伝統小売攻略における組織とマネジメント体制の基準値
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テキスト版
森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDERの森辺です。すみません。しばらくね、配信が止まってしまいまして申し訳ございませんでした。海外出張が立て込んでいて、なかなか配信が滞ることも過去なかったんですけどね、年末に来てちょっといろいろバタバタしてしまって。いつも撮り溜めしてるんですけどもね、あまり撮り溜めし過ぎると良くないのでほど良く撮り溜めをしているんですけど、すみません、足りなくなってしまいまして。今日からまた収録をして、引き続き穴を開けないように頑張っていきたいと思います。前回が、最後が11月何日だったかな、前半ぐらいに基準値の話をしたんだったかな。11月4日が最後の配信になってしまっていて、「勝つのは『基準値』を持つ企業だけ」ということで、少し基準値のお話をしましたと。リファレンス・バリューというふうに言ってますけど、意味合い的にはもしかするとベンチマークとかっていうふうに捉えてもいいのかもしれないですけども、この基準値をやっぱりしっかり持つ必要があって。基準値なくして勝利なしというか、基準値がないのにどうやってシェアを上げるんですかとか、どうやって目標に到達するんですかとか、どうやって競合に打ち勝つんですかって、やっぱりあるわけですよね。自分たちが競合に勝つためには、どういう基準値まで自分たちの競争力を持っていかなきゃいけないのか。例えば競合の競争力を100とした場合に、今現状、自分たちが80なのか、70なのか、50なのか、30なのか、これすら明確に捉えられていない企業って少なくなくて、「自分たちはイケてない」と、「でも、この部分はイケてる」ぐらいの、ちょっとぼんやり捉えられている。「やっています。頑張っています」と言っても、その差異が明確に分からないと、どれぐらい頑張っていて、その頑張りで足りているのか、足りていないのか。そもそも経営資源が投下できているのか、できていないのか。できないんだとすると、別のやり方を取らなきゃいけない。そんなことを考えていくと、やっぱりこの基準値を明確に持つということはすごく重要で。
じゃあ、どこに照準を当ててね、基準値を持てばいいのかっていうことなんですが、こと消費財メーカーの、食品・飲料・菓子・日用品を中心とした消費財メーカーの基準値に関しては、僕は、伝統小売なので、これはどういう組織をつくっていて、その組織がどういう動きをしているのかによって全然このシェアとかね、変わってくるわけですよね。伝統小売で一番重要なのって、どうやってストアカバレッジを伸ばすかということなんですよね。ストアカバレッジって、せっかく伸びても、セルアウトしていかなかったらどんどん減っていってしまうので、ストアカバレッジを伸ばしながら、それを維持キープしていく。なので、必ずしもチャネルの要素だけじゃなくて、プロモーションと両輪で回していかないといけないんだけども、基本的にはストアカバレッジを伸ばすということをやらないと、プロモーションをやる意味がなくなるので、まずはストアカバレッジを伸ばすということが必要なんですよね。もちろん伝統小売をやるための大前提として、近代小売である程度プレゼンスを発揮しているということが前提には多くの場合はあるわけなんですよね。その上で伝統小売があると。
じゃあ、組織なんだけども、伝統小売で例えば5万店ストアカバレッジをつくりたい、10万店に伸ばしたい、もしくは競合の20%のシェアのうちの1%2%を奪いたいとなったときに、どれぐらいの組織で、何をやるから、それが実現できるのかって、ここの計算がまずないと、闇雲に人を採用して組織をつくる。じゃあ、闇雲に訪問して営業を頑張らせるみたいな話になってしまって。われわれがご支援に入る企業のチャネルを分析していくと、診断していくと、多くのケースで「そもそもこの組織体だと、やっぱり最大限ストレッチしてもここですよね」とかって、組織上のストレッチの最大値みたいなのはやっぱり出てくるし。組織の大きなストラクチャー自体はあまり変わらないんですよね、数が多い、少ないということで。むしろその活動内容。例えば具体的に言うと、競合は1日に25件伝統小売を訪問しているのに、自社、お客様ね、自社は10件しか訪問できていなかったと。1人あたりの売上が圧倒的に少ないというようなことが往々にして見えてくる。あと、離脱率っていうのは、セールスの退職率が高い、低いとかね。退職率はようやく収まったんだけども、じゃあ、収まった人材のスキルセットを見ていたら、やっぱり優秀な人間はもうすでに辞めていて、そうでない人間だけが今の状態にいるので退職率が収まっていると。結果として、訪問は本来25件回れるはずなのに、10件しか回っていないとかね、こんなことが見えてくるんですよね。
ちょっとスライドを使ってお話をすると、左の組織の体制ですよね。これも、統括部長がいわゆる営業のリーダー、長がどういうスペックの人材で、自分たちの長と比べてね、指揮を執るにふさわしい、言ったら将軍のような立場になるわけなので、将軍、将校としてね、しっかりとふさわしい人材がまず採用できているのかということもそうですよね。一方で、エリアをどういうエリア分けしているのかって、これもやっぱり非常に参考になる。どういうエリアにどれぐらいのスキルセットのエリアマネジャーを配置して、その下にどういうセールスを配置して、さらに担当のディストリビューターを何社持たせていてみたいなね。これは自社のセールスの場合ですよね。これと同じ構造を、もちろんディストリビューターの中でも見ていかないといけない。自分たちの商品を扱っているディストリビューターがどうやってくれているのか。
右のマネジメント体制に関しては、まさにスーパーバイザー、セールススーパーバイザーとね、セールスアシスタントみたいな人たちがね、日々、新規の取り組み、新規のストアカバレッジを伸ばすという取り組みと既存の店舗のフォローに対して何をやっているのか、どういう効率的なツールを使っているのか。結構あるのがね、欧米系とかローカル系は結構システムをしっかり入れている。一方で、それが日系の消費財メーカーは遅れていたりもするので、いまだに紙伝票をやっているとかですね、そこでやっぱり効率が落ちているケースもあるので。仕組み化するというのがやっぱりすごく上手というか、仕組み化への投資に対して躊躇がないと言ったほうがいいですかね、シェアの高い企業というのは。だから、例えば営業マンが営業をして、事務所に帰って何かExcelに数値を埋めて、それを報告上げないといけないとか、そういう作業がない。現場に行って写真を撮って、このスペースを、数を埋めていくと、もうそれが自動で集計されていて、本部に全部の活動記録が残っていて、営業マンのルートっていうのはGPSで全部あるので、決められたルート以外のところを通っているとアラートが立つし、1つのところに何分以上滞在しているとアラートが立つしみたいな、それは全部仕組みになっているので、サボるとか、そういう、言い訳される要素を全部排除しているという。何でも言ってきますからね、「いや、こうで、ああで、そうで。こういうことがあって、こうやってダメだったんだ。どうだ、ああだ」と。そういう言い訳要素を全部排除している。それが瞬時にモニタリングできるような状態になっていて、辞めたらすぐにまた同じようなスキルセットの人間をそこにポコッと入れ替えていくという、こういうところへの投資に躊躇がないと言ったらいいですかね。なので、最初の土台が結構しっかりしていますよと。
組織とマネジメント体制、こういうことを可視化していくと、自社の現状と比較するとね、自分たちがどれぐらいのレベルにあるのかということが明確に見えるので、じゃあ、自分たちの組織とかマネジメント体制をどう変えなきゃいけないんだって、ここがやっぱりぼやっとしていると、なかなか具体的に先には進んでいかないので。基準値を見るというのは、僕は、組織とマネジメント体制のところをしっかり見ていくということが重要だと思います。
今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。




