安くするけど、まあまあ高くてもいいよねと。要は、消費者が受け入れられる価格がどうこうとかっていう逆算の計算ではなくて、原価からの積み上げの計算でいくと。プレイスも、できれば伝統小売はややこしいから近代小売中心でいいよねと、これが一番問題なんですけど。プロモーションも、できれば売れてから考えたいなと。企業によっては突然チャネルもできれないのに、砂漠に水をまくようなプロモーションをドンとやったりね、BTLがしっかり整っていないのに、ATLに投資をドンとやったりとか、そういう企業もあって。結局、この1Pだけがしっかりできている。日本の製品って良いわけですよね、商品は。非常に申し分ない商品なので、この前輪の左タイヤだけは完璧な速度で回っている。でも、ほかのタイヤの速度が遅いので、くるくるくるくる左に曲がってしまって、全然ターゲットに到達しないというね。

一応、大したスライドじゃないんだけど、スライドがあるので、ちょっとスライドをお願いします。『1P戦略』と、プロダクトが良いだけに他の3つのPが置き去りになると。これが非常に問題で、僕、今までいろんな企業の問題、課題を見てきたときにね、このターゲットに対して4Pが最適化されているのに売れないなんていう、こんな高度な課題を持っている企業は見たことがなくて。基本的には必ず皆さんの今の現状の問題・課題はこの4Pの中に潜んでいて。「いや、これもやったんです。あれもやったんです。それもやったんです。これもやったんです」というのをもっと解像度を上げてやっていくと、「やっぱりやり方がちょっと違ったよね」と、「このやり方じゃなかったよね」と、必ず4Pの中に問題があって。4Pが完璧でモノが売れないなんていうことは絶対にないというふうに言えるので、『1P戦略』からの脱却、どうすればいいのかということは、「徹底的にターゲットに対して4Pを最適化してください」ということになるかなというふうに思います。

それでは皆さん、今日はこれぐらいにしたいと思います。また次回お会いいたしましょう。