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ASEAN・インド 「自分には当てはまらない」という致命的思考

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テキスト版

森辺一樹(以下、森辺):皆さん、こんにちは。SPYDER INITIATIVEの森辺です。今日は、ちょっとスライドを使ってお話をしたいなというふうに思います。すみません、ちょっと後ろが汚くて。会社の子にもね、「社長、後ろのやつ、どけたほうがいいですよ」って。たまに映ってしまっているんですよね、僕の荷物がね。ただ、これちょっと今、整理していて、箱が重くて下ろすの大変なので、すみません、このまま撮らせていただきます。今日は、スライドを使って、このSPYDER CHANNELという番組自体がスライドを使ってお話をするというのがあれになっていたんですけどね、ここ最近、スライドを使ってなかったのでね、スライドを使って今日はお話をしていきたいと思います。

じゃあ、すみません、スライドをお願いします。今日のお話なんですが、これね、3つのこと、失敗の法則、それから調査とフレームワーク、販売チャネルということで、私がここ最近のお呼ばれして行った講演、セミナーなどでお話した内容の最後のまとめのページになります。このまとめのページで1時間とかのセミナーの話がすべて語れると思うので、ちょっとね、ちょうど3つあるので3回に分けてお話をしていければいいのかなというふうに思います。大きくは、いかにアジア、ASEAN、インド、中国を中心とした新興国市場で、B2Cの消費財メーカーがシェアを上げていけるのか、これについてのお話になります。総じてグローバル・マーケティングのお話だというふうに捉えてよろしいのかなというふうに思います。

今日は、この失敗の法則ということで、この番組でもね、もう口酸っぱく何回もお話をしてきましたが、本当にこの失敗の法則というか、失敗には再現性がめちゃめちゃあって、私が今まで見てきた失敗って、そんなにいろんなね、何十種類もいろんな失敗があるかというと、そんなことはなくて。もうね、この失敗の法則の3つ、別に1つと言ってもいいのかもしれないですけども、みんな同じ型、法則にはまってしまっているという。本当に再現性が高い。失敗の再現性というのは非常に高くて。皆さん、優秀なので、分かってはいるんですよね。まず、どういうことをすると失敗するのかということを理解するということはすごく重要で。それは、理解はするんですよね。理解はするんだけども、なぜか「自分にはそれは当てはまらないんじゃないか」というね、こういうふうに考えて、もともと自分たちが考えてきたこと、もしくは自分たちが国内でやってきたこと、もしくは国内を中心にインプットされたものからつくり上げた新興国戦略みたいなものをとにかく展開をしますと、やっぱり駄目でしたということで戻ってきて、またやるんだけども、何て言うのかな、「自分には当てはまらない」というね、考えてしまう。

この失敗の法則をざっと説明すると、プロダクト依存型、パートナー依存型、パーソン依存型というのがあるんだけども、プロダクト依存型というのは、モノが良いから良いでしょうと。その他のマーケティングが多少疎かでも、モノが良いんだからと。じゃあ、このモノが良いの定義というのは、いわゆる品質が良いにもう執着する。品質が良い=プレミアム。これね、モノにもよるんですけど、特に消費財のプレミアムって、100円、200円、数百円のものを売っているのにね、プレミアムって、ラグジュアリーの業界のプレミアムとはまったく意味が違うので。プレミアム、人は何…、消費者は何からプレミアムを感じるのかということをすごく考える必要があって、品質が良いと。品質が良いというのも、見てパッと分かる品質、誰が見ても明らかに分かる品質の良さと、ちょっとこれは感覚値だな、確かに良いと言われたら良いしなという品質の良い。多くは、発明から長きの時間が経つと、もうその領域に行くわけですよね。ここで品質の良さを争っても、もうこれは正直分かりにくいと。そこを追求していってしまうので。

一方で、欧米のグローバル企業、先進グローバル企業などは、ある一定のところまでは品質を高めるんだけども、そこからはプレミアムというのはイメージで植え付けていくというね、こういう、これもマーケティング戦略ですよね。だから、4Pで言うと、プロダクト、プライス、プレイス、プロモーションのこの最初のプロダクト、ここが良いから良いよねということで突っ走っていくというね、これはどのインダストリーでもそうですよね。やっぱり日本の企業というのはとにかく品質でという、プロダクトが良ければというところで。コスト競争力を高めるために金額を安くするんだけども、当然、安かろう悪かろうの商品には価格は届かないので。これもね、価格も安くし過ぎる必要もなかったりもするんだけども。とにかく1P戦略と僕は呼んでいますけど、いわゆる4Pじゃなくて1Pで戦っていて、そのPも、みんな口を揃えて「プレミアム」というふうに言うわけですよね。もちろんプレミアムなんだけども、じゃあ、プレミアムというのは自分がプレミアムって言っていれば良いのではなくてね、消費者がどうしたらプレミアムと感じてくれるのかということと、同時に消費者がプレミアムと感じながらも、それがアフォーダブルじゃなきゃいけない、いわゆる賄えないといけない。新興国市場の中間層が最大のターゲットで、そこが賄えない価格設定のプレミアムはまったく意味がないとかね、こういうコンビネーション、パズル合わせがすごく重要なんだけども、ここがやっぱり失敗の法則の非常大きなポイント、プロダクト依存型というふうに言っていますけども。

