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アジア新興国 なぜ属人的な展開ではだめなのか?

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。今日は、「なぜ属人的な展開はだめなのか?」ということについてお話をしていきます。対象は、いつも通り、消費財メーカーさん、特にFMCG、食品・飲料・菓子・日用品などになります。それ以外の製造業は、自分たちの事業に置き換えて聞いていただければと思います。対象はアジア新興国…、アジアじゃなくても新興国全般ということでお話をします。

日本の企業のアジア新興国市場の展開は非常に属人的だと言われていて、戦略性に欠けているということは皆さんご承知の通りだと思います。なぜ属人的な進出だとだめなのかというお話なんですが、やっぱり属人的というのはアンコントローラブルなわけですよね。例えば20年駐在がいるような地域では成功するけど、それがいないとなかなか成功しないし、ある地域は20年の駐在員選手がいるので成功したけども、そうじゃないところはなかなか成功しない。なので、新興国市場に展開をしながらも、そのノウハウがアセットとして会社に溜まっていかない、蓄積されていかない、すべては人に属人的にくっついているので、その人がいるからできるとかできないとかっていうお話になってしまうと。

そうなってくると、どういうことになるかと言うと、ちょっとスライドを使ってお話をすると、結局、局地では勝つかもしれないんですよね、属人的に非常に長けた人がね、長年そのキャリアで働いている人が、駐在している人がいれば、局地的には勝つんだけども、結局、全体で負けてしまう。例えばベトナムには20年選手がいたので勝ちましたと。けど、ASEAN全体で負けるとかね。タイでは20年選手がいたんだけども、ASEAN全体では負けるとか。そんな事例は結構いっぱいあるんですよね。ベトナムでは成功しているけども、なかなか他のASEANではそれが展開できないと。インドネシアでは成功しているんだけども、それがなかなか展開できないとか。あの人がいた時代は良かったんだけど、いなくなってから良くなくなったとかですね、そんな事例は結構あるわけですよね。右の図の通り、1度や2度は勝つんだけども、勝ちが積み上がっていかない。これがやっぱり非常に問題で、全体で、局地では勝つけど全体で負ける。1度や2度は勝つけど勝ちが積み上がらない。再現性がないので型として定着しない、つまりはノウハウが会社にアセットとして溜まっていかないわけですよね。なので、属人的に進めるっていうのは非常にアンステイブルというか、アンコントローラブルだし、アンステイブルだし、サステナブルではないというのが1つ大きな問題であると。

じゃあ、どうやって進めていけばいいの?というお話なんですが、属人的にやるということは、その人が、例えば20年選手がいるから成功するしないという属人的もそうなんだけどもね、日本での知識や経験を持った人が属人的にその事業を進める、こういうケースって、やっぱりその人の持つ知識やノウハウって、日本国内での市場の実績だし、まったくアジア新興国市場のマーケットには合致してないけど、合致してないことすら気づいてない状態で飛び込んで、出たときに初めて1個1個築いていくという、こういうケースは非常に多い。無駄な時間をそこで使ってしまう。本来、正しいやり方は、しっかりとインプットを入れる、調査をしてインプットを入れて、インプットを入れると仮説というアウトプットがしっかり出てくる、戦略というアウトプットがしっかり出てくる。そうすると、その仮説を実践してみて、実践との誤差が少ない、少ないと再び走れる、そうすると成功確率が上がるということになるので、基本的には属人的に進めるということはその人の知識とか経験をベースに進めるということで。その知識とか経験が仮に20年駐在したことで正しい知識や経験があればその国で成功するけど、ない国では成功しないという問題もあるし、その知識や経験が日本での知識や経験だとすると、それはアジア新興国の市場には合致しないので成功しないということになるわけですよね。そうすると、どの国でも基本的には調査をやって、インプットを入れて、そのインプットをアウトプットに変えて、アウトプットを成果というアウトカムに変えるという、この構造がやっぱりしっかり確立されないと、なかなか難しい。こういうことですよね、図にすると。スライドをお願いします。まさにこういう構造がしっかりと調査をして、インプットを入れて、インプットがアウトプットに変わって、そのアウトプットを実行するとアウトカムという結果に変わっていくと。

次のスライドをお願いしたいんですけど、成功する確率が高いのと低いのって、まさにこういうことなんですよ。上が確率が高い、下が確率が低い。インプットが多い、仮説の精度が当然高くなりますよね。仮説の精度が高いということは、実践との誤差が少ない。実践との誤差が少ないということは、仮説を修正し再び走れる。結果、成功確率が高いですよと。多くの失敗をしている日本企業は、属人的に進めていて、調査を軽視している。調査をやって、インプットを増やさなければ、だって自分たちの知らない市場に出ていって、なんで調査費用をケチるんですかって話でね、インプットがなかったら何にも始まらない。情報戦がベースなのに、そのインプットを入れなければ、やっぱり何が入ってくるかって言うと、今までの日本国内での知識や経験がインプットとして入ってしまう。だから、いつまで経ってもプレミアムとか、いつまで経ってもプロダクトとか言っていて、なかなかチャネルに手がつかないということだと思います。

今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。