2つ目のパートナー依存型は、基本的にはもう売ることはパートナーに丸投げですと。パートナーの言いなりということで、たまにパートナーと一緒に現場同行して、パートナーに連れて行きたい売り場に連れて行かれて、見せたい売り場を見せられると。それはどういう売り場かと言うと、パートナーがきっちりやっている売り場。本当に課題があって、本当に改善しなきゃいけない売り場というのはめためたになっているので連れて行かれないので、真実が見えにくいということになるし。やっぱりノウハウが社内に蓄積されないですよね。自分たちが全部を把握して、その機能をパートナーに任せすのと、よく分からないからパートナーに丸投げするのでは、もうこれはまったく結果が変わってくる。それをやるんだったらね、投資だけでいいんですよ。別に実態として進出する必要はなくて、海外の同業種に資本参加すればいいので、それでも口は出すわけじゃないですか。だから、中途半端に手と足を出していくというのは良くなくて、しっかり自分たちの手と足でやるんですと。ただ、この部分の手、この部分の足はパートナーに任せたほうがROIが良いので任せますというのが重要なポイントで。このパートナー依存型もよくある話。

パーソン依存型はね、もうその名の通り、本社に戦略はありませんと、駐在員を投入して、気合いと根性でいきましょうということで行くと。調査予算もない。自分たちで調べる。自分たちで調べて手に入るような情報で戦略なんて組み立てられないので、やっぱり欧米のシェアの高い企業というのは、世界標準化の戦略がしっかりあって、それをベースに各国もしくは各リージョンで、ここは変えては駄目だけど、ここは変えていいよと、現地適合化しなさいということで、そこを現地に権限移譲してやっていくということで、戦略の枠組みがしっかりしているので、人に依存するということはないという、これはセールスの組織体系を見ていてもそうですよね。なので、この3つの依存に当てはまっていて、だいたいすべての依存、この3つともに当てはまっているという企業が失敗をしますよというイメージです。イメージというか、というのが実態ですと。本当に失敗というのは再現性が高いので、同じ状況、濃淡はあれど同じことで失敗をしているというのが今まで私が20数年間で見てきた実態です。

じゃあ、なぜこれだけ分かっているのにそれを直せないの?ということなんだけども、これね、分かっていて直せるんだったらね、もう人間みんな成功しているんですよね。すごくこれが面白くて、人間というのは、分かっているんだけども、分かっているには何階層もあって、言語として、もしくは物理的な理解として、もしくはロジカルな理解としては一旦分かっているんだけども、じゃあ、それを実践に移すときにね、「自分たちには当てはまらない」というね、都合の良い考え方がフッてこう、脳を支配するんですよね。心のどこかで「自分たちには当てはまらない」と、「自分たちはブレークスルーできるはずだ」ということで行って、打ちのめされて初めて、「ああ、やっぱりだった。そうだった。言われた通りだった」と、スタートにまた立ち戻るんですけど。でも、これがまた日本の大企業の面白いところで、3年4年5年ぐらいで1回ジョブローテーションがあるわけですよね、駐在員とか担当者が変わっていきますと。変わっていくと、これね、「自分たちにはそれは当てはまらない」といって実践して、結果が見えてくるまで、もしくは打ちのめされるまで4年ぐらいかかるわけです、3年4年。3年4年かかったときには、次の新しい担当が来るので、その新しい担当がまた「自分たちには当てはまらない」と考えるわけですよね。それでまた4年経ってということを繰り返して、15年前から御社が言っている課題はずっと同じですよと、いる場所もずっと同じところで足踏みしていますという会社がめちゃめちゃ多いですよ、B2Cの消費財メーカー。だから、私がこれだけ長く生き延びることができたとも言えるので感謝はしているんですが。ただ、もったいないなというふうにはすごく思いますので、失敗の再現性、これは恐ろしい。本当に恐ろしい。再現性があるし、「自分たちには当てはまらない」と思ってしまうし。やっぱり日本国内で数十年やってきた、数十年やってきた経験値がね、これを0にするってね、自分を否定するのと同じなのでね、なかなか大変。なかなか大変なんだけども、それがやっぱり邪魔してしまうのでね。「いやいや、そんなはずはない」と、「そうは言ってもこうだろう」とかね、ここがやっぱり最大の敵の1つ。

もう1つの敵は、そういうふうに、やっている本人は思わなかったとしても、やっぱり周りが、組織全体がそうなので、今までの先進国のとか国内のやり方から大きく変えなきゃいけないんですということを開発、生産、マーケ、営業、すべてのレイヤーにおいてやり方を変えさせる、ここの社内の組織を変えていくというのもものすごく大変で、だいたい戦略そのものでというよりも、この2つ、「自分たちには当てはまらない」という思考、思考というか、考え方に襲われてしまうということと、じゃあ、仮にこれを実行したときに組織全体を変えていかなきゃいけないというね、この2つの大きな問題が潜んでいるので、失敗の法則自体はそうなんだけども、それを変えていくというのは本当に大変なことですよというお話でございます。

今日はこれぐらいにしたいと思います。皆さん、また次回お会いいたしましょう